【シニア犬の介護にも◎】犬用車椅子のメリットと選び方を獣医師が解説

愛犬が年齢とともに歩けなくなってくると、犬用の車椅子を使うべきかどうか、悩まれる飼い主さんもいると思います。そこで今回、犬の介護やリハビリに詳しい獣医師の丸田先生に、車椅子を使うメリットや車椅子の選び方についてお話を伺いました。

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車椅子はどんなときに使うのでしょう?

愛犬が椎間板ヘルニアなどによって自分の足で歩くことが難しくなったり、高齢になって筋力が衰えてきたときは、犬用の車椅子がおすすめです。「車椅子は歩行の補助をするためのもの」と考えている方もいるかもしれませんが、車椅子には様々な種類があり、ほぼ寝たきりのような状態になってからも使える介護用の車椅子もあります。幅広いシーンで活躍してくれますよ◎

車椅子を使用するメリットを教えてください

(画像:Instagram / @momochan_go

車椅子を使用するメリットは様々で、犬の状態によって車椅子を使うメリットは少し異なります。それぞれご紹介していきますね。

ストレスの解消に

視覚や聴覚などの感覚が衰えたり、今までできていたことができなくなったりすると、犬もストレスを感じやすくなります。抱っこやカートでお外に連れ出してあげるのもいいですが、車椅子があれば今までのように自分の足で歩き、自分の好きな方向に進むことができます。また、寝たきりだった子が車椅子を使うことで、元気だった頃と同じような目線で景色を見えるようになり、自信を取り戻したような表情を見せてくれることも多いです。そうした愛犬の変化は、飼い主さんにとっても嬉しいことだと思います。

 

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寝たきり以外の姿勢が取れる

愛犬が寝たきりになってしまったときも車椅子はおすすめです。一日中寝たきりの姿勢が続いていると体がこわばって痛みが出やすくなりますし、床ずれのリスクも高くなります。車椅子を使って体を起こせるようになると、それだけでストレッチ効果があり、体のこわばりを解消してくれます。

夜鳴き防止の効果も

シニア犬と暮らしている飼い主さんの中には、愛犬の夜鳴きに悩まされている方もいるでしょう。シニア犬が夜鳴きをする原因はさまざまで、寝たきりになったことで体が痛み、夜鳴きをするケースもありますし、思ったように体を動かせない不安から夜鳴きをするケースもあります。認知症を発症した時も夜鳴きをすることが多くなります。

車椅子を活用することで日中に体を動かせるようになると、夜疲れてぐっすり寝てくれるようになることもありますし、体のこわばりやストレスを解消することができれば、夜鳴きが改善することもあります。また、ずれていた体内時計を元に戻すことができるため、認知症による夜鳴きを予防する効果も期待できますよ◎

食事のサポートがしやすい

シニア犬や寝たきりの犬は食べ物が気管に入りやすく、その結果肺が炎症を起こす「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」にかかりやすくなります。しかもシニア犬は免疫力が落ちているために重症化しやすく、命を落としてしまうケースも少なくありません。

誤嚥性肺炎を予防するには食事やお水を与えるときに正しい体勢を保ってあげる必要があります。車椅子があれば愛犬の体を起こした状態を保てるので、食事のサポートがしやすくなるでしょう。シニア犬の食事のサポートについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。

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筋力を維持することができる

高齢になって足腰の筋力が衰えてくると、自力で起き上がったり歩いたりすることが少しずつ大変になってきます。「歩きたがらないから」「年齢のせいだから」と放置してしまうと、筋力はますます衰え、やがて自分で食事を摂ることも、トイレに行くこともできなくなってしまいます。シニア犬は立てなくなってから短期間のうちに寝たきりになってしまうこともあるので、愛犬の筋力が衰えてきたと感じたら、早めにケアしてあげましょう。車椅子をうまく活用すれば筋力を鍛えることができるのでオススメです。

筋力が衰えてきた時のサインやケアの仕方については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

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車椅子にはどんな種類がありますか?

