シニア犬は運動量が低下し、足腰の筋力もだんだんと衰えていきます。筋肉が落ちてくると、歩く時にふらついたり踏ん張れずに滑ってしまったりすることも多くなります。そこで今回、犬の介護やリハビリに詳しい獣医師の丸田先生に、できる限り健康な足腰を維持するためのマッサージについて、詳しくお話を伺いました。
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老犬は足腰が弱くなりやすい
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足腰が弱くなる原因は?
愛犬が高齢になると、歩いている時に尻もちをついたり、ふらついたりすることがあります。筋力の低下が原因であることも多いのですが、中には椎間板ヘルニアや関節疾患などの病気が隠れている可能性もあるので注意しましょう。特にシニア犬はこうした病気にかかりやすいです。普段とは違う様子が見られるときは「年のせいかな?」で片付けず、必ずかかりつけの動物病院で診察を受けるようにしてください。
足腰が弱ってきた時のサイン
愛犬の足腰が弱ってきたら、早いうちからケアを始めてあげましょう。以下のような様子が見られたら、足腰が弱ってきているサインかもしれません。
- 太ももが細くなる。
- 歩いているときにふらつきが見られる
- 横たわるときにドサッと横たわるようになる。
- 起き上がるまでに時間がかかる。
- 階段の上り下りが出来なくなったり、段差を踏み外したりする。
- 背中が曲がっているように見える。
- お尻が小さくなる。
筋肉の低下はある日いきなり起きるのではなく、少しずつ進んでいくものです。注意していなければ小さな変化を見過ごしてしまうこともあります。愛犬がシニア期を迎えたら、今まで以上に様子を見守り、早め早めにケアしてあげられるといいですね。足の筋力が衰えてきた時の対策についてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
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老犬の足腰が弱ってきたら、マッサージを取り入れて
愛犬の筋力が衰えてきたら、ぜひ日々のケアの中にマッサージを取り入れてください。マッサージには固まった筋肉をほぐしたり、血行をよくしたりする効果があります。
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全身の筋肉をほぐすマッサージ
シニア犬は運動量が低下し、血行が悪くなりがちです。血行が悪くなると筋肉のコリや関節のこわばりが悪して、ますます運動量が低下するという悪循環に陥ります。定期的にマッサージをして全身の筋肉をほぐしてあげるとよいでしょう。また、血行がよくなると体の冷えも改善されます。体の冷えは免疫力の低下や腸の機能の低下を招くので、愛犬の健康を維持するためにもマッサージを取り入れてあげてください。
<全身マッサージのやり方>
- 頭から尾にかけて、背骨を人差し指と親指で挟むように優しく揉みます。
- 足の付け根から太ももにかけて優しく筋肉をほぐすように揉みます。足先は親指のはらでさするようにマッサージしてあげましょう。特に小型犬は足が細いので、最初はどこに筋肉があるのかを探る程度で大丈夫です◎
- 愛犬の顔を両手で包み、親指が目の下にくるように手を置き目の下から耳にかけて親指でさすります。
- 愛犬の足首を優しく持ち、ゆっくりと関節を曲げたり伸ばしたりします。(※詳細は下の「屈伸運動を取り入れる」へ)。
- ①〜④を各5回ずつ行います。
屈伸運動を取り入れる
運動量が低下すると関節がこわばりやすくなったり、体に痛みが出やすくなったりします。中でも寝たきりの子は足を伸ばしたまま寝ていると、1週間程度で膝が曲がらなくなると言われているので、そうなる前にしっかり関節をほぐしてあげましょう。犬は自分で屈伸運動ができないので、飼い主さんが優しく関節を曲げ伸ばししてあげます。動画のように犬の関節が曲がる方向を見極めて、ゆっくり優しく曲げ伸ばししてあげてください。各脚5回程度が目安です。関節に痛みがあると嫌がることもあるので、愛犬が嫌がるとき、マッサージのやり方がわからないときは無理をせず、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
立ち上がりが弱い子におすすめ!肉球マッサージ
犬の肉球にはさまざまなツボが存在します。適度に刺激することで血行促進や免疫力アップの効果が期待できますよ◎。特に立ち上がりが弱い子は、肉球マッサージをすることで改善することもあるので、ぜひ無理のない範囲で取り入れてみてください。一番大きい肉球から先端に向かって、親指のはらを使って優しく押してあげましょう。嫌がらないようなら肉球の間も優しくマッサージしてあげて。ただし、肉球は大変デリケートな部分で嫌がる子も多いです。嫌がる時は無理せず、肉球を軽くさすったり、足先を軽く握ったりするだけでもマッサージ効果が得られます。
マッサージを取り入れるのに最適なタイミングは?
