【老犬のための暑さ対策】注意すべきポイントとおすすめクールアイテム

シニア犬は気温の影響を受けやすく、暑い時期は体調を崩すことが多くなります。そのため、夏場は若い頃以上に気をつけてあげなくてはなりません。今回、シニア犬の暑さ対策について、シニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に詳しいお話を伺いました。

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シニア犬はなぜ暑さに弱いのでしょうか?

田んぼと老犬

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犬は、暑くなるとハァハァと口を開けて呼吸をすることで体内の熱を外に逃します(パンティング)。しかし、高齢になると体温調節機能が低下するため、暑さに弱くなるのです。また、シニア犬になって体力が落ちると、パンティングをすることも負担になります。暑さから食欲が衰え、ごはんを食べられなくなってますます体力が落ちるという悪循環に陥ることもあります。
尚、心臓や呼吸器疾患があってパンティングしやすい子の場合は、飼い主さんが熱中症に気づきにくいので特に注意してあげてください。

シニア犬の暑さ対策はどんなことに注意したらいいでしょう?

クッションの上で寝ている老犬

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こまめに水分補給を

シニア犬は喉の渇きに鈍感になったり、水飲み場まで移動するのが大変になったり、様々な理由から水を飲まなくなることがあります。中には体が脱水していても水を飲まないケースもあります。飲水量が少ないと熱中症のリスクも高まりますし、内臓にも大きな負担がかかります。高齢になったら日々の飲水量をチェックし、水飲み場をベッドの近くに移してあげたり、食事から水分摂取できるように工夫したりしてあげてください。愛犬の飲水量が低下したときの対策については、こちらの記事で詳しくまとめています。

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室内も要注意

ひなたぼっこは愛犬のストレスを解消したり、体内時計を整えたりする効果がありますが、夏場のひなたぼっこには注意が必要です。特に足腰が弱ってスムーズに移動できない子や寝ている時間が長い子の場合、長時間日に当たって体が熱くなっていてもそのままそこに留まって熱中症を引き起こすことがあります。

冷やし過ぎにも注意

シニア犬は暑さに弱いですが、だからと言って冷やし過ぎるのもNGです。体温調節機能が低下しているため、一度冷えてしまった体をなかなか温めることができず、体が冷え過ぎてしまうことがあります。冷えは血行不良を引き起こし、胃腸の働きが低下したり、免疫力が低下したりします。こまめに愛犬の体をチェックして、冷えすぎないように注意してあげてください。

【シニア犬の暑さ対策①】お部屋作りのポイントを教えてください

温度計と湿度計を活用して

梅雨と老犬

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気温がそこまで高くなくても、湿度が高いと熱中症になる危険性があるので注意しましょう。また、高齢になると気温だけでなく湿度や気圧の影響を受けやすくなります。ちょっとした温度・湿度の変化から体調を崩すこともあるので、お部屋の中に温度計と湿度計を設置し、できるだけ一定の環境を維持してあげましょう。犬が生活する床付近は冷たい空気が溜まりやすいので、温度計と湿度計は床の近くに設置するといいですよ◎
ちなみにエアコンの除湿機能を使うと寒くなりすぎる場合は除湿機の活用がおすすめです。

扇風機は直風が当たらないように

夏場、扇風機を活用する方もいると思いますが、シニア犬の暑さ対策として使う場合は、愛犬に直接風を当てないようにしましょう。ずっと風が当たっているとその部分だけ冷えて血液循環が悪くなります。首振りにして風が当たり続けないようにするか、サーキュレーターのように床付近に溜まっているエアコンの冷たい空気を上に送る目的で使用するとよいでしょう。

見守ってあげられない時はどうする?

