老犬が寝ない…。そんなときは眠れない原因別に対策をしてあげて

愛犬が高齢になると、夜なかなか寝てくれなくなってお困りの飼い主さんは多いと思います。なぜシニア犬は寝ないことが増えるのでしょうか?寝てくれない時はどう対処したらいいのでしょうか?ここではシニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に、シニア犬が寝ないときの対処法について伺います。

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老犬になると寝ないことが増えますよね?

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犬も人間と同じように、高齢になると睡眠の質が変化するようになります。寝つきが悪くなったり、夜中何度も目が覚めてしまったり、ひどいときには一晩中夜鳴きをすることもあります。眠れない愛犬に付き合っているうちに飼い主さんの睡眠時間まで削られてしまい、飼い主さんの方が肉体的にも精神的にも疲れてしまうというケースは多いです。

シニア犬が眠らなくなる原因はさまざまですが、できるだけ早めに対策をすることで、状況を改善することが可能です。犬と飼い主さん、どちらのQOL(生活の質)を維持するためにも、愛犬の眠りが変化してきたと感じたら早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。

老犬が夜寝ないのはなぜですか?原因を教えてください

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老犬が寝ない原因① 要求したいことがある

ぐずって眠らない時は、飼い主さんに何かして欲しいことがあるのかもしれません。シニア犬になると自分でできないことがだんだん増えていきます。そして、飼い主さんに助けを求めるのです。トイレに行きたいのかもしれません。お水を飲ませてほしいのかもしれません。できるだけ愛犬の要求を叶えてあげてください。

老犬が寝ない原因② 不安なことがある

今まで普通にできていたことができなくなってきたり、体が思うように動かなくなってくると、犬は不安を感じやすくなります。飼い主さんから離れることに大きな不安を感じて、分離不安を発症するケースも少なくありません。愛犬と寝室を分けているお家では、夜になって飼い主さんが近くにいないことに不安を感じて、夜鳴きをするようになることもあります。

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老犬が寝ない原因③ 体の痛み

シニア犬はさまざまな病気にかかりやすくなります。関節に痛みが出る関節疾患や、動く時に痛みが出る椎間板ヘルニアの他、膵炎や腫瘍(ガン)、膀胱炎などはシニア犬に比較的よく見られる病気です。どの病気も発症すると痛みが現れることがあり、そのため寝付きが悪くなったり眠りが浅くなったりします。慢性的に痛みを感じて、夜鳴きをすることもあるでしょう。

また、特に病気にかかっていなくても、寝ている時間が長くなると、血行が悪くなったり関節がこわばりやすくなったりして、体に痛みが出やすくなります。

シニア犬が寝ない原因④ 認知症

認知症は愛犬が高齢になった時に気をつけたい病気の一つです。発症すると夜鳴きや徘徊をするようになる他、飼い主さんのことがわからなくなったり、馴染みの場所が分からなくなったりすることもあります。

認知症は一度発症するとどんどん症状が進行してしまうので、できるだけ早めに治療を開始することが大切です。残念ながら完治させることはできませんが、症状の進行を食い止めることはできます。愛犬の様子がおかしいと感じたら早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。認知症の初期症状や治療については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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シニア犬が寝ない原因⑤ 多尿を引き起こす病気

病気が原因でたくさんおしっこが出るようになると、寝ている間も頻繁にトイレに行きたくなって、夜熟睡できないというケースも考えられます。高齢の犬が注意したい腎臓病や糖尿病、クッシング症候群などの病気を発症すると、大量のおしっこが出るようになるため、必然的にトイレに行く回数が増え、夜中に起きることも増えるのです。

老犬が寝ない時はどう対処したらいいですか?