大きく分けると2種類

(画像:Instagram / @rii.m915  ※こちらは4輪タイプ )

車椅子には大きく分けて2輪タイプと4輪タイプがあります。2輪タイプは後ろ足だけを支えるためのもので、装着した後は前脚の力を使って前に進みます。前脚だけで自分の体重を支えることができる子や、前脚の力だけで進むことができる子は2輪タイプがいいでしょう。

一方、4輪タイプは体全体を支えてくれるもの。少しの力で前に進むことができるので、前脚の力が衰えているときは4輪タイプを選びます。また、4輪タイプの中には完全に寝たきりになってしまった場合に使える介護用のものもあります。

選ぶポイントについて

2輪タイプと4輪タイプ、どちらを選べばいいのか悩んでしまう方も多いと思います。判断のポイントとなるのは前脚の脚力です。脚力が十分残っているなら2輪タイプがおすすめです。脚力があるのに4輪タイプを選んでしまうと、車輪の力に頼ってしまって前脚の筋力まで衰えてしまうからです。また、前脚がしっかりしている子にとって4輪タイプは歩きづらく、ストレスを感じてしまうこともあります。

一方、前脚の力も弱っている場合は4輪タイプを選んであげましょう。2輪タイプではすぐ歩けなくなってしまいますし、それ以前に立ち姿勢を維持できない可能性もあります。前脚の脚力が残っているかどうかを飼い主さんが一人で見極めるのは難しいので、できれば直接試乗させてもらいながら、愛犬にあった車椅子を探せると安心です。試乗することが難しい場合は、かかりつけの動物病院で相談してみるとよいでしょう。

車輪の数以外ではどんなことをチェックするといいでしょう?

(画像:Instagram / @yukoandvanilla

車輪の数以外にもチェックすべきポイントはたくさんあります。車椅子を選ぶ上で大切なポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

サイズ調節ができるものを選ぶ

車椅子は体に装着して使うものなので、犬の体にきちんとフィットしていないと、違和感や歩きにくさを感じて歩いてくれないことも多いです。そうすると、せっかく購入したのに全然使えなかった、なんてことも…。そうならないためにも、きちんとサイズ調節ができるものを選びましょう。また、2輪タイプから4輪タイプへの切り替えや、4輪タイプから介護用カートへ切り替えられる車椅子を選ぶと、愛犬の状態が変わってもずっと使うことができます。

備え付けのパーツをチェック

車椅子の種類によって付いているパーツが異なるので、愛犬の状態を考慮して最適なものを選びましょう。例えば、後ろ足が完全に麻痺している場合には、足を引きずらないように後ろ足をしっかり固定してくれるホルダー付きの車椅子を選ぶ必要があります。また、4輪タイプの車椅子には、あご起きや胴当てがついているものもあります。

シニア犬は軽さを重視して

若い犬のリハビリ目的で使用する場合は、壊れにくいしっかりした作りの車椅子を選ぶことが多いですが、シニア犬のサポート用に選ぶなら、頑丈さよりも軽さを重視しましょう。あまり重いものだと体力の衰えたシニア犬にとっては負担になりますし、犬が違和感を感じて歩いてくれないこともあります。持ち運びにも便利なので、できるだけ軽い車椅子を選ぶといいですよ◎

車椅子はどこで入手したらいいでしょう?

(画像:Instagram / @erika_hoppy

車椅子を借りることができる場所

動物病院や老犬ホーム、トリミングサロンの中には、車椅子を貸し出ししてくれるところもあります。車椅子の使用を検討しているなら、まずは周囲の人に相談してみるといいでしょう。犬友達から使わなくなった車椅子を譲ってもらった、という話も耳にします。

また、最近は犬の車椅子のレンタル屋さんも増えてきているので、そういったお店に頼るのもいいと思います。レンタルなら愛犬の体の状態に合わせて、常に最適な車椅子を借りることができるでしょう。

車椅子を購入できる場所

車椅子を購入できるところはさまざまです。一つ一つオーダーメイドで手作りしてくれる車椅子屋さんもあれば、インターネットで既製品を購入することもできます。また、インターネット上には中古の車椅子も多く出回っているので、コストを抑えるために中古品を探すのもいいでしょう。

ただし、前述した通り、車椅子のサイズが愛犬の体にあっていないと、違和感や歩きにくさから全然歩いてくれないこともあります。そうならないためにも、必ずサイズを調節できるものを選びましょう。できればオーダーメイドで愛犬の体にぴったりフィットする車椅子を作ってもらうのが理想です。

自作の車椅子を活用している人も

飼い主さんの中には市販品を購入せず、ホームセンターなどで材料を買ってきて、自分で車椅子を作っている方もいます。お客様からの注文を受けて、本格的な車椅子を制作しているお店の中にも、「最初は自分の愛犬のために作ってみたところから始めた」という方も多いです。日曜大工が得意な方、コストをできるだけ抑えたい方は、車椅子の作り方を載せている動画やブログを参考に、安全性に十分考慮しつつ自作してみるというのも一つの方法です。

最後に

犬用の車椅子はお散歩のサポート以外にも、いろいろなシーンで活躍してくれます。愛犬が寝たきりになったときにも使えるアイテムなので、上手に活用できるといいですね。もし車椅子選びで悩んだときは、かかりつけの動物病院にも相談してみるといいでしょう。