老犬のお留守番は心配…。安全にお留守番してもらうためにできること

シニア犬は突然体調を崩すことが多くなります。高齢になった愛犬をひとりお留守番させることに、不安を感じる飼い主さまも多いでしょう。そこで今回は、シニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に、シニア犬のお留守番で注意すべきポイント、お留守番中の環境の整え方について詳しく伺います。

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老犬になると留守番が苦手になることも

犬のお留守番

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若い頃は問題なくお留守番できていた子が、年齢を重ねるにつれてお留守番が苦手になるケースは多いです。なぜ、高齢になるとお留守番が苦手になるのでしょうか。

老犬は急に体調を崩しやすい

高齢になると体力も免疫力も衰えるため、ちょっとしたことで体調を崩しやすくなります。気温や気圧の変化の影響を大きく受けたり、中には月の満ち欠けの影響を受ける子もいます。また、飼い主さんがいないことへのストレスから、体調を崩してしまうのも珍しいことではありません。
心臓病や腎臓病などの持病がある子は容体が急変する可能性もあるので、ひとりでお留守番をさせるのはとても心配ですよね。

老犬は不安を感じやすい

視力や聴力が衰えたり、思うように体を動かせなくなったりすると、若い頃よりも不安を感じやすくなります。信頼できる飼い主さんがそばにいてくれると安心するので、年々甘えん坊になっていく子も多いでしょう。

しかし、飼い主さんへの依存が強くなりすぎて、飼い主さんが出かけようとすると執拗に吠えたり、お留守番のときに限って粗相をするようになったりしたときは、「分離不安」を発症している可能性があるので注意が必要です。「分離不安」とは、飼い主さんから離れることに強いストレスを感じる心の病気で、シニア犬によく見られます。
きちんと治療することでケアできるので、少しでも違和感を覚えたら早めにかかりつけの獣医さんに相談しましょう。分離不安症についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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家具の間に挟まってしまうことも

シニア犬は後ろ歩きが苦手になることがあります。特に認知症を発症していると後ろ歩きが難しくなるため、家具の隙間に挟まって抜け出せなくなることがよくあります。お留守番中に挟まってしまうと、飼い主さんが帰ってくるまでそのまま抜け出せないこともあるので注意しましょう。

また、視力が低下すると家具に頭をぶつけたり、障害物で目を傷つけたりすることもあります。愛犬が高齢になったら、安全にお留守番できるような環境をきちんと整えてあげてください。

安心してお留守番できる環境を整えよう

ナナちゃん

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愛犬に少しでも快適にお留守番をしてもらうためには、安心できる環境作りが何よりも大切です。いざという時に困らないよう、早め早めに準備できるといいですね。

お留守番のためのお部屋づくり

ケージフリーでお留守番をさせる場合は、行動できる範囲を限定しておくと安全な環境を作りやすいです。例えば、危険物の多いキッチンの入り口に柵を設置する、物の多い書斎に入らないように扉を閉めておくなど、危ない場所には立ち入れないようにしておきましょう。

また、物につまづいたりぶつかったりして怪我をしないよう、愛犬が自由に過ごせるスペースでは余計なものを片付けておきます。気管支や心臓に病気がある子の場合は、ほこりなどを吸い込むと咳が出やすくなるので、特に清潔な状態を心がけて。エアコンや除湿機などを使って、お部屋の温度湿度はなるべく一定に保ってあげることも大切です。

ケージ内でお留守番する場合は、ケージの素材を見直すのもおすすめです。転倒や衝突の恐れがある場合は、柔らかいビニールでできたサークルに変えてあげたり、ケージの内側にクッションをつけてあげると怪我のリスクを抑えられます。

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オムツに慣らしておくと安心

シニア犬はトイレの失敗が多くなります。寝ている間に粗相をしてベッドもろともずぶ濡れになったり、排泄物を踏んでしまって部屋中汚してしまったりすることもあります。飼い主さんがすぐに片付けてあげられないお留守番の間は、より被害が拡大するかもしれません。

こんなことにならないよう、お留守番の時だけでもオムツをつけられるといいですね。いきなりつけっぱなしにすると嫌がる子が多いので、まずは短時間の着用から始めてみましょう。寝ている時だけつけてもいいですし、食欲旺盛な子の場合は大好きなごはんの間だけつけてみるのもおすすめです。初めてのオムツ選びはぜひこちらの記事を参考にしてください。

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また、ペット用のオムツには、ウンチをしっかりキャッチしてくれる画期的なオムツもあります。しっぽ部分についた袋がウンチを上手にキャッチするので、踏み荒らしを防げて愛犬の体も汚れません◎

 

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安心できる預け先を探しておく

高齢になった愛犬をひとり家に置いていくのは、飼い主さんにとっても不安なこと。とはいえ仕事や用事でやむなく家を留守にすることもあるでしょう。そんなときは信頼できる預け先があると安心です。

頼れる親戚や友人が近くにいるなら、定期的に預けるようにしておくと愛犬のストレスを最小限に抑えることができます。また、自宅に来てくれるペット専用のシッターさんもいるので、そうしたサービスを上手に活用するのもおすすめです。ただ、いきなりお家に知らない人が来ることは犬にとってストレスになる可能性があるので、慣れるまでは飼い主さんも一緒にお家にいてあげるとよいでしょう。