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愛犬がなかなか寝てくれない時は、「年齢の問題なのかな?」で片付けず、できるだけ早めに動物病院へ連れていきましょう。認知症などの病気が隠れているのなら早急に適切な治療を受けさせる必要がありますし、体に痛みがあって眠れないのなら早く対処してあげないと犬はとても辛い思いをすることになります。愛犬が眠れない原因をきちんと把握するためにも、睡眠障害を最小限に抑えるためにも、できるだけ早めにかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

原因別・症状別の対処法を教えてください

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要求したいことがあって寝ないケース

飼い主さんに何かしてほしいことがあってなかなか寝てくれないときは、生活環境を見直すことで改善できる場合もあります。水飲み場が寝ている場所から離れたところにあるのなら、ベッドの近くにも水飲み場を設置してあげるとよいでしょう。トイレまで移動するのがつらそうなら、歩きやすいようにカーペットを敷いてあげたり、地面を滑りにくい床材に変更してあげるのもおすすめです。愛犬が高齢になってもできるだけ自力で生活できるよう、環境を整えてあげてください。

不安から寝ないケース

不安が大きくなって眠れなくなっているときは、寝る前にブラッシングやマッサージを試してみてください。飼い主さんとのスキンシップを通じて不安が和らぎ、リラックスして眠りにつきやすくなります。夜、飼い主さんがいなくなることで不安が大きくなるのなら、寝室を飼い主さんの近くに移してあげるのもいいでしょう。

体の痛みから寝ないケース

病気が原因で体に痛みが出ているのなら、まずはきちんと治療することが大切です。動物病院で痛み止めを処方してもらえることもあるので、薬の力も借りながらなるべく愛犬のQOL(生活の質)を維持してあげましょう。

また、寝ている時間が長くなるとどうしても体に痛みが出やすくなるので、体圧分散マットを活用するのもおすすめです。体圧分散マットだけだと滑ってしまう場合は、人間用のバスマットなどを重ねてもよいでしょう。

 

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なんとか起きあがろうとして寝ないケース

ふかふかしたベッドが好きな犬は多いですが、高齢になって足腰が弱くなるとある程度堅さのあるベッドの方が起き上がりやすくなります。体を起こしてほしくて夜鳴きをしたり吠えたりする場合は、ベッドの硬さを見直すとよいでしょう。

自力で起き上がることができずに落ち着かない子は、介護用の車椅子や介護用クッションを活用するのもいいと思います。立ち姿になるだけで落ち着いてくれることもあるようです。

 

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夜中に徘徊して寝ないケース

シニア犬になると後ろ歩きが苦手になります。そのため、夜中徘徊しているうちに家具の隙間に挟まって動けなくなり、飼い主さんに助けを求めて夜鳴きをしたり吠えたりすることがあります。

自力でしっかり歩くことができる子の場合は、自分の好きなタイミングで歩き回れるよう、徘徊用の専用スペースを作ってあげるとよいでしょう。円形のビニールサークルや子供用のビニールプールの底に滑り止めを敷いてあげると、体が小さい子なら十分な運動スペースを確保できます。体が大きな子の場合は、並べたフェンスにクッションをくくりつけてあげると、ある程度広さのあるスペースを作ることができます。

 

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尚、自力で歩くことが難しくなってきている子の場合は、介護用の4輪の車椅子を活用するのがおすすめ。歩行のサポート用車椅子と違って、少しの力で進むことができるので、自力で歩くことが難しい子でもストレスや運動不足を解消することができます。最近は犬の車椅子をレンタルしてくれるところもあるので、愛犬にあった車椅子を見つけてあげてください◎

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昼夜逆転して寝ないケース

夜眠らなくなった犬は、その分日中に睡眠を取るようになります。生活リズムが崩れると昼夜逆転の生活になってしまうので、このようなときは乱れた体内時計を正してあげることで改善が見込めます。

朝が来たら愛犬も一緒にきちんと起こして、太陽の光を浴びせてあげましょう。日光浴には生活リズムを整えるだけでなく、認知症を予防する効果もあります。また、日中は無理のない範囲でお散歩に連れ出したり、お家の中で遊んであげたりして体を動かしておくと、夜疲れて眠ってくれるようになるでしょう。

一晩中起きていて、明け方やっと眠りについたような日は、午前中はゆっくり眠らせてあげても大丈夫です。ただし、お昼くらいにはちゃんと起こして、日光浴をさせてあげたり、体を動かしてあげるとよいでしょう。