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無理は禁物
マッサージは毎日続けてほしいものなので、飼い主さんにとっても愛犬にとっても無理のない範囲で取り入れてみてください。「しっかり筋肉をほぐさないと!」と真剣に考えるよりも、愛犬が気持ちよさそうにしてくれる場所を探すようなイメージで取り組むといいでしょう。お互いにリラックスできているといいですね。初めはなでるくらいの力で、優しくマッサージしてみてください。愛犬が嫌がる時は無理をせず、少しずつ慣らしていきましょう。関節炎や椎間板ヘルニアなどの病気が原因で体に痛みがあると、触られるのを嫌がることがあるので、あまりに嫌がる場合は一度かかりつけの獣医師に相談してみてください。
始める前に声かけをしてあげて
ぼんやりしている時にいきなりマッサージをされるとびっくりして、マッサージが苦手になってしまう場合があります。特に目が見えにくくなっていたり、耳が聞こえにくくなったりしている子の場合は、後ろからいきなり触らないよう注意しましょう。始める前に愛犬の正面に回って声をかけたり、軽くなでてあげたりして、「これからマッサージを始めるよ」ときちんと伝えてあげてください。
マッサージのタイミング
高齢になって寝ている時間が長くなると、血行が悪くなり体も固まりやすくなります。マッサージをすることで血行が促進されて体の動きがスムーズになるので、ぜひ寝起きのタイミングでマッサージをしてあげてください。また、急激に体を動かすのはシニア犬にとって大きな負担となります。お散歩前やお出かけ前にマッサージや屈伸運動を取り入れることで、転倒や怪我の予防にも繋がります。一方、食後すぐにマッサージをすると苦しくなったり、嘔吐の原因になったりする可能性があるので、食後は少し時間をあけてからマッサージするようにしてください。
老犬になったら筋トレや環境整備も大切!
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愛犬の足腰が弱ってきた時は、日々のマッサージとあわせて筋トレを取り入れたり環境を整備したりすることも大切です。愛犬ができる限り自分の力で生活できるよう、色々工夫してあげてください。
無理のない範囲で筋力トレーニングを
足腰の筋力が低下してきたら、ぜひ無理のない範囲で筋トレも取り入れてみてください。一度足腰が弱ってしまっても、しっかり筋トレをすることで筋肉がついて、再び元気に歩けるようになることもあります。適度に負荷のかかる砂浜をお散歩したり、緩やかな芝生の坂を上ったりするだけでも、筋力トレーニングになります。こちらの記事ではおうちで簡単にできる筋トレをいくつかご紹介しているので、愛犬が楽しみながらできる方法を探してみてください。
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環境整備も忘れずに
健康な足腰を維持するためには、愛犬が快適に過ごすための環境整備も非常に大切です。フローリングや摩耗したタイルマットのような滑りやすい床材を見直したり、足裏の毛をこまめに刈ってあげたりするだけで、運動量の低下を防ぐことができるでしょう。すでに足腰が弱っている子の場合は、脚に装着するタイプの滑り止めアイテムを活用するのもおすすめです。こちらの記事では足が滑りやすくなっている子のためのアイテムをご紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。
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最後に
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全身マッサージにはさまざまな効果があります。血行を良くして筋肉をほぐすだけでなく、スキンシップを通じて飼い主さんとの信頼関係を深め、愛犬のストレスも和らげてくれるでしょう。いくつになっても幸せに暮らしてもらうために、ぜひ日々のケアにマッサージを取り入れてみてくださいね。