また、高齢になったり持病があったりすると、ペットホテルの利用を断られるようになりますが、そのような時は老犬ホームを頼るのも一つの方法です。老犬ホームには、日中だけ預かってくれるデイサービスがある施設もあります。老犬ホームを利用するときもあらかじめ見学をして、愛犬が快適に過ごせる施設かどうか、きちんとチェックしておきましょう。

 

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ケージやクッションでお留守番専用スペースを作ってあげて◎

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すぐに家具の間に挟まってしまう、家具にぶつかって怪我をしてしまう場合には、ケージやクッション、バスマットなどを使って、愛犬専用のお部屋を作ってあげるとよいでしょう。ケージを使う場合はぶつかっても痛くないよう、内側にクッションやウレタンマットを取り付けてあげると安心です。

体が小さい子なら、子供用ビニールプールもおすすめ。滑らないように底に滑り止めを敷いてあげてください。トイレ対策として、ペットシーツを敷き詰めるのもいいと思います。

 

 

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安全なお留守番に役立つアイテムも上手に活用しよう

犬のお留守番

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愛犬と離れていても、いざという時にきちんと対応できるように、色々なアイテムを上手に活用しましょう。ここでは、お留守番の時にあると便利なアイテムをご紹介します!

お留守番カメラ

愛犬が高齢になってきたら、お留守番カメラを導入しましょう。あらかじめカメラを設置しておくと、外出中でもスマートフォンからお家にいる愛犬の様子を確認できます。異変があった時にアラートを出してくれるカメラもあるので、愛犬の状態に合わせて最適なお留守番カメラを選んであげてください。お留守番カメラの選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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こっちを見る老犬

なお、飼い主さんがいないことに強いストレスを感じる心の病気「分離不安」は、飼い主さんがいない時に症状が出ることが多く、なかなか飼い主さんが気づけないこともあります。お留守番カメラがあれば、分離不安の症状も早期に発見することができます。

スマートリモコン

特に季節の変わり目など、寒暖差の激しい時期になると、外出先で「今日のエアコンの設定、大丈夫だったかな…。」と不安になることもあるでしょう。そんなとき、外出先からエアコンの設定を変更できたら安心ですよね。

最近、外出先から操作できる「スマート家電」が登場しましたが、いきなり家電を買い替えるのはなかなかハードルが高いと思います。そんなときにおすすめなのが「スマートリモコン」。自宅にあるエアコンのリモコンと連携させておくと、外出先でもスマートフォンから操作できるようになります。もちろん、エアコン以外の家電と連携することも可能です◎

温度・湿度計

お留守番カメラから見える場所に温湿度計を置いておくことで、外出中でも部屋の温度と湿度を確認することができます。定期的に温度や湿度をチェックして、スマートリモコンでエアコンを調節してあげれば、自宅の中を一定の気温に保ってあげることが可能になります。

老犬のお留守番対策はできるだけ早めにスタートして

犬のお留守番

(画像:Instagram/ @uniji0310

愛犬が元気で、お留守番も上手にできていると、お留守番対策について真剣に考える機会がないかもしれません。しかし、シニア犬は突然体調を崩したり、長期的なケアが必要な病気にかかったりします。いざという時に困らないよう、できるだけ早いうちから将来のことを考えておきましょう。

人馴れ・場所慣れの練習

犬はもともと環境の変化が苦手な生き物です。特に高齢になると不安を感じやすくなるので、慣れない場所に連れて行かれたり、知らない人がお家に来たりすると、大きなストレスを感じて体調を崩す恐れがあります。いざという時、愛犬のストレスにならないように、できるだけ元気なうちから頼れる預け先を探しておきましょう。

リモートできる仕事への転職

愛犬が頻繁に体調を崩すようになったら、仕事とプライベートのバランスを保つのが難しくなります。愛犬のために何度も会社を休むのか、それとも具合の悪い愛犬を置いて出社するのか、非常に難しい選択を迫られることもあるでしょう。可能であれば、在宅で働ける仕事への切り替えを検討してみてください。転職には時間がかかるので、こちらも早め早めに動いておくことが大切です。

愛犬のお世話のために、やむをえず仕事を辞めるという選択をされる方もいますが、シニア犬と暮らしていると高額な治療費が必要になることもあります。家族ともしっかり話し合って、愛犬をサポートしてあげる環境を整えてあげましょう。

貯金

シニア犬との暮らしはどうしてもお金がかかります。病気の治療費はもちろん、介護用品を購入したりペットシッターを頼んだりすると、出費はどんどんかさんでいくでしょう。いざという時に金銭面で困らないように、しっかり貯金をしておくことも大切です。まとまった貯金があれば、愛犬のお世話をするために仕事を辞めるという決断もしやすいかもしれません。

最後に

犬のお留守番

(画像:Instagram/ @shoko_nero_mam

高齢になった愛犬にひとりでお留守番をしてもらうというのは、犬にとっても飼い主さんにとっても不安なこと。どちらも安心して過ごせるよう、お留守番の環境を見直してみましょう。元気なうちからしっかりお留守番対策をしておくと、いざという時の助けになります。