シニア犬は体調不良や夏バテなどからごはんを食べてくれないことが多くなります。獣医さんから「食べられるものを食べさせてあげて」と言われたとき、どんなものを食べさせてあげたらいいのでしょうか?ここでは、シニア犬の食事に詳しい獣医師の林先生に、おすすめな食べ物を教えてもらいました。
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老犬が食欲不振になってしまったら
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愛犬が食べてくれないと心配ですよね。食事内容や食事環境を見直すことで食欲を取り戻すこともあるので、まずは落ち着いて原因と対策を考えてみましょう。
食べない原因は?
シニア犬が食欲不振に陥るのには、さまざまな理由があります。運動量が少なくなって、お腹が減りにくいのかもしれませんし、基礎代謝が低下して、そもそも必要とするエネルギー量が少なくなっているのかもしれません。若い頃に比べて食べる量が少なくなるのは、ある程度仕方のないことです。ただ、噛む力や飲み込む力が衰えたり、食べる体勢を長時間維持できなくなったり、体力の低下が原因で、食べたいのに食べられなくなっていることもあります。また、病気が原因で食欲が落ちていることもあるので、そのようなときは適切な対応が必要になります。
食欲不振に陥った時の対策について
愛犬が食欲不振に陥ってしまったら、まずはかかりつけの動物病院へ連れていき、原因をきちんと把握しましょう。体力の低下が原因で食欲が落ちている場合は、食事台を使って高さを出してあげたり、足元に滑り止めを敷いてあげたり、環境を整えるだけで食欲が戻ってくることがあります。シニア犬に優しい食事環境の作り方については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。
シニア犬はさまざまな理由から、ごはんを残したり食べなくなったりすることが増えてきます。高齢になってからごはんを食べてくれなくなると、飼い主さんとしてはとても心配になりますよね。そこで今回、愛犬が食欲不振に陥ったときどのように対処すればいいの[…]
また、食事内容の見直しも効果的です。かかりつけの獣医さんにも相談しながら、その子が食べやすいものを探してあげましょう。
老犬が食欲不振に陥ったときにおすすめな食べ物
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その子の好みにもよりますが、食欲が落ちているときはスープやおかゆ、ゼリー状のものなどが食べやすいかもしれません。ここでは、水分と栄養を補いやすく、食欲が落ちている子でも比較的食いつきのいい食べ物をご紹介します。持病によっては制限が必要なものもあると思いますが、ぜひ参考にしてみてください。
おうちで取り入れやすいもの
食欲が落ちている時は、食べられるものも限られてしまいますよね。そんなときは人間用の食材を取り入れてみてください。少量ずつ色々な種類を用意できますし、愛犬が残した時は飼い主さんのおやつにすることもできるので、食材を無駄にしなくて済みます◎
<タンパク質>
- 温泉卵
- お豆腐:冷蔵庫から出したての冷たい状態で与えるとお腹を冷やす可能性があります。人肌くらいに温めてから与えてください。
- ヨーグルト:愛犬に与えるときは無糖のものを選ぶのが基本です。ただし、体重を増やしたい時は、砂糖やはちみつを少量加えてあげるとよいでしょう。
- 豆花(トウファ):豆乳でできたプリンみたいな食感の台湾スイーツ。お豆腐よりもやわらかく、ほのかに甘味を加えても美味しく食べられます。豆乳を寒天やゼラチンで固めるだけで、自宅でも簡単に作れますよ◎
<炭水化物>
- おかゆ:ミキサーにかけるとより飲み込みやすくなります。
- 甘酒:愛犬に与える時は必ず麹からできた、ノンアルコール・ノンシュガー・食塩不使用のものを選んでください。
<野菜類>
- りんごなどフルーツのすりおろし
- 寒天ゼリー:小さくカットした果物や果汁を寒天で固めると、簡単にゼリーが作れます。
その他、とろみのついたスープもおすすめ。お水にその子が好きな具材を入れて、柔らかくなるまで煮込めば美味しいスープになります。とろみをつけるときは片栗粉ではなく、体を温める作用がある「葛」を使うといいですよ◎。なお、スープを作るときは水分量にご注意ください。食欲が落ちている子の場合、水分量が多すぎると食べきれない可能性があります。
市販品で取り入れやすいもの
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手作りするのが不安なとき、時間がなかなか取れないときは、市販品を上手に活用しましょう。ここでは食欲が落ちている子におすすめな市販品をいくつかご紹介します。
■いぬぴゅーれ
とろとろとしたやわらかな食感のピューレ状おやつ。無添加なのでお腹が弱いシニア犬にも安心して与えることができます。牛もも、鶏ささみ、緑黄色野菜、海鮮ミックスなど味のバリエーションが豊富で、愛犬の好みのものを探しやすいでしょう。投薬のサポートアイテムとしてもおすすめです◎
■ヤギミルク
栄養価が高くて水分補給もできるヤギミルクは、食欲が落ちている子におすすめです。お水やぬるま湯で溶かす粉末タイプが使いやすいでしょう。犬用ヤギミルクは色々な商品がありますが、無添加のものを選ぶと安心です◎尚、犬は牛乳に含まれる「乳糖」をうまく分解できないため、お腹を壊すことがあります。愛犬に与える時はヤギミルクか、後述するキャメルミルクを与えてください。
■キャメルミルク
ヤギミルクよりも栄養価が高く、アレルギーの原因物質と言われるカゼインを含まないキャメルミルク(ラクダのお乳)は、最近かなり注目されています。ただし、ヤギミルクよりも高額になるので、愛犬の好みによって使い分けてあげるとよいでしょう。
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■猫缶
猫ちゃん用の缶詰はドッグフードよりも味が濃いため、食欲がない時でも食べてくれることがあります。パテタイプやムースタイプは噛む力が衰えている子でも食べやすいと思います。ただし、猫缶ばかり食べていると栄養バランスが崩れてしまいます。継続して食べると体調不良の原因となるので、あくまで一時的なものとして使用しましょう。特に持病がある子は取り入れても大丈夫かどうか、事前にかかりつけの獣医師に確認するようにしてください。
最後に
愛犬が食べてくれないと、飼い主さんの方が不安になってしまうかもしれません。けれど、犬は飼い主さんの様子を敏感に察知します。食事中に飼い主さんが暗い顔をしていると、ますます食欲がなくなってしまうかもしれないので、食事の内容を見直しつつ、できるだけ楽しい雰囲気を作るよう意識してあげてくださいね!