【シニア犬の食欲不振】食事の内容や環境を見直してみよう

若い頃は食欲旺盛だった愛犬が、だんだんごはんを残すようになったり、食べムラが出てくるようになると、飼い主さんはとても心配になりますよね。シニア犬が食欲不振に陥る原因は様々ですが、中には飼い主さんの工夫で改善できることもあります。愛犬が食欲不振に陥った時、どのように対処すればいいのか、シニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に詳しく伺います。

(トップ画像:Instagram / @nanahana.shii

シニア犬になると食欲不振に陥ることが増えますよね?

(画像:Instagram / @pino_hana

シニア犬は消化吸収力が衰え、しっかり食べていても痩せやすくなるので、体力を維持するためにも毎日きちんと食事をとることは大切です。ただ、年齢とともに食が細くなるのは人間も犬も同じ。今までペロッと完食していたごはんをだんだん残すようになったり、ある日突然一切口をつけてくれなくなることもあります。おやつは食べるのにごはんを出すと食べてくれない、食べ物の好みにムラが出てくるようになったときも食欲が落ちているサインです。

シニア犬が食欲不振になるのはなぜでしょう?

(画像:Instagram / @kamakura.yuko

シニア犬は様々な理由から食欲が衰える傾向にあります。年齢が原因となっているケースもあれば、病気が隠れていることもあります。適切な栄養をきちんと摂ってもらうためには、原因を正しく把握することが大切です。

食欲不振の原因① 病気の可能性

年齢とともに食欲が低下するのはよくあることですが、「年のせいだから仕方ない。」と済ませてしまうのは危険です。シニア犬によく見られる心臓病、腎臓病、ガン、子宮蓄膿症などの病気にかかると、食欲が落ちることは多いからです。歯周病が悪化して噛むことができなくなっている可能性もありますし、関節の痛みから体を動かせないでいるのかもしれません。愛犬の食欲が落ちた時は年齢のせいだと決めつけず、必ず動物病院へ連れて行き、原因をきちんと把握するようにしましょう。

食欲不振の原因② お腹が減りにくくなる

年を取って運動量が減り、寝ている時間が長くなると、エネルギーをあまり消費しなくなります。全身の筋肉量が低下すると基礎代謝も落ちるため、そもそも体が必要とするエネルギー量自体が少なくなって、お腹が減りにくくなるのです。

また、嗅覚が衰えることも食欲が落ちる原因の一つ。若い頃のように食事が楽しめなくなっていることも影響しています。

食欲不振の原因③ 食べることが大変になる

高齢になって体力や筋力が衰えると、ごはんを食べるという行為自体が大変になります。例えば、足腰の筋力が衰えると食べる姿勢を維持することが難しくなりますし、首回りの筋力が衰えると床の上に置いてあるごはん皿まで頭を下げることが大変になります。物を噛む力や飲み込む力も衰え、その結果、ごはんを食べることが若い頃よりも大変になり、食事を残すようになってしまうのです。

食欲不振の原因④ 夏バテ

犬も人間と同じように夏バテをすることがあります。暑い日が続いたときに食欲が落ちてしまっているのなら、夏バテをしているのかもしれません。特にシニア犬は体温調節が苦手で、水を飲む量も少なくなることがあります。暑さで弱ってしまうこともあるので注意しましょう。

食欲が落ちたときはどうしたらいいでしょうか?

(画像:Instagram / @izumi320

まずは動物病院へ

食欲の低下が見られたら、まずはかかりつけの動物病院に相談しましょう。病気が隠れている場合は早急に治療してあげる必要がありますし、年齢によるものだった場合でも改善のためのアドバイスをもらえることがあります。

動物病院で診てもらって、愛犬の食欲不振が年齢によるものだと診断されたときは、食事の内容や環境を見直しながら、愛犬の食欲を促すような工夫をしてあげてください。

下痢や嘔吐など他の症状がある場合は…

食欲がなく、下痢や嘔吐など他の症状が見られる場合には、病気が原因である可能性が高いです。様子を見ているうちに体調が急変することもあるので、早めに動物病院へ連れていきましょう。体を丸めて震えていたり、飼い主さんが触ろうとしたときに怒ったりするようなときは、体のどこかに痛みが出ているのかもしれません。

関連記事

年を取った愛犬が下痢をしたら、どう対処したらいいのか困惑する飼い主さんも少なくないでしょう。ここでは老犬が下痢をする原因や予防法、さらに愛犬が下痢をした際の対処法などを詳しく解説します。悩んだときはぜひ参考にしてください。 ドッグフード?[…]

関連記事

犬が嘔吐することは珍しいことではありません。しかし、老犬が嘔吐したときは若い頃以上に注意して様子を見てあげる必要があります。ここでは老犬が嘔吐する原因、注意すべきポイント、正しい対処法について獣医師の福永先生に詳しいお話を伺います。 […]