夜中吠えて寝ないケース

「トイレに行きたい」「お水が飲みたい」など、飼い主さんにして欲しいことがあって吠えているときは、要求を満たしてあげることが大切です。しかし、認知症がある程度進行してしまうと、特に要求したいことがなくても、夜中ずっと吠え続けるようになることもあります。こうなるとご近所迷惑になりますし、一緒に暮らす飼い主さんにも大きな負担がかかってしまいますよね。

このような場合は、認知症の治療をすること、生活リズムを元に戻す工夫をすることとあわせて、防音のケージを頼るという手もあります。特に認知症の場合、夜中ひたすら鳴き続けて、鳴き疲れたら眠るという子もたくさんいます。安全な防音ケージの中で心ゆくまで鳴かせてあげることができれば、飼い主さんもその間体を休めることができるのではないでしょうか。

 

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寝ている途中にお漏らしして起きてしまうケース

シニア犬になると色々な理由からお漏らししやすくなります。寝ている間にお漏らしして、ベッドや体が汚れてしまい、飼い主さんに助けを求めて夜鳴きすることもあるでしょう。このようなときは、夜寝る前にトイレに連れて行くようにしてください。犬自身がトイレに行きたがらなくても、庭に出してあげたりトイレシートまで連れて行ってあげたりすると、しっかりトイレをすることがあります。

また、トイレしやすい環境を整えてあげることも大切です。こちらの記事でシニア犬に優しいトイレの作り方をご紹介しているので、ぜひ読んでみてください。

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できるだけ早めにオムツに慣らしておくことも、飼い主さんの負担を軽減してくれるでしょう。

犬の不眠に効果的な処置があったら教えてください

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動物の鍼灸治療

細い鍼やあたたかいお灸でツボを刺激する鍼灸には、病気を予防したり体の不調を改善するだけでなく、不眠の改善にも効果があると言われています。最近は犬などの小動物に対して、鍼灸や漢方などの東洋医学を取り入れる獣医師も増えてきました。犬の場合は椎間板ヘルニア、腫瘍、関節疾患、皮膚病、認知症など、幅広い病気の治療に用いられます。

犬の不眠と鍼灸

体に鍼をする、というと痛そうに思えるかもしれませんが、人間の鍼と同じように痛みはほとんどありません。実際、施術中は気持ちよさそうにじっとしていてくれる犬も多いです。鍼灸は個体によって効果の出方に大きな差があるものの、副作用がなく、体力の衰えたシニア犬に優しい治療なので、愛犬が夜寝てくれないことにお悩みの方は一度試してみるといいでしょう。かかりつけの動物病院に相談してみるか、鍼灸を扱える獣医師をセカンドオピニオンとして選ぶのもいいと思います。鍼灸についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、気になる方はぜひご覧ください。

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薬に頼るのはどうでしょう?睡眠導入剤について教えてください

愛犬が寝てくれなくて生活に支障が出てくると、睡眠導入剤を検討する方もいると思います。ここでは犬の睡眠導入剤がどのような薬なのか、副作用の有無にも触れながらご紹介したいと思います。

睡眠導入剤のメカニズム

睡眠薬には大きく分けると2種類のタイプがあります。ひとつは、睡眠を支えているホルモンの分泌をコントロールすることで、自然な眠気を誘うことができるタイプ。このタイプの薬は本来の眠気を強めるためのものなので、体に優しく、副作用もほとんどありません。ただ、その分効果にばらつきがあり、飲んでもあまり効果がなかったというケースもあります。

もうひとつは脳の機能を低下させて、強制的に眠気を引き出すタイプ。このタイプの薬は脳に直接働きかけるため、効き目は強いですが、副作用が強く出ることもあります。

睡眠導入剤の副作用について

一般的に睡眠導入剤というと、脳に直接働きかけて強制的に眠気を引き出すタイプの薬を処方されることが多いです。ただし、こちらの薬は効き目が強い分、副作用のリスクもあるので、必ずかかりつけの獣医師にしっかり相談してから使用するかどうか決めましょう。内臓にかかる負担も大きくなりますし、認知症が進行してしまうケースもあります。また、薬の効果が切れてくると、頭は起きているのに体がうまく動かせなくなって、犬が余計に吠えるようになってしまうこともあります。

