【老犬の食欲不振】食べないときにおすすめな食事と環境整備について

シニア犬はさまざまな理由から、ごはんを残したり食べなくなったりすることが増えてきます。高齢になってからごはんを食べてくれなくなると、飼い主さんとしてはとても心配になりますよね。そこで今回、愛犬が食欲不振に陥ったときどのように対処すればいいのか、シニア犬介護に詳しい獣医師の丸田先生にお話を伺います。

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「食べない」だけじゃない、老犬の食欲不振のサイン

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ごはんに口をつけなくなったり今まで完食していたはずのフードを残したりするのは、明らかに食欲が低下しているサインです。また、おやつは食べるのにフードを食べないときや食べムラが激しいときなども、食欲が低下している可能性があります。
シニア犬になって食が細くなるのはある程度仕方のないことですが、体力を維持するためにも毎日きちんと食事をとることはとても大切です。特に、ハイシニアになって消化機能が衰えると、しっかり食べていても痩せやすくなるので、早めにケアをしてあげましょう。

老犬の食欲不振の原因は?食べないのはなぜ?

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シニア犬は様々な理由から食欲が衰える傾向にあります。年齢が原因となっているケースもあれば、病気が隠れていることもあります。適切な栄養をきちんと摂ってもらうためには、原因を正しく把握することが大切です。

食欲不振の原因① 病気の可能性

年齢とともに食欲が低下するのはよくあることですが、「年のせいだから仕方ない。」と済ませてしまうのは危険です。シニア犬によく見られる心臓病、腎臓病、ガン、子宮蓄膿症などの病気にかかると、食欲が落ちることは多いからです。歯周病が悪化して噛むことができなくなっている可能性もありますし、関節の痛みから体を動かせないでいるのかもしれません。愛犬の食欲が落ちた時は年齢のせいだと決めつけず、必ず動物病院へ連れて行き、原因をきちんと把握するようにしましょう。

食欲不振の原因② お腹が減りにくくなる

年を取って運動量が減り、寝ている時間が長くなると、エネルギーをあまり消費しなくなります。全身の筋肉量が低下すると基礎代謝も落ちるため、そもそも体が必要とするエネルギー量自体が少なくなって、お腹が減りにくくなるのです。
また、嗅覚が衰えることも食欲が落ちる原因の一つ。若い頃のように食事が楽しめなくなっていることも影響しています。

食欲不振の原因③ 食べることが大変になる

高齢になって体力や筋力が衰えると、ごはんを食べるという行為自体が大変になります。例えば、足腰の筋力が衰えると食べる姿勢を維持することが難しくなりますし、首回りの筋力が衰えると床の上に置いてあるごはん皿まで頭を下げることが大変になります。物を噛む力や飲み込む力も衰え、その結果、ごはんを食べることが若い頃よりも大変になり、食事を残すようになってしまうのです。

食欲不振の原因④ ごはんが気に入らない

シニア犬になると食のこだわりが強くなることがあります。喜んで食べていたはずのフードに突然飽きてしまったり、ふやかしたフードには絶対に口をつけなかったり、かと思えば今まで一切口にしなかった療法食を突然ぱくぱく食べてくれることもあります。食事内容や調理方法を変えるだけで食欲が戻るのは、シニア犬にはよくあることです。

食欲不振の原因⑤ 夏バテ

犬も人間と同じように夏バテをすることがあります。暑い日が続いたときに食欲が落ちてしまっているのなら、夏バテをしているのかもしれません。特にシニア犬は体温調節が苦手で、水を飲む量も少なくなることがあります。暑さで弱ってしまうこともあるので注意しましょう。

老犬が食べないときはまず動物病院へ

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食欲の低下が見られたら、まずはかかりつけの動物病院に相談しましょう。病気が隠れている場合は早急に治療してあげる必要がありますし、年齢によるものだった場合でも改善のためのアドバイスをもらえることがあります。

下痢や嘔吐など他の症状がある場合は…

食欲がなく、下痢や嘔吐など他の症状が見られる場合には、病気が原因である可能性が高いです。様子を見ているうちに体調が急変することもあるので、早めに動物病院へ連れていきましょう。体を丸めて震えていたり、飼い主さんが触ろうとしたときに怒ったりするようなときは、体のどこかに痛みが出ているのかもしれません。