動物病院での治療について

食欲不振を引き起こす原因は非常に幅広いため、原因を特定するには飼い主さんからの情報がとても大切です。いつから食欲がないのか、食欲不振以外に気になる症状はないか、そういった情報と触診をもとに、一つずつ考えられる原因を排除していきます。

場合によっては血液検査をしたり、レントゲンや超音波などの画像検査をすることもあります。検査の結果、異常が見つかったときは、その病気を治療することで食欲も改善されるでしょう。早急に処置する必要がないときは、フードや環境を見直して様子を見ることもあります。

また、食欲不振によって体重が著しく落ちているときは、体力をつけるための療法食を処方されることがあります。ごはんを食べるリズムが掴めるようになるまで、食欲増強剤を処方されることもあります。

食欲が低下してきたときは食事内容の見直しが大切ですよね?

(画像:Instagram / @a.s.n.h.3762

年齢に応じたフード選び

年齢に応じて最適なフードは異なります。シニア期にさしかかったばかりの頃は、代謝や運動量が衰える一方、食欲はまだまだ旺盛な時期。そのため、シニア初期の子に向けて作られたフードは、たくさん食べられるようにカロリー控えめなことが多いです。

愛犬が高齢になって食欲が低下してきたときは、少量でも必要な栄養やカロリーがきちんと補給できるようなフードに切り替えてあげましょう。消化吸収機能が衰えて下痢をすることも多くなるので、消化にいいフードを選ぶ必要があります。ハイシニアの子のためのフード選びについてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。

関連記事

一概にシニア犬と言っても、シニア期にさしかかったばかりの犬とハイシニアの犬では最適なフードが大きく異なります。そこで今回はハイシニアの犬に最適なフードの選び方、おすすめのフードについてご紹介したいと思います。   愛犬がハ[…]

匂いや食べやすさで食欲を誘って

シニア犬は嗅覚が低下しているので、フードの香りを立たせると食べてくれることがあります。ドライフードにお湯をかけたり、ウェットフードを電子レンジにかけたりして、温めると匂いが立ちやすいので、ぜひ試してみてください。肉や魚、ふりかけなど、愛犬が好きなものを少しトッピングしてあげるのもおすすめです。

また、噛む力が弱くなっているなら、カリカリをお湯でふやかしたり、ウェットフードに切り替えたりして、フードを柔らかくしてあげるとよいでしょう。

愛犬の食べたいものを探す

シニア犬になるとフードへのこだわりが強くなることがあります。お魚はカリカリに焼かないと嫌、レトルト系は絶対に食べない、かと思いきや今まで目もくれなかったドライフードをむしゃむしゃ食べる…。そんな愛犬の好きなものを探して試行錯誤する飼い主さんはたくさんいます。

愛犬が今までのごはんを食べてくれなくなったときは、色々試しながら愛犬と一緒に好物を探してみましょう。市販のフードを選ぶときも、少量のお試しパックなどを利用して、愛犬の食いつきを確認してみるといいと思います。

ただし、持病がある子は栄養管理が必要なこともあるので、かかりつけの獣医さんに相談しながらフードを切り替えてあげてください。

手作りごはんを試してみてもいいでしょうか?

(画像:Instagram / @moyumori

シニア犬におすすめな手作りごはん

愛犬の食いつきを見ながら、色々な食材や調理方法を試すことができる手作りごはんは、食べムラの激しいシニア犬におすすめです。また、シニア犬は様々な理由からお水を飲んでくれなくなることがあります。食事内容をスープや煮込みにすれば、ごはんから水分を補給できるので、お水をなかなか飲んでくれない子はぜひ試してみてください。

お水を飲んでくれない子のための工夫やオススメのおやつなどはこちらの記事で紹介しています。

関連記事

犬は年を取ると、様々な理由から水を飲まなくなることがあります。ひどいときには脱水状態に陥ってしまうケースもあるので、シニア犬と暮らす飼い主さんは注意して見てあげてください。ここでは、犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に、シニア犬が水を飲まなく[…]

ただし、栄養バランスには気をつけて

犬の体は日々の食事から作られています。愛犬の健康を維持してあげるためには、バランスの良い食事が必要不可欠。特に、シニア犬になると体調を崩しやすくなるので、今まで以上に栄養バランスに注意しなくてはいけません。

手作りごはんは栄養バランスが崩れやすいので、取り入れるときは注意が必要です。きちんと準備してから取りかからないと、せっかくの手作りごはんが体調不良の原因になってしまいます。シニア犬のための手作りごはんはこちらの記事で詳しくまとめているので、これから手作りごはんを始める方や今まで栄養バランスを意識しないで作っていた方はぜひ参考にしてください。

関連記事

若い頃はなんでも食べてくれた愛犬が、年を取って好き嫌いが出てきたり、なかなかごはんを食べてくれなくなったりして、お困りの飼い主さんは多いと思います。そんなときは手作りごはんを上手に取り入れてみませんか?今回はシニア犬の介護とペット栄養学に詳[…]

その他、できることはありますか?

