シニア犬になって体力が落ちてくると、お風呂に入るだけで疲れてしまうことがあります。とはいえ清潔な状態を保つためには、定期的なお手入れが欠かせませんよね。そこで、体力が落ちたシニア犬に優しいお手入れのやり方について、シニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に詳しいお話を伺います。
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老犬はお風呂だけで疲れてしまうことも…
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愛犬が高齢になり、「最近シャンプーの後はずっと寝ているな。」「お風呂のあと、いつもより熟睡していることが多いな。」なんて感じることはありませんか?もしかしたら年齢とともに体力が低下して、お風呂に入るだけで疲れてしまっているのかもしれません。
滑りやすい浴室の中は足腰が弱っている子や視力が落ちている子にとって特にストレスの多い環境です。そうなった時はバスタイムの環境を整えてあげることと合わせて、お風呂の頻度も見直してみましょう。日々こまめにお手入れをしておくと、お風呂の回数を減らすことができますよ◎
シニア犬になると体力が衰え、ちょっとしたことで体調を崩してしまうことも多くなります。若い頃は平気だったシャンプーも、今までと同じやり方をしているとシニア犬にとっては大きな負担になることも…。そこで今回は、動物病院やサロンなどでトリミング経験[…]
老犬が汚れやすいポイントを覚えておこう
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ごはんの時間
シニア犬になると、食事中に体を汚してしまうことが多くなります。筋力が衰えて食べる姿勢を維持することが難しくなり、お皿に顔を突っ込んで食べたり床に撒き散らしながら食べたりする子もいるでしょう。視力が落ちていると距離感を見誤って、お皿に衝突することもあるかもしれません。また、硬いフードが苦手になって、ふやかしたドライフードやスープ状のごはんを食べている子は、どうしても顔や胸周りの被毛に飛び散りやすくなります。
その子によって色々なごはんの食べ方があるので、愛犬がどんな風に食べ、体のどこが汚れやすい部分なのかを日頃からチェックしておくといいですよ◎
排泄物で汚れることも
シニア犬はトイレのトラブルも多くなります。寝ている間におもらししてしまったり、足腰が弱くなって排泄物の上に尻もちをついてしまったりして、体が汚れることも増えると思います。中にはお留守番中にウンチを踏んでしまった愛犬がそのまま部屋を歩き回って、帰宅してみると、部屋も愛犬も排泄物まみれになっていたなんて経験をされた方もいるかもしれません。
そんな時はおむつを取り入れてみるのも一つの方法です。まずは短時間つけるところから始めてみましょう。そこから少しずつ付ける時間を伸ばし、無理なく慣れさせてあげられるといいですね。
愛犬のトイレの失敗が増えたことから、犬用オムツについて検討したことのある飼い主さんもいるでしょう。オムツを嫌がる犬は多いと思いますが、実際のところどうなのでしょうか?ここでは犬用オムツのメリット、デメリット、愛犬に適したオムツ選び方などつい[…]
また、ウンチをキャッチしてくれるオムツも販売されているので、そういったアイテムも上手に取り入れてみてくださいね。
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老犬は目やにが増える
高齢になると涙の分泌量が低下するため、目やにが増えることがあります。放置すると固まって取りにくくなるだけでなく、雑菌が繁殖しやすくなるので、気づいたらこまめに拭き取ってあげてください。固まってしまった目やには無理に引っ張ったりせず、お湯で濡らしたタオルやキッチンペーパーなどでふやかしてから拭き取るとスルッと落とせます。目やにのケアについてはこちらで詳しく解説しているので、気になる方はぜひあわせてご覧ください。
シニア犬は年齢的な問題から、目やにの量が増えることがあります。とはいえ、あまり頻繁に目やにが出ているようだと心配になってしまいますよね。ここでは、シニア犬の目やにの原因や対処法、動物病院に連れて行くべきタイミングについて、シニア犬の介護に詳[…]
なお、突然目やにの量が増えたり、黄色や緑色の目やにが出たりする場合は、怪我や病気が隠れている可能性があるので、早めにかかりつけの獣医師に診てもらうようにしましょう。
老犬のシャンプーの頻度を少なくするためにできること
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日頃からこまめにお手入れをして清潔な状態を維持しておくと、シャンプーの頻度を減らしたり、お風呂時間を短縮したりすることができます。ここでは、きれいな状態を保つためにできることをご紹介します。
トリミングの工夫
お耳周りの飾り毛やふわふわしたお尻など、トリミングにこだわりがある飼い主さんは多いと思います。ただ、愛犬が高齢になってきたら、デザイン性の高いカットよりもお手入れしやすいカットの方が、お互いの負担を減らすことができるのでおすすめです。特に汚れやすいお口周りや耳周り、肛門付近や尻尾の毛は、短めにしておくことで清潔な状態を維持しやすくなります。
