老犬が夜鳴きをするのはなぜ?原因別に対策をしよう

シニア犬の夜鳴きは夜通し続くこともあり、飼い主さんを悩ませることも少なくありません。ここでは年を取った犬が夜鳴きをする理由と対策について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

年齢とともに激しくなる愛犬の夜鳴き

若いころは無駄吠えのないおとなしい子だったのに、歳を重ねるにつれて夜鳴きをするようになることがあります。長年連れ添った愛犬に幸せなシニアライフを送ってほしいと思っていても、夜鳴きが悪化すると家族みんなが寝不足になったり、ご近所トラブルになったりして、ついストレスに感じてしまうこともあると思います。愛犬にイライラする自分を責めてしまう飼い主さんもいらっしゃるでしょう。

老犬が夜鳴きをする原因は?

高齢の犬が夜鳴きをする理由は実に様々。夜鳴きの原因によって対処法も変わってくるので、まずはその原因を知ることが大切です。

体の痛み

犬も年を取ると様々な病気にかかりやすくなります。例えば関節炎や心臓病、癌(がん)は高齢の犬によく見られる疾患です。しかし、病気のせいで体に痛みを感じていても、犬は言葉を話すことができないので、飼い主さんにどこが痛いのか伝えることができません。慢性的に痛みを感じて、夜鳴きをすることもあります。

認知症

認知症は脳や自律神経に異常が生じ、様々な症状が現れる病気です。認知症を発症すると、今までのような意思疎通が取れなくなり、長年連れ添ってきたはずの愛犬が何を求めているのか理解できず、不安に感じる飼い主さんもいるでしょう。意味もなく夜鳴きを続けたり、ひどいときには一晩中吠え続けるケースもあります。認知症は根本的な治療法がなく、症状の進行を遅らせる治療が一般的なので、少しでも異常を感じたら早めに獣医師に相談するようにしましょう。認知症に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、合わせて読んでみてください。

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体の衰えからくる不安

高齢になった犬は徐々に身体機能が衰えていきます。そして今までは自分でできていたことができなくなると、不安を感じやすくなります。頼れる飼い主さんが近くにいないと、より不安を感じやすくなり、寝室を分けている場合には飼い主さんを求めて夜鳴きをすることがあります。

要求したいことがある

飼い主さんに何かを要求して夜鳴きをする場合もあります。足腰の痛みからトイレに行けなかったり、お水を飲めなかったりした場合に、飼い主さんに助けを求めて鳴くケースです。もちろん、お水を飲みたい時やトイレに行きたい時などはしっかりサポートしてあげる必要がありますが、単にこっちに来てほしくて甘えて鳴いている場合は下手に気にかけると「吠えると来てくれる」と覚えてしまい、悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。

老犬が夜鳴きをする時の注意点

老犬の夜鳴きは、子犬の夜鳴きとは原因も対処法も異なります。子犬が夜鳴きをした時は、できるだけ構わないようにするのが基本ですが、老犬の場合はそうとは限りません。

夜鳴きの原因をきちんと把握する

高齢の犬が夜鳴きするのには様々な原因があり、その原因によって対処法が異なります。病気が隠れているなら早急に治療する必要がありますし、体力の低下によって自分のしたいことができなくなっているなら環境を整えてあげる必要があります。若いころとは違った接し方が必要となってきますので、まずは原因をきちんと把握するために動物病院を受診しましょう。

無視してもいいの?

病気による夜鳴きや不安からくる夜鳴き、排泄やお水を飲みたいなどの要求からくる夜鳴きの場合は、無視しないできちんと対応しましょう。ただし、獣医師に診てもらった上で、特にそうした事情がないと判断された場合は、「鳴いたら誰か来てくれる」と覚えて鳴いている可能性も考えられます。これはまだ比較的若い、10歳前後のシニア犬によくみられる傾向です。老犬になると寂しい・甘えたいという気持ちが強くなるので、構ってもらえるまで鳴くことがあります。飼い主が一緒に寝れば解消するかもしれませんが、そういった対応ができない場合は、構いすぎず無視し、「夜鳴きしても誰も来てくれない」と学習させるようにしましょう。