睡眠導入剤は最終手段

認知症がかなり進行してしまった犬の場合、一晩中夜鳴きする日が続くこともあります。飼い主さんの方が精神的に参ってしまって、生活に大きな支障が出るようなときには、最終手段として睡眠導入剤の使用を検討するようになるでしょう。

ただ、強制的な眠気を引き出すタイプの睡眠導入剤は副作用が大きいことから、不眠を改善する目的では処方しないという獣医師も多いです。なるべく早めにケアをしてあげる、睡眠導入剤以外の方法を試す、老犬ホームの一時預かりなどのサービスを頼るなどして、できるだけ睡眠導入剤を使用しなくてもいいように工夫してあげてください。

編集部より、飼い主さんたちのアイデアをご紹介します!

(画像:Instagram / @wankorokoro_

ここからはQooppy編集部より、愛犬が寝てくれないときに飼い主さんたちが実践しているというアイデアをご紹介したいと思います。QooppyのInstagramにお寄せ頂いたアイデアをまとめておりますので、皆さんもぜひ試してみてください。

一度お外に出て気分転換

なかなか寝てくれないときは、一度お外に連れ出して気分転換をするといいようです。寝つけないでいる愛犬に付き合ってずっとお家の中にいるよりも、一度思い切ってお外に出て、一緒に夜風に当たったり車でドライブしたりすると、帰ってきてからスッと寝てくれるという飼い主さんがたくさんいらっしゃいました。

ぎゅーってする

人間の赤ちゃんはおくるみでしっかりめに巻いてあげると落ち着きますよね。それと同じように、犬もぎゅーっと抱きしめると落ち着いて、そのまま寝てくれる子もいるようです。すぐにできる方法なので、ぜひ試してみてください。ただし、体に痛みがある場合は余計痛みが強くなってしまう可能性があるのでやめましょう。

キャリーケースに入れる

キャリーケースが好きな子は、夜キャリーケースに入れてあげると落ち着いて寝てくれることがあるようです。目が見えなくなると、犬も不安が大きくなります。狭い場所の方が落ち着いてリラックスできるのかもしれませんね。

顔面マッサージ

寝てくれないときはお顔のマッサージもおすすめ◎愛犬の顔を両手で優しく包み、親指を使って目の上を優しく撫でてみてください。目頭から目尻に沿って優しくモミモミしていると、だんだんうとうとしてきてそのまま寝てくれることもあるみたいです!

ゆりかごでゆらゆら

人間の赤ちゃんと同じように、ゆりかごにのせてゆらゆらしてあげるとよく寝てくれたという飼い主さんもいらっしゃいました。人間用のゆりかごは価格が高いものが多いため、この飼い主さんは猫用の揺らせるベッドを使用していたそうです。

 

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カミカミでストレス発散!

筋力の衰えなどから十分な運動ができないと、ストレスが溜まったり体力が有り余ったりして、夜眠れなくなることが多くなります。そんなときは少しかためのおやつをカミカミさせてあげるとストレスが発散できて、程よい疲労感にすうっと眠りに落ちてくれることがあるようです。ただし、あまりにかたいおやつは歯が欠けてしまう恐れがあるのでご注意ください。

肉球が熱いときは冷やしてあげる

シニア犬は足先が冷たくなってしまうことが多いのですが、中には興奮すると肉球が熱くなる子もいます。寝る前に肉球が熱くなっているときは、濡らしたタオルで拭くなどして冷やしてあげると、クールダウンして眠りについてくれることがあるようです。

最後に

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愛犬が高齢になって眠りの質が変わってきたと感じたら、できるだけ早めにかかりつけの獣医さんに相談しましょう。いろいろ試しても寝てくれない日が続くようなら、老犬ホームなどの専門家に相談してみるのもおすすめです。ひとりで抱え込まず、上手に付き合っていけるといいですね。