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動物病院での治療について

食欲不振を引き起こす原因は非常に幅広いため、原因を特定するには飼い主さんからの情報がとても大切です。いつから食欲がないのか、食欲不振以外に気になる症状はないか、そういった情報と触診をもとに、一つずつ考えられる原因を排除していきます。
場合によっては血液検査をしたり、レントゲンや超音波などの画像検査をすることもあります。検査の結果、異常が見つかったときは、その病気を治療することで食欲も改善されるでしょう。早急に処置する必要がないときは、フードや環境を見直して様子を見ることもあります。
また、食欲不振によって体重が著しく落ちているときは、体力をつけるための療法食を処方されることがあります。ごはんを食べるリズムが掴めるようになるまで、食欲増強剤を処方されることもあります。

老犬が食べないときの対策① 食べやすいフード選び

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年齢に応じたフード選び

高齢になってごはんを食べなくなってしまったら、まずフードを見直してみましょう。噛む力や飲み込む力が弱くなっていると、固いドライフードは食べるのが大変です。フードをふやかしたり、砕いて粒を小さくしてあげたりして様子を見ます。包丁やハサミを使って砕いてもいいですが、それだと手間がかかるのでフードクラッシャーなどのアイテムを活用するのもおすすめですよ◎

シニア犬に優しい、粒が小さいフードや柔らかいドライフードなども販売されているので、新しいフードを試してみるのも一つの手です。ハイシニアの子のためのフード選びについてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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匂いで食欲を誘う

シニア犬は嗅覚が低下しているので、フードの香りを立たせると食べてくれることがあります。ドライフードにお湯をかけたり、ウェットフードを電子レンジにかけたりして、温めると匂いが立ちやすいので、ぜひ試してみてください。肉や魚、ふりかけなど、愛犬が好きなものを少しトッピングしてあげるのもおすすめです。

愛犬の食べたいものを探す

シニア犬になるとフードへのこだわりが強くなることがあります。お魚はカリカリに焼かないと嫌、レトルト系は絶対に食べない、かと思いきや今まで目もくれなかったドライフードをむしゃむしゃ食べる…。そんな愛犬の好きなものを探して試行錯誤する飼い主さんはたくさんいます。
愛犬が今までのごはんを食べてくれなくなったときは、色々試しながら愛犬と一緒に好物を探してみましょう。市販のフードを選ぶときも、少量のお試しパックなどを利用して、愛犬の食いつきを確認してみるといいと思います。
ただし、持病がある子は栄養管理が必要なこともあるので、かかりつけの獣医さんに相談しながらフードを切り替えてあげてください。

手作りごはんを取り入れる

愛犬の食べムラがひどい時は、手作りごはんを取り入れてみるのもおすすめです。愛犬の食いつきを見ながら色々な食材や調理方法を試すことができますし、手作りごはんの知識を深めれば、愛犬の体に優しい食材を上手に取り入れることができるようになります。
ただし、手作りごはんは栄養バランスが崩れやすいので、取り入れるときは注意が必要です。きちんと準備してから取りかからないと、せっかくの手作りごはんが体調不良の原因になってしまいます。まずは愛犬に必要なカロリーを計算し、1日に必要なカロリーの1/3だけを手作りすると栄養バランスを崩しにくいでしょう。手作りごはんの始め方についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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食べ物に一工夫!飼い主さんたちの実践アイデア

食事内容に関する色々なアイデアを持っていれば、いざというときに役立ちます。ここでは、シニア犬と暮らす飼い主さんたちが実践しているさまざまなアイデアをご紹介しましょう。

■フードをお団子に

 

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固いものを噛むのが苦手になったとき、ドライフードをふやかしてあげると食べやすくなりますが、さらにふやかしたフードをお団子やおにぎりのように丸めてあげるのもおすすめです。お口にぽんっと入れることができるので、飼い主さんもお食事サポートがしやすいですよ◎

■食感も大切

 

