愛犬がシニアに差しかかったら考えておきたいこと

愛犬がシニアになると、さまざまな変化が現れます。体力が落ちて今までできていたことができなくなったり、病気にかかったりすることも増えてくるでしょう。そうした年齢による変化を少しでも遅らせるためには、できるだけ早いうちから対策をしておくことが大切です。ここでは、シニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生詳しいお話を伺います。

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年齢とともに現れる変化にきちんと向き合う

老犬への変化

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年齢による変化は少しずつ現れます。そのため、よくよく注意していないと愛犬の変化を見落としてしまうことがあります。まずはきちんと愛犬と向き合うことを意識してみましょう。

いつまでも元気で暮らすために

愛犬のことが大切なあまり、「うちの子はいつまでも若いから大丈夫」「全然元気だし、まだまだ年齢を気にする必要なんてない」なんて思っていませんか?確かに、飼い主さんにとって愛犬はいくつになっても子供のような存在で、これといった問題もないのに年齢のことを考えるのは難しいことかもしれません。

しかし、目に見えた変化がなくても、体は少しずつ、そして確実に変化していきます。小さな変化をそのままにしてしまうと、老化を早めてしまう原因になるかもしれません。愛犬が元気に過ごせる期間をできる限り伸ばすためにも、大きな変化が現れる前から、早め早めにケアしてあげることが大切です。

お部屋の環境も整えて

シニア犬にとって、フローリングのように滑りやすい床の上は歩きにくく、足腰に大きな負担がかかります。高齢になると関節疾患や椎間板ヘルニアなどを発症しやすくなるため、そうした病気を予防するためにも、早めに床材を見直してあげてください。ベッドやソファーなどにステップを設置してあげることも、足腰の負担を軽減することに繋がります。

また、高齢になると体温調節が苦手になるので、ちょっとした気温の変化でお腹がキュルキュルしたり、体調を崩したりすることがあります。若い頃以上にお部屋の気温・湿度をきちんと管理してあげましょう。シニア犬に優しいお部屋づくりについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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シニア初期は太りやすいので注意

シニアに差し掛かったばかりの子は、食欲は旺盛なまま運動量や代謝が落ちてくることが多いです。今までと同じようにごはんを与えていると、太りやすくなるので注意しましょう。肥満になると足腰にかかる負担が大きくなり、関節疾患や椎間板ヘルニアなどを発症するリスクが高まります。また、心臓や気管支にかかる負担も大きくなりますし、糖尿病などにもかかりやすくなります。

適正体重を維持できるようにこまめに体重を測定し、必要に応じてフードを見直してあげるとよいでしょう。シニア初期のフード選びについてはこちらの記事にまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。

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シニア犬の暮らしには獣医師のサポートが不可欠

老犬のサポート

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シニア犬は免疫力が低下し、さまざまな病気にかかりやすくなります。腎臓病や心臓病のように、完治できない病気が見つかることも珍しくありません。こうした慢性疾患は早期発見・早期治療がとても大切です。愛犬の様子をしっかり観察して、少しでも違和感を覚えた時は、すぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。

信頼できるかかりつけの動物病院を探しておく

愛犬が高齢になると、動物病院はグッと身近な存在になります。シニア犬は色々な病気にかかりやすくなる上に、目が見えにくくなったり、足腰が弱くなったりすることもあるでしょう。そんな時、信頼できるかかりつけの獣医さんの存在は何より心強いものです。

愛犬が元気なうちから、獣医さんとしっかりコミュニケーションをとって、なんでも気軽に相談できる関係を築いておきましょう。獣医師にも色々な考えの人がいるので、「ここの病院はなんとなく相談しづらいな。」「この先生の考えはちょっと合わないかも。」と感じる場合には、もしかしたら他の動物病院を探したほうがいいかもしれません。いざというときに困らないよう、安心して頼れるかかりつけの動物病院を早めに探しておきましょう。どうやって探せばいいかわからない場合は、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。