叱ってしつけようとするのはダメ

愛犬の夜鳴きが続くと飼い主さん側のストレスが大きくなり、ついイライラしてしまう方もいると思います。しかし、叱っても犬には叱られている理由が理解できませんし、叱ることで夜鳴きが改善されるわけではありません。むしろ叱られたことによってストレスを感じて体調を崩してしまったり、夜鳴きが悪化してしまうことも考えられます。

 ご近所迷惑にならないようできること

そうはいっても犬の夜鳴きは、ご近所にも迷惑がかかります。あらかじめシニア犬がいることを伝えておくなどして、ご近所さんとコミュニケーションをとっておきましょう。ご近所付き合いがうまくいっていると、状況を理解してもらえるはずです。また、防音機能が備わったゲージなどの夜鳴き対策グッズも販売されているので、利用してみるのもひとつの手かもしれません。

夜鳴きの原因別に対策を

愛犬が夜鳴きをするようになったら、まずは動物病院を受診しましょう。夜鳴きの原因を探りつつ、獣医師に相談しながら対策を考えてください。

体の痛みからくる夜鳴き対策

体のどこかが痛くて夜鳴きをしているのであれば、動物病院で適切な治療を受ける必要があります。治療によって痛みがなくなれば、夜鳴きも解消されるでしょう。ただし、完全に痛みを取り切ることができない場合もあるので、そんなときはできるだけ犬にとって負担がかかりにくいような環境を整えてあげてください。

認知症による夜鳴き対策

認知症が原因なら、時間の感覚がなくなって昼夜逆転の生活リズムになってしまっている場合があります。規則正しい生活をさせるために、朝になったら日光を浴びさせ、日中外に行けるようならお散歩に連れ出してあげましょう。夜眠れるよう、昼間は活動的に過ごさせてあげてください。動物病院で症状を和らげるための薬やサプリメントを処方してもらえることもあります。

不安からくる夜鳴き対策

視力が衰えたり体に痛みを感じたり不安を覚えるようになると、今まで以上に飼い主さんから離れたがらなくなります。そのような不安から夜鳴きをしている場合は、犬のベッドや、ベッドの入ったサークルごと飼い主さんの寝室に移してあげると解消されることもあります。

要求による夜鳴き対策

自分で歩くことが難しく、トイレに行きたいのに行けない、お水を飲みに行きたいのに行けないなどの理由で飼い主さんを呼んでいるときは、できる限り対応してあげてください。ただ、夜中ずっと起きて対応するわけにもいかないと思うので、オムツの練習をしたりお水の器をベッドの近くや飲みやすい場所に置いたりして、生活環境を整えてあげましょう。

愛犬の夜鳴きにストレスを感じたら

長年連れ添った愛犬は、飼い主さんにとって大切な存在だと思います。とはいえ、連日のように夜鳴きが続くと、飼い主さん側にかかる負担も大きくなり、お世話をするのが辛くなる時もあるかもしれません。そんなときは1人で抱え込まず、まずはかかりつけの獣医さんに相談してみましょう。獣医さんに相談しても解決しないときは、老犬ホームを頼ってみるのもいいと思います。老犬ホームでは生涯預かりだけでなく、デイケアサービスや短期間の預かりものサービスもあります。詳しくは『愛犬を手厚く介護してくれる老犬ホーム。施設選びのポイントは?』で解説しているので、そちらの記事も合わせて読んでみてください。

また、愛犬の行動異常に疲れてしまったときは、行動治療専門の獣医師を頼るのもおすすめです。とにかく1人で抱え込まず、安心して相談できる先を探してください。

最後に

年齢とともに愛犬が夜鳴きをするようになったら、まずはかかりつけの動物病院に相談してみましょう。夜鳴きのせいで寝不足が続くと飼い主さんのストレスも大きくなり、ついイライラしてしまうこともあると思いますが、そんなときは1人で抱え込まず、ぜひ専門家を頼ってください。