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高齢になると固いものが苦手になるシニア犬は多いですが、歯が丈夫だとふにゃふにゃした食感が苦手という子もいます。パリパリ食感が好きな子には、ウェットフードやおやつをトースターで焼いてあげると喜んで食べてくれることもあるようです。

■調理法を変えてみる

 

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同じ食材でも、調理法が違うだけで食べたり食べなかったりすることもあります。スープにしてみたり、トロトロに煮込んでみたり、焼いてみたり、色々な調理法を試してみましょう。食材を小さくカットするかすりおろすか、そんな違いで食欲が戻ることもあります。

■フードストッカー

 

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食べムラが出てくると、せっかく開封したフードに一切口をつけてくれない、なんてことも出てきます。しかし、日を置いて試してみると嘘のようにパクパク食べてくれることもあるので、食べてくれなかったフードも捨てずに保管しておくといいでしょう。真空タイプのフードストッカーで保存すれば、ある程度フードの酸化を防ぐことができます。

老犬が食べないときの対策② 食べやすい環境づくり

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食べやすい環境を整える

筋力が衰えると、食べる体勢を維持するのが辛くなります。そのようなときは、器を食事台の上にのせてあげたり、高さのある器に変えてあげると食欲が戻ることがあります。また、意外と見逃しがちなのがごはんを食べる時の足元。フローリングのように滑りやすい場所で食事を与えているなら、踏ん張りがきかずに食べる体勢を取ることがつらいのかもしれません。ごはんを食べる場所に滑り止めを敷くなどして、足元の環境もぜひ見直してみてください。

食べやすい体勢をサポート

シニア犬になって足腰が弱ってくると、食事中にだんだん足が滑ってしまって、食事の体勢を維持できなくなることがあります。そんなときはクッションなどで体を支えてあげるとよいでしょう。

 

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他にも、ヨガマットをクルクル丸めて椅子にされている飼い主さんもいらっしゃいました!

 

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食事の回数を増やす

最初は食いつきがよくてもすぐに食べるのをやめてしまったり、一回あたりに食べられる量が減ってごはんを残すようになったときは、ごはんの回数を増やすのも一つの方法です。今まで朝と夜の2回に分けてごはんをあげていたのであれば、1回あたりの量を減らして、ごはんの回数を1日に3回、4回、5回と増やしていくと、無理なく完食できるようになるかもしれません。
ちなみに、愛犬がごはんを残した時は、一度お皿を下げるようにしましょう。常にごはんがある状態に慣れてしまうと、ごはんに対する特別感やワクワク感が薄まって、さらに食欲が落ちる原因になるかもしれません。

食べたくなる雰囲気作りも大切

愛犬がなかなかごはんを食べてくれないと不安になってしまいますよね。しかしそうした飼い主さんの不安な気持ちを、犬は敏感に察知します。本来楽しいはずのごはんの時間が緊張した空気に包まれていたら、さらに食欲をなくしてしまうこともあります。もしごはんを食べてくれなかったとしても、できるだけ明るく楽しい時間になるように心がけましょう。

食器を見直す

シニア犬は陶器や金属のお皿が苦手になることがあります。特に視力が低下していると距離感が掴めず器にぶつかってしまったり、音に敏感になって歯が器に当たる「キン!」という音が苦手になったりして、食欲が低下することもあります。そんなときはシリコン製の器に変えてあげてください。器を変えるだけで元気に食べられるようになることもあります。

食事環境に一工夫!飼い主さんたちの実践アイデア

ここでは、なかなか食べてくれない愛犬と暮らしている飼い主さんたちの、食事環境に関するアイデアをご紹介します。うまくいかなくても焦りは禁物。色々試しながら愛犬が楽しくごはんを食べられる方法を探してあげましょう。

■ビュッフェ形式

 

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食べムラが激しい子は、日によって食べてくれるものが変わることが多いです。その子が好きそうなものを何種類か並べて提供するビュッフェ形式なら、食べたいものが見つかりやすいでしょう。

■ばらまき形式

 

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食べ方を変えるだけで食べてくれることもあります。トレーにフードをばらまいてみたり、手から食べさせてあげたりすると食べてくれることもあるので、ぜひ色々なやり方を試してみてください。