飼い主さんが外出するときや夜間など、愛犬の様子をそばで見守ってあげられない時もありますよね。そんな時はエアコンを使ってできるだけ室温を一定に保ってあげてください。また、愛犬が自分で快適な場所を選べるように、暖かい場所と涼しい場所を作ってあげるといいでしょう。例えば、クールマットを敷いた通気性のいいベッドと毛布やブランケットを使った暖かいベッドを用意しておけば、好きな方で休むことができます。
最近は外出先から温度や湿度チェックができるお留守番カメラや、外出先でもスマホを使ってエアコンの電源を入れることができるスマートリモコンなども販売されているので、興味がある方はぜひチェックしてみてくださいね。

【シニア犬の暑さ対策②】お出かけ時の注意点を教えてください

紫陽花と老犬

(画像:Instagram/ @aim_mai  )

お散歩は日中を避ける

これはシニア犬に限ったことではありませんが、夏場、暑い時間帯にお散歩させるのはやめてください。熱中症のリスクもありますし、熱くなったアスファルトで肉球を火傷する恐れもあります。特に高齢になると若い頃以上に体への負担が大きくなるので、お散歩に行くときは早朝や夕方など涼しい時間帯を選びましょう。

お出かけ時も気をつけて

お散歩だけでなく、お出かけをする時も十分に注意してください。涼しいお部屋の中から突然暑い屋外に出ると、急激な気温の変化から体調を崩す可能性があります。また、カートでのお出かけも注意が必要です。カートの中で熱中症になっていて、発見が遅れてしまうことがあります。こまめに愛犬の様子を見てあげるようにしましょう。

紫外線から守ってあげて

強すぎる日差しはシニア犬の皮膚にダメージを与えます。皮毛には紫外線から皮膚を守る役割があるので、サマーカットのような被毛を短くするカットは避けましょう。皮が薄くなっている子や、治療や介護の問題で毛を刈り上げている子は、紫外線をカットしてくれる薄くて涼しい生地のお洋服を着せてあげるといいでしょう。
紫外線は白内障を進行させる原因にもなるので、愛犬が嫌がらないのであれば帽子やサングラスなどで目を保護してあげるのもおすすめです。

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頬を寄せあう老犬

冷却グッズを使用する時の注意点

夏場のお出かけに冷却グッズを使う方もいるでしょう。冷却バンダナのように体につけて使うアイテムは冷やし過ぎないよう気をつけてください。タオルで厚く巻いて穏やかに冷えるようにするか、毛の多いところにつけると冷え過ぎを予防してくれます。定期的に肌に触れてみて冷えすぎていないか確認する、こまめにつけたり外したりして調節するなど工夫してあげてください。

【編集部Choice!!】老犬におすすめのクールマット8選

寝ている老犬

(画像:Instagram/ @ke_rock_ )

ひんやり素材でできたクールマットは、快適な夏をサポートしてくれます。ペット用のクールマットには布タイプやアルミタイプ、石タイプなどさまざまな種類があります。それぞれ冷却力が違うので、愛犬に最適なものを選んであげましょう。

布タイプのクールマット

布タイプのクールマットは、やさしいひんやり感が特徴です。軽いので持ち運びしやすく、お手入れも簡単。ベッドの上、ベッドの横、カートの中など、色々な場所にさっと敷けるのが魅力です。冷えすぎてしまう心配も少ないので、自分で移動が難しい子にも安心して使用できるでしょう。

■Eight Dogsクールマット

ひんやり素材を使用した、薄くて軽いペットマットです。コンパクトなサイズ感でさっと折りたたむことができるので、お出かけ時にも持ち運びしやすいでしょう。リーズナブルなので一枚持っておくといいかもしれません。ただし、滑り止めなどはついていないので、掘り癖のある子はクシャッとなりやすいです。

ジェルタイプのクールマット

ジェルタイプは布と比べて冷感の持続力が長めです。中には冷却力が強すぎて、愛犬の体が冷えすぎてしまうものもあるので、定期的に愛犬の様子を見ながら使用しましょう。また、噛み癖やひっかき癖のある子は中のジェルを誤食してしまう恐れがあるので、ジェルタイプは避けた方が安心です。

■Shinyeeジェルクールマット

XSからXXLまで豊富なサイズ展開が魅力のジェルマット。抗菌・防臭・防ダニ加工がされており、防水なのでお手入れもラクラク。無毒なジェルと耐久性のあるカバーを使用しています。

■モダンデコ スピードクーラー

こちらは人間の赤ちゃんにも使用できる冷却マットです。サイズが豊富なので、お愛犬の体にあわせてぴったりなサイズを選べるでしょう。色と柄も豊富で、インテリアに合わせて選べるのが嬉しいですね。冷却力が比較的強いので、冷えすぎる場合は上からブランケットなどを重ねて調節してあげてください。

