老犬になっても快適に過ごしてもらうために。お部屋作りのポイント8つ

シニア犬はできないことが少しずつ増えていきますよね。そんなときは家具の配置や床材などを見直して、愛犬がいくつになっても快適に生活できるよう、環境を整えてあげましょう。ここではシニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に、シニア犬に優しいお部屋作りのポイントを伺います。 

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老犬になるとどんな変化が起きるのでしょうか?

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犬も人間と同じように、年を取るとさまざまな変化が現れます。ただし、愛犬の行動に変化が現れたときは、「きっと年齢のせいだろう。」と自己判断しないで、必ずかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。中には病気が隠れているケースもあるからです。

老犬の変化① 足腰が弱くなる

シニア犬になると徐々に筋肉量が落ちていきます。踏ん張る力が衰えて、フローリングのような滑りやすい場所を上手に歩けなくなったり、転倒してしまうこともあるでしょう。また、病気が原因でうまく歩けなくなることもあります。例えば、関節炎や椎間板ヘルニアなどを発症すると、動いた時に痛みが出るため歩くのを嫌がるようになります。

老犬の変化② 家具に挟まる

家の中を探索していて行き止まりに突き当たったとき、犬は後ろ歩きをして方向転換をします。しかし、高齢になると後ろ歩きが苦手になることが多いです。その結果、家具の隙間に挟まって動けなくなってしまったり、行き止まりになった壁の前で必死に前進しようと、もがくようになったりすることがあります。

老犬の変化③ 目が見えにくくなる

シニア犬になると年齢的な問題や白内障などの病気が原因で、視力が低下することは多いです。通り道に障害物があると、気づかずにぶつかってしまったり、壁や家具などにゴツゴツとぶつかりながら歩くようになることもあります。

老犬の変化④ 気温や気圧の変化に敏感になる

シニア犬は体温調節機能が衰え、暑さや寒さが苦手になります。夏は熱中症にかかりやすく、冬は体が冷えやすくなります。気温の変化で体調を崩すことも多いため、若い頃以上に気をつけてあげてください。また、気圧の変化が原因で体調を崩してしまうのも珍しいことではありません。梅雨の時期や台風の時期は特に注意をして様子を見守ってあげましょう。最近は気圧予報アプリなどもあるので、上手に活用してください◎

 

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老犬が快適に暮らせるお部屋を作るポイント

老犬のためのお部屋づくり① 清潔な空間を保って

愛犬が高齢になってきたら、今まで以上にお部屋を清潔に保つよう心がけましょう。特に心臓病や気管支疾患などで咳が出やすい子がいる場合は、埃などを吸い込んでしまわないよう、こまめに掃除をしてあげてください。また、愛犬の視力が低下してきたときは、余計なものを片付けて、愛犬の通り道に物を置かないようにしましょう。

ちなみに、犬は目が見えなくなったとき、家具の配置などの記憶を頼りに行動しています。愛犬の目が見えなくなってから大規模な模様替えをするのは控えた方がいいでしょう。

老犬のためのお部屋づくり② 床には滑り止めを

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シニア犬になって足腰が弱くなると、滑りやすいフローリングなどで踏ん張りが効かずに転倒したり、自力で立ち上がれなくなることがあります。このようなときは滑りにくい床材に変えてあげるとよいでしょう。摩耗したペットマットやタイルマットなども、シニア犬にとっては歩きにくい可能性があります。踏ん張りの効く、歩きやすい床材に変えてあげることで、自力で歩く期間を伸ばしてあげられます。シニア犬に優しい床材はこちらの記事で詳しくご紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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老犬のためのお部屋づくり③ スロープやステップを取り入れる

シニア犬になると、お気に入りのソファやベッドなどを自力で昇り降りすることができなくなります。このようなときはステップやスロープをつけて対策してあげましょう。犬も再び自分で昇り降りできるようになれば自信がつきますし、ステップやスロープを使って歩くことは、残った筋力を維持するためのいいトレーニングにもなります。中には慣れないステップやスロープを上手に使えず、ピョーンと飛び降りて余計に足腰に負担がかかってしまうケースもあるので、設置したばかりの時はきちんと使えるように練習してあげてください。

 

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さらに足腰が弱ってくると、ケージの入り口やトイレトレーなど、本当にちょっとした段差が苦手になることもあります。歩きにくそうにしているときは、できるだけ段差が少ないものに変えてあげると、より暮らしやすくなるでしょう。もし、愛犬の通り道に電源コードがある場合は、片付けたりテープで床に留めたりして、引っかからないような工夫をしてあげてください。