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年齢による変化と間違えやすい病気の症状

愛犬に何かしらの変化が現れたとき、安易に「年齢のせいだろう」と判断するのは危険です。老化現象かと思っていたら病気の症状だった、ということもよくあるので、少しでも愛犬の様子に違和感を覚えたらすぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。

例えば、高齢になるとお散歩を嫌がるようになる子は多いです。しかし、心臓病が隠れていると疲れやすくなり、お散歩に行きたがらなくなることがありますし、関節疾患があるときも、動くと痛いので動きたがらなくなります。また、年を取ると新陳代謝が衰えるので、被毛の状態が変化しやすくなりますが、腎臓病やホルモン疾患を発症したときも毛艶が悪くなるので注意が必要です。

このように、老化現象によく似た症状が現れる病気がいくつもあるので、少しでも異変を見つけたときは絶対に自己判断せず、必ず獣医師による診察を受けるようにしてください。

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健康診断はこまめに

シニア犬によく見られる心臓病や腎臓病、肝臓病などは、初期のうちはこれといった症状が現れないことも珍しくありません。こうした病気を早期に発見するためには、定期的に健康診断を受けることが何よりも大切です。

高齢になったら少なくとも、半年に一回は健康診断を受けるようにしましょう。血液検査だけでは見つけられない病気もあるので、レントゲンやエコーなどの画像検査までセットにしておくと安心です。元気なうちから動物病院に通うことで、獣医さんや動物病院のスタッフさんとの関係性を構築することもできます。

それぞれの検査でどのようなことがわかるのか、どこまで検査をしてあげたらいいのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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どこでもドアと老犬

歯の治療についても考える

歯周病はシニア犬に多い病気の一つです。悪化すると口の中に膿が溜まったり、出血したりするようになります。痛みから食欲が低下することもありますし、腎臓や心臓にも悪影響があるのできちんと治療をしてあげなくてはなりません。

ただし、歯周病の治療には基本的に全身麻酔が必要になります。高齢になってからの全身麻酔はリスクが高く、特に心臓や腎臓に持病があると全身麻酔をかけられなくなることもあります。そのため、根本的な歯科治療を希望しているなら、愛犬が元気なうちに完治させておいた方がよいでしょう。かかりつけの獣医さんにも相談しながら、歯科治療についてもきちんと考えてみてください。

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できるだけ早めに練習を開始して

歯磨きする老犬

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愛犬が高齢になって色々な変化が現れたとき、「もっと早くにケアしてあげればよかった。」とならないよう、早め早めに色々なケアを開始しておきましょう。ここでは、早めに練習を開始しておくとよいことをご紹介します。

歯磨きの練習

歯周病予防のためには、毎日の歯磨きがとても大切です。特に高齢になると洗浄効果のある唾液の分泌量が減るため、歯周病菌が口の中で繁殖しやすくなります。一度全身麻酔をして歯をキレイにしても、日々の歯磨きを怠っているとやがて再発してしまうので、必ず歯磨きをするようにしてください。

「小さい頃に練習しなかったからもう無理」「口に触らせてくれないから諦めている」という飼い主さんもいると思いますが、歯磨きの練習には根気強さが何よりも大切です。大人になってからでも、諦めずに練習していれば歯磨きさせてくれるようになるので、がんばって練習を続けてあげましょう。

 

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心臓病や椎間板ヘルニアなどの病気になると、病状を悪化させないために安静が必要になるので、そうなると歯磨きの練習はさらに難しくなります。愛犬が元気なうちから、早めに練習を開始してあげてください。

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目薬の練習

シニア犬になると目のトラブルも多くなります。白内障や緑内障のような目の病気を発症することもありますし、視力が落ちたことで家具の角などにぶつかって目を怪我することもあります。そのような場合、自宅での点眼が必要になることがあるのですが、目薬を嫌がる子は非常に多いです。治療の目薬がストレスにならないよう、愛犬が元気なうちから目薬の練習を開始しておくとよいでしょう。目薬のさし方についてはこちらの記事を参考にしてください。