大理石タイプのクールマット

お手入れが簡単な石タイプのマットは頑丈なので、噛んだりひっかいたりする癖がある子にも安心して使用できます。ただ、かたいところが好きではない子や痩せ気味の子には向かないので、愛犬の好みや体のことを考えて選んであげましょう。

■ペットひんやり大理石マット

天然の大理石を使用したクールマットで、お手入れは軽くふき取るだけでOK。石は重いのでずれにくく、ノミやダニの繁殖の心配もありません。ここでは白い大理石のビアンコカラーラをご紹介していますが、他にもいくつか石の種類があるので、インテリアに合わせて選べるのも嬉しいですね。愛犬の体の大きさに合わせて数枚を並べて使用してもいいでしょう。

■大理石ペットひんやりボード

こちらは石の種類を選べない分、安価なのが特徴の商品です。大きさは40cm×30cm、厚みが約2~3cmとなり、1回の注文で3枚までは同じ石の種類と厚みで注文できます。厚みのある方がひんやり感が強くなりますが、段差に躓きやすい子には薄いマットのほうがより安心でしょう。愛犬の体や様子に合わせて大きさと厚みを選んであげるといいですね。

その他クールマット

■通気性のよいござタイプ

こちらは通気性のよい竹を使用したござマットです。表面はひんやり滑らかな素材なので、やさしく涼をとることができます。抗菌防臭・消臭加工が施されており、汚れたら手洗いすることも可能です。底面には滑り止めがついていて、丸めてコンパクトに収納できます。

■ひんやり感の強いアルミタイプ

高純度アルミニウムを使用したペットマットです。アルミなので軽く、持ち運びやお手入れが簡単にできます。サイズはSから2Lまでの展開があるので、愛犬の体の大きさや置き場所に合わせて選べるでしょう。ただし、直射日光に当てると板が熱くなるので、屋内の日の当たらない場所で使用してください。

【編集部Choice!!】マット以外にも♪便利なクールアイテム

カエルの服と老犬

(画像:Instagram/ @cjstyle9010

■クールベッド

もっちりとしたクッションで体を優しくしっかり支えてくれるひんやり触感のベッドです。上質なオーガニック綿を使用した3次元メッシュ構造で蒸れにくく、丸洗いも可能です。洗っても型崩れしません◎顎のせ部分も超クール素材でできています。

■クールミスト

地肌にシュッと振りかけると涼しくなるミストです。無農薬のティーツリーオイルやメンソールリキッドを使用し、肌に触れるとスッとした清涼感があります。ただし、これらの成分がほのかに香るので、使用の前に愛犬が嫌がらないか、ミストを吹き付けたティッシュを 嗅がせるなどしてチェックしてあげてください。もし体に吹き付けた後に嫌がるようなら、シャワーで流してあげましょう。

■クールベスト

熱を遮断する素材を使用したひんやりベストです。裏地は背中側が通気性の良いメッシュ素材で、お腹側はひんやり気持ちいい接触冷感素材になっています。さらに保冷剤を入れられるポケット付き。UVカット素材なので愛犬の皮膚を紫外線から守ることもできますね。皮毛が薄くなってきた子や、毛を短くカットしている子は、お出かけするときこのようなベストで皮膚を保護してあげるとよいでしょう。

■クールバンダナ

首元を冷してくれる、保冷剤入りのクールバンダナです。首には太い血管が通っているので、首元を冷やすことは熱中症予防に効果的です。ただし、冷やしすぎには要注意。こまめに愛犬の皮膚を触ってみて、冷えすぎていないかチェックしてください。定期的に付けたり外したりするのもおすすめです。また、保冷剤の重さを愛犬嫌がるときは使用を控えてください。

■熱中症計

屋内にいる時や、朝夕の涼しい時間帯でも、熱中症になることがあります。ボタンひとつで温度と湿度を測定でき、熱中症のリスクをすぐに把握できる熱中症計があると便利です。人間が快適でも、車の後部座席やサンルームなどは意外と高温になるもの。愛犬がいる場所で計測してみてください。

最後に

(画像:Instagram/ @luke_anton_matthew )

愛犬が高齢になると、暑さが原因で体調を崩すことが多くなります。今まで以上に暑さ対策に気を使ってあげましょう。体が冷え過ぎないよう注意しながら、愛犬が快適に過ごせる環境を整えてあげてください。