■ピクニックで気分転換

 

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お家の中では食べてくれなかった子が、お外に連れていくと食べてくれることもあります。その子の好きな公園や河原などで、ピクニックのようにごはんをあげてみたら食べてくれるかもしれません。

■ゲーム感覚で

 

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なかなかごはんを食べてくれないときは、いかに食べやすい環境を整えるかを考えると思いますが、遊ぶのが大好きな子ならあえてノーズワークマットに隠してしまうのも一つの方法です。ゲーム感覚で遊びながら楽しく食べてくれることもあるようです。

食欲不振な老犬におすすめな食べ物は?

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食べないときは高カロリーなフードを選ぶ

食欲が落ちているときは、少量でもしっかり栄養を補給できる高カロリーなフード選びが大切です。ここでは食欲不振に陥っているシニア犬におすすめな市販のフードをいくつかご紹介します。

■ナチュラルハーベスト ミルクエイド

子犬からシニア犬まで使える粉ミルクタイプの総合栄養食。免疫力を維持できるよう、牛初乳・ラクトフェリンが配合されています。いつものフードにふりかけてもいいですし、ぬるま湯に溶かしてミルクのようにして与えてもいいでしょう。

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■デビフ カロリーエースプラス

子犬の離乳期からシニア犬の介護食に使える、高カロリー・高タンパクの総合栄養食。皮毛や皮膚の健康を保つリノール酸を配合しています。液体タイプと柔らかいムースタイプの二種類があります。

<公式サイトはこちら

■ロイヤルカナン クリティカルリキッド

(画像引用元:ロイヤルカナン )

病気の後や手術の後など、しっかりした栄養補給が必要になる時期に与えるリキッドタイプ(液状)の療法食。こちらは療法食になるので、必ずかかりつけの獣医師に相談の上、取り入れるようにしてください。少量でも必要なエネルギーを摂取できるようカロリーが調整されています。

<公式サイトはこちら

■ロイヤルカナン 退院サポート缶

栄養補給が必要になる回復期に与えるための療法食。各栄養素が強化され、高カロリー・高タンパクに調整されています。とても柔らかいムースタイプなので、スプーンやシリンジ、チューブなどで与えることもできます。こちらも療法食になりますので、必ずかかりつけの獣医師の指導のもと取り入れるようにしましょう。

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■ヒルズ a/d缶

回復期や高栄養が必要な愛犬のために作られた療法食です。開封時はウェット状ですが、かき混ぜると液状にもなります。高タンパク・高カロリーに調整された療法食なので、こちらもかかりつけの獣医師に相談してから与えてください。

<公式サイトはこちら

痩せ対策に効果的な食材

体重がどんどん減ってしまう時は、フードだけでなくおやつやトッピングも見直してみましょう。お水に少量のはちみつや砂糖を混ぜたり、栄養価の高いヤギミルクや甘酒を取り入れたり、体に優しくハイカロリーな亜麻仁油をフードにトッピングするのもおすすめです。食事管理が必要な場合は必ずかかりつけの獣医師に相談しながら取り入れるようにしてくださいね。痩せ対策におすすめな食べ物についてはこちらに詳しくまとめています。

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2匹の寝ている老犬

体重を増やすことが最優先な場合の食事について

くつろぐ老犬

(画像:Instagram/ @yu3_moha

愛犬の健康を守る上で、栄養バランスのいい食事を続けることはとても大切です。しかし、あまりにごはんを食べてくれない日が続くと、獣医師から「食べられるものならなんでもいいから与えてください」と言われることもあるでしょう。そんなとき、何を与えたらいいのか悩まれる方も多いと思います。ここでは、獣医師から「体重の増加を最優先にしましょう。」と言われた時におすすめな食べ物をご紹介します。

犬が食べると危険な食べ物は避けて

かかりつけの獣医師から「なんでもいいから食べられるものを食べさせてあげて」と言われても、中毒症状を引き起こすようなものは絶対に与えないでください。例えば、玉ねぎ入りのハンバーグや、チョコレートを使ったケーキ、レーズンパンなどは、犬が口にすると深刻な中毒症状を引き起こす可能性があります。
犬が口にすると危険な食材のうち、代表的なものは以下の通りです。