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そもそも高齢になると涙の量が減って、目が乾燥しやすくなったり目やにが出やすくなったりします。目の病気を予防するためにも、市販の生理食塩水や人工涙液などを点眼してあげるといいですよ◎ただし、人間用の人工涙液には爽快感がある商品が多いので、そうしたものは絶対に使わないようにしましょう。どの商品を購入すべきか悩んだ時は、かかりつけの獣医師に相談すると安心です。

オムツの練習

高齢になるとトイレの失敗をすることが増えてきます。そんな時、愛犬がスムーズにオムツをつけてくれると、飼い主さんのお世話もグッと楽になりますよね。とはいえ、高齢になってからオムツをつけると、嫌がってつけてくれなかったり、オムツをつけることがストレスになったりすることがあります。

まずは短い時間だけつけてみて、慣れてきたら少しずつ装着する時間を伸ばしてあげるとよいでしょう。元気で食欲がある子なら、大好きなお食事タイムだけオムツの練習をするのもおすすめです◎

室内トイレの練習

トイレはお外でしかしない、という子もいると思います。しかし、高齢になって足腰が弱ってくると、外出自体が大変になり、思うようにトイレができなくなるかもしれません。また、シニア犬は体温調節機能が衰え、気温の変化に敏感になります。暑い日や寒い日の外出が難しくなることもあるのです。

だからと言ってトイレを我慢していると、膀胱炎や腎臓病などの病気にかかりやすくなります。室内でもトイレができるよう、今のうちから練習をしておきましょう。室内トイレの練習方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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いざという時のために!早いうちから調べておこう

シャンプーする老犬

(画像:Instagram/ @jubilee2011 )

愛犬が高齢になると、今まで預かってくれたペットホテルやトリミングサロンを利用できなくなることがあります。いざというときに困らないよう、頼れる預け先や安心できるトリミングサービスなどは早め早めに探しておきましょう。

お留守番時の預け先

シニア犬は視力や聴力の衰えから不安を感じやすくなり、お留守番が苦手になることがあります。また、愛犬に持病があると、お留守番中に突然体調を崩すこともあるので、飼い主さんとしても心配ですよね。

そんなとき、信頼できる預け先があれば安心です。家族や親戚、友人を頼るのもいいですし、プロのペットシッターさんにお願いするのもいいと思います。ただし、シニア犬は急な環境の変化が苦手なので、できるだけ元気なうちから預かってもらう練習をしておくといいでしょう。愛犬のストレスを極力減らすことができます。

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老犬のお留守番

トリミングサロン

一般的なトリミングサロンは、体力がある元気な子のためのトリミングサービスを提供している場所です。何時間も立ちっぱなしでシャンプーやカットをされるのは、シニア犬にとって大きく体力を消耗する原因になります。その結果、体調を崩してしまうケースも珍しくありません。

高齢になって体力が衰えてきたら、シニア犬に優しいトリミング方法を探してみましょう。動物病院のトリミングサービスなら、愛犬の体調を考慮しながらトリミングしてくれますし、いざというときにすぐ獣医師の診察を受けられるので安心して預けられます。また、最近はシニア犬のためのトリミングサービスを提供しているところもあるので、そうしたプロにお願いするのもいいでしょう。飼い主さんがおうちでカットしてあげるのも、愛犬にとってストレスの少ない方法なのでおすすめです。

こちらの記事ではシニア犬に優しいトリミング方法をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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くつろぐ老犬

最後に

笑顔の老犬

(画像:Instagram/ @moyumori )

愛犬が高齢になると、今までにないさまざまな変化が現れるようになります。愛犬にずっと元気で暮らしてもらうためにも、「うちの子はまだ大丈夫」と考えるのではなく、「なにが起きても大丈夫!」なように準備を進めておきましょう◎