老犬のためのお部屋づくり④ 食事環境もチェック

筋力が衰えると食事の体制を維持することも難しくなります。その結果、食欲が低下したり、お水を飲む量が減ってしまうことも…。シニア犬は頭を床まで下げるのが大変になるので、食事台の上に器を置いてあげると食べやすくなりますよ◎食器を傾けてあげたり、体を支える椅子を置いてあげたり、床材を見直すのも効果的です。シニア犬に優しい食事環境についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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なお、シニア犬はさまざまな理由から水を飲む量が減り、体が脱水しやすくなります。日々の飲水量をチェックしつつ、ベッドの近くに水飲み場を設置してあげたり、抱っこで水飲み場に連れていってあげるなどして、こまめに水分補給ができるよう工夫してあげましょう。

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老犬のためのお部屋づくり⑤ トイレ環境もチェック

フローリング対策をしている飼い主さんは多いと思いますが、意外と盲点なのがトイレシートです。足腰の衰えたシニア犬にとってはトイレシートの上も滑りやすく、トイレの体勢を維持できなくなったり足元がふらついたりして、トイレを失敗することが多くなります。滑りにくいトイレシートに切り替えたり、トイレトレーを使用するなどして、トイレの環境も見直してあげましょう。シニア犬に優しいトイレの作り方はこちらの記事で詳しく解説しています。

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老犬のためのお部屋づくり⑥ 緩衝材をつける

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視力が低下したり足元がおぼつかなくなると、色々な場所にゴツゴツとぶつかるようになります。ぶつかった場所が悪いと、眼球を傷つけてしまうことも…。家具の角や椅子の脚など、愛犬がよくぶつかる場所にはクッションやプチプチなどの緩衝材をつけてあげるとよいでしょう。愛犬が嫌がらないようであれば、目元や頭を保護してくれる帽子を被せてあげるのもおすすめです。

 

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老犬のためのお部屋づくり⑦ 適度な温度と湿度を保つ

愛犬が高齢になったらを設置して、お部屋の中を快適な温度・湿度に保ってあげることが大切です。室温は22〜24℃、湿度は40〜60%になるよう、加湿器や除湿器、空調などで調節してあげましょう。ちなみに、犬が生活する床の近くは冷たい空気がたまりやすく、飼い主さんが思っている以上に冷えていることがあります。温度計・湿度計は愛犬が生活する高さに設置してあげると、より快適な環境を保ちやすくなりますよ◎

老犬のためのお部屋づくり⑧ お留守番カメラを設置して

シニア犬はとても繊細で、飼い主さんの思いもよらないところで体調不良に陥ることがあります。愛犬の過ごしているお部屋にお留守番カメラを設置しておけば、外出中や家事をしている間に、離れたところから見守ることができるので安心です。

特にお留守番の間は、お留守番カメラを定期的にチェックするようにしてください。シニア犬は若い頃に比べると不安を感じやすく、「分離不安症」という心の病気を発症するリスクが高まります。お留守番をしている愛犬の様子に異変を感じたら、早めにかかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。

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老犬のためのお部屋を作ってあげるのもおすすめ

愛犬がいろいろなものにぶつかるようになったり、頻繁に家具の隙間に挟まってしまうようなら、愛犬専用のお部屋を作ってあげるのもおすすめです。まず、愛犬専用のお部屋をどこに設置するのか、スペースを決めます。周りを柵などで囲い、さらにその柵をクッションや緩衝材などで覆ってあげましょう。体が小さい子なら子供用のビニールプールやビニール製の円形サークルでも代用可能です。その際、床に滑り止めを敷くのも忘れずに。

 

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飼い主さんが見守ってあげられない時やお留守番をして欲しいとき、自由に体を動かして欲しい時などに、専用のお部屋で過ごさせてあげるといいですよね。こちらの記事では愛犬のためのお部屋の作り方を詳しくご紹介しているので、ぜひ合わせてご覧ください。

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最後に

愛犬にいつまでも元気で暮らしてもらうためには、居住環境を整えてあげることは非常に大切です。環境を整えてあげることは、愛犬が自力で生活できる期間を伸ばすことにも繋がります。飼い主さんにとっても犬にとっても、ストレスの少ない穏やかな暮らしができるようになるでしょう。