お食事タイムの工夫
ごはん中にお顔や胸周りの被毛が汚れてしまう子は、スヌードやスタイをつけてあげるといいでしょう。胸の毛をカバーしてくれるスタイは、ベビー用品を代用してもいいですし、100円ショップのアイテムやキッチンペーパーで簡単に作ることができます。
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また、食事中にお耳や耳周りの被毛が器の中に入ってしまう子は、顔まわりをすっぽり覆ってくれるスヌードもおすすめです。スヌードはネットでも購入できますし、お家にあるミニタオルなどで手作りしてあげるとぴったりサイズのアイテムを作れますよ◎
おしり周りのお手入れ
排泄物でお尻周りが汚れてしまった時は、しっかり洗って乾かしてあげることが大切です。汚れの程度がひどいとお尻拭きシートでふき取るだけでは汚れが残ってしまう可能性がありますし、きれいにしようと何度も皮膚をこすることで肌を傷つけてしまうかもしれません。シャンプー剤を使ってもいいので優しく丁寧に洗ってあげてください。
愛犬の体力が落ちて頻繁にシャンプーすることが難しい場合は、色んなアイテムをウォシュレットのように活用するのがおすすめです。下にペットシートを敷いておくと後片付けも楽ですよ◎ここでは手軽に取り入れられるアイテムをいくつかご紹介します。
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■赤ちゃんおしりシャワー
■GRILLTIDER グリルティデル(IKEA)
(画像引用元:IKEA)
こちらはドレッシングの容器ですが、ぬるま湯を入れればウォシュレットとして使えます。口が狭いので水の量を調節しながら出すことができ、愛犬の体をピンポイントに洗うことができるでしょう。
▼ご購入はこちら
なお、生乾きのままオムツを履かせてしまうと、蒸れてしまってオムツかぶれの原因となります。シャンプーやウォシュレットをした後は、ドライヤーでしっかり乾かしてあげましょう。
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シャンプー剤を使わなくてもキレイを保てる◎
(画像:Instagram/ @jrt_ryunosuke )
若い頃は平気だったはずなのに、高齢になるとシャンプーを嫌がるようになることがあります。また、寝たきりになってしまうと頻繁にお風呂に入れてあげることが難しくなりますよね。そんな時はシャンプー剤を使わなくてもキレイを保てる方法があるので、ここでご紹介します。
シャンプーシート
お風呂やシャンプーが苦手な子には、シャンプー剤が不要なシャンプーシートでこまめに体を拭いてあげるときれいな状態を保ちやすくなり、お風呂の頻度を減らすことができます。便利アイテムを上手く活用して、愛犬を負担やストレスから守ってあげましょう。
■JOYPET(ジョイペット) シャンプータオル
皮膚や被毛のケアに毎日お使いいただける厚手のシャンプーシートです。愛犬がなめても安心な食品添加物でできた洗浄成分と、コラーゲン2種などのうるおい成分も入っています。
■PAWNAXペットウェットティッシュ
汚れが落とせる入浴剤
バスタブに浸かってお湯を体にかけてあげるだけで、汚れを落とすことのできる入浴剤もあります。お風呂の時間を短縮でき、シャンプーが苦手な子の負担も軽減できるでしょう。特にシニア犬は体が冷えやすいので、体を温めながらきれいにできるのは嬉しいですね。
ただし、シニア犬は肌が弱いので、入浴剤を使用した後はしっかり体をすすぐようにしてください。
■愛犬用 炭酸入浴剤ぬくりん バラの香り
洗浄成分が入っており、お湯に浸かってなで洗いするだけで体をきれいにできます。水切れがよく、乾かす時間も短縮できるでしょう。「バラ」と「森林」の二種類の香りがあるので、香りが気になる方はお試しサイズを購入してみるといいかもしれません。
<公式サイトはこちら>
■グッドスキンデイズ 第3のシャンプー
天然成分100%で、合成界面活性剤も無添加のやさしい入浴剤です。お湯に浸かりながら体を流すだけなので、愛犬の負担も飼い主さんの負担も減らすことができます。目に入らないよう、やさしくお湯をかけて体をきれいにしてあげてください。
<公式サイトはこちら>
マイクロバブルシャワーヘッド
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実は、美容アイテムとして注目を集めているマイクロバブルシャワーヘッドも、時短アイテムとして活用できます。マイクロバブルシャワーヘッドとは、毛穴よりも小さな気泡を発生させることのできるシャワーヘッドのことで、高い洗浄力と保温・保湿の効果が期待されています。石鹸を使わなくても皮膚に書いた油性マジックが消えるのですから、驚きですよね。
汚れをしっかり落としていると乾かす時間も短縮できるので、お風呂が苦手な愛犬にぜひ試してみてはいかがでしょうか?
最後に
(画像:Instagram/ @mimuru )
愛犬が高齢になって体力が落ちてきたと感じたら、お風呂の入れ方やお手入れのやり方も見直してみましょう。飼い主さんにとっても愛犬にとっても、できるだけ負担がないように清潔な状態を保ってあげられるといいですね。