(画像:Instagram / @cottonm

食事の環境も見直して

筋力が衰えると、食べる体勢を維持するのが辛くなります。そのようなときは、器を食事台の上にのせてあげたり、高さのある器に変えてあげると食欲が戻ることがあります。また、意外と見逃しがちなのがごはんを食べる時の足元。フローリングのように滑りやすい場所で食事を与えているなら、踏ん張りがきかずに食べる体勢を取ることがつらいのかもしれません。ごはんを食べる場所に滑り止めを敷くなどして、足元の環境もぜひ見直してみてください。

食べやすい体勢を維持する工夫

飼い主さんたちも愛犬が食べやすい体勢を維持できるよう、様々な工夫をされていいます。ここではそんなアイデアをいくつかご紹介しますので、皆さんもぜひ色々試してみてください。

●人間用ネックピローを活用した食事スペース

 

この投稿をInstagramで見る

 

Qooppy(@qooppy_dog)がシェアした投稿

 

●ティッシュ箱が即席チェアに

 

この投稿をInstagramで見る

 

Qooppy(@qooppy_dog)がシェアした投稿

 

●傾きをつけてあげるのも効果的

 

この投稿をInstagramで見る

 

Qooppy(@qooppy_dog)がシェアした投稿

 

●壁にもたれかかって食べるスタイルも◎

 

この投稿をInstagramで見る

 

Qooppy(@qooppy_dog)がシェアした投稿

 

また、食事の体勢を維持するのが辛いときは、口元までお皿を持っていってあげたり、スプーンですくってあげると食べてくれることもあります。

食事の回数を増やすのもおすすめ

最初は食いつきがよくてもすぐに食べるのをやめてしまったり、一回あたりに食べられる量が減ってごはんを残すようになったときは、ごはんの回数を増やすのも一つの方法です。今まで朝と夜の2回に分けてごはんをあげていたのであれば、1回あたりの量を減らして、ごはんの回数を1日に3回、4回、5回と増やしていくと、無理なく完食できるようになるかもしれません。

食べたくなる雰囲気作りも大切

愛犬がなかなかごはんを食べてくれないと不安になってしまいますよね。しかしそうした飼い主さんの不安な気持ちを、犬は敏感に察知します。本来楽しいはずのごはんの時間が緊張した空気に包まれていたら、さらに食欲をなくしてしまうこともあります。もしごはんを食べてくれなかったとしても、できるだけ明るく楽しい時間になるように心がけましょう。

そのときの気分に応じて食べたいものを食べられるようビュッフェ形式にしてみたり、気が向いたときにごはんを食べられるよう食器の場所を移動してみたりして、食べ方を工夫している飼い主さんもいらっしゃいます。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Qooppy(@qooppy_dog)がシェアした投稿

鍼灸治療も試してみて

血行を促進したり、体の痛みを和らげたり、様々な効果が見込める鍼灸治療ですが、愛犬が食欲不振になったときにも効果があります。体の痛みがなかなか良くならないときや、これといった原因がはっきりしないときは、ぜひ鍼灸を試してみてください。鍼灸ではどんなことをするのか、どこで施術を受けられるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事

最近は犬の治療に鍼灸を取り入れる動物病院も増えてきたので、なんとなくその存在を知っている方もいると思います。具体的にはどんなことをするのでしょう?鍼灸にはどんな効果があるのでしょうか?今回はペットの鍼灸について、東洋医学に詳しい獣医師の丸田[…]

食べてくれないときは流動食にした方がいいでしょうか?

色々な工夫をしても愛犬がなかなか食べてくれないときは、流動食に切り替える必要があるかもしれません。ミキサーでペースト状にしたフードを、シリンジなどの道具を使って食べさせてあげると食べてくれることもあります。

ただし、流動食に切り替えるときは必ずかかりつけの獣医師の指示に従ってください。食べさせ方を間違えると、気管に食べ物が入ってしまい、重度の肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こす可能性があります。誤嚥性肺炎で命を落とすシニア犬は多いので、正しい姿勢を保ってあげましょう。自力でごはんが食べられない子のサポート方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事

愛犬が年を取ってくると、食事のときに飼い主さんのサポートが必要になることがあります。ここでは具体的にどんなサポートが必要になるのか、注意すべきポイントも踏まえて、シニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生にお話を伺います。 (TOP画像:[…]

最後に

愛犬の食欲が低下すると、飼い主さんは不安になってしますよね。まずはかかりつけの獣医さんに相談して、病気が隠れていないかチェックしてもらいましょう。シニア犬の食べムラに悩まされている飼い主さんは多いので、他の飼い主さんたちのアイデアも参考にしながら、愛犬が楽しく食べられるよう工夫してあげてください。