  • ネギ類(玉ねぎ、長ねぎ、ニラ、らっきょう、にんにくなど)
  • カカオ(チョコレート、ココアなど)
  • ぶどう
  • レーズン
  • アボカド
  • カフェイン(紅茶、緑茶など)
  • アルコール
  • ナッツ類
  • わさび
  • キシリトール

最近は、「犬 キャベツ」などのようにネットで検索すれば、与えても大丈夫な食材かどうかすぐに調べることができます。個人のブログやSNSではなく、きちんと獣医師の監修が入っている情報サイトを参考にするとよいでしょう。サイトによって情報にばらつきがあるときや、本当に愛犬に与えてもいいのか悩んだときは、かかりつけの獣医師に相談すると安心です。

食欲がない子でも食べやすい食べ物

ひどく食欲が落ちていると、普段大好きな食べ物ですら食べてくれないことがあります。そうなると何をあげればいいのか悩んでしまいますよね。こちらの記事ではシニア犬が食欲不振に陥った時に食べやすい食べ物をご紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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スイカと老犬

また、Qooppyで273名の読者に対してアンケートを実施し、「どんなに食欲がない時でもこれなら食べてくれる!」という食べ物を調査しました。調査結果をまとめているので、こちらも参考にしていただけたらと思います。

 

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これらの食べ物で食欲に弾みがついたら、栄養バランスのとれたいつものフードも少しずつ取り入れてみましょう。そのままの勢いでパクパク食べてくれることもあるので、無理のない範囲で試してみてくださいね。

どうしても食べないときは流動食やカテーテルでの食事も選択肢に

伏せている老犬

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流動食について

色々な工夫をしても愛犬がなかなか食べてくれないときは、流動食に切り替える必要があるかもしれません。ミキサーでペースト状にしたフードを、シリンジなどの道具を使って食べさせてあげると食べてくれることもあります。
ただし、流動食に切り替えるときは必ずかかりつけの獣医師の指示に従ってください。食べさせ方を間違えると、気管に食べ物が入ってしまい、重度の肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こす可能性があります。誤嚥性肺炎で命を落とすシニア犬は多いので、正しい姿勢を保ってあげましょう。

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老犬 流動食

カテーテルでの食事について

何をしても食べてくれないと、飼い主さんにとっても犬にとっても、食事の時間が大きなストレスになってしまいます。そんなとき、獣医師からカテーテルによる栄養補給を提案されることがあります。これは体内にカテーテル(チューブ)を設置して、そこから食道や胃などの消化管に直接流動食を送り込む方法で、確実に体に必要な栄養を届けることができます。また、愛犬が嫌がる薬もカテーテルから確実に飲ませることができるので、投薬のストレスもなくなります。
カテーテルを入れる方法はいくつかありますが、鼻からカテーテルを入れる「経鼻カテーテル」は麻酔なしで設置することができるので、シニア犬でも比較的取り入れやすいでしょう。愛犬の体に管を通すことに抵抗を覚える方も多いと思いますが、きちんと栄養補給をすることで体力が回復し、口からごはんを食べられるようになったり管を外して生活できるようになったりするケースもあります。どこまでの治療を希望するのか、ご家族やかかりつけの獣医師としっかり話し合って、納得のできる方法を選択できるといいですね。

 

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老犬の食欲不振には鍼灸治療も効果的◎

血行を促進したり、体の痛みを和らげたり、様々な効果が見込める鍼灸治療ですが、愛犬が食欲不振になったときにも効果があります。体の痛みがなかなか良くならないときや、これといった原因がはっきりしないときは、ぜひ鍼灸を試してみてください。鍼灸ではどんなことをするのか、どこで施術を受けられるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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最後に

愛犬の食欲が低下すると、飼い主さんは不安になってしますよね。まずはかかりつけの獣医さんに相談して、病気が隠れていないかチェックしてもらいましょう。シニア犬の食べムラに悩まされている飼い主さんは多いので、他の飼い主さんたちのアイデアも参考にしながら、愛犬が楽しく食べられるよう工夫してあげてください。