シニア犬になって関節の軟骨が徐々にすり減ると、痛みが出るようになります。愛犬にいつまでも元気でいてもらうために、早めに関節をケアしてあげましょう。ここでは、動物の栄養学に詳しい林先生に、シニア犬の関節ケアの仕方とおすすめサプリメントについて、詳しくお話を伺います。
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シニア犬になると関節が弱ってきますよね?
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関節とは、骨と骨のつなぎ目のことです。硬い骨同士がぶつからないよう、関節では骨の先端を柔らかい軟骨が覆い、クッションのような役割を果たしています。しかし、加齢とともに軟骨成分の生成量が減少すると、軟骨がすり減って骨同士がぶつかり、痛みや炎症が起こるようになります。
一度発症した関節炎は完治させることができないので、早めのケアで予防してあげましょう。また、愛犬が関節炎を発症した時は、早期に治療をすることで進行を遅らせ、痛みを和らげることができます。愛犬が痛がる素振りを見せたときは、できるだけ早めに動物病院で診てもらいましょう。犬が見せる痛みのサインについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関節の病気にはいろいろな種類があります。中には若いうちに発症する関節疾患もありますが、シニア犬に多いのは「変形性関節症」と「免疫介在性関節炎(リウマチ)」です。ここでは、年齢とともに軟骨がすり減って痛みが出る、変形性関節症について解説します[…]
シニア犬の関節ケアのためにできることを教えてください
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関節ケア① 床材の見直し
フローリングのように滑りやすい床の上を歩くと、関節に大きな負担がかかります。また、シニア犬は足腰が弱くなるため、踏ん張りが効かずにうまく立ち上がれなくなったり、転倒してしまうこともあるでしょう。愛犬が高齢になってきたら、一度床材を見直してください。フローリングだけでなく、ジョイントマットやタイルカーペットの中にもグリップ力の弱いものがあるので注意が必要です。弱ったシニア犬の足をしっかり支えてくれる床材については、こちらの記事で詳しく解説しています。
愛犬が高齢になるとだんだん足元がおぼつかなくなってきますよね。そんなときは滑り止め効果のある床材を上手に活用して、シニア犬の弱った足腰をサポートしてあげましょう。ここではペットグッズに詳しい株式会社こいぬすてっぷの石田獣医師に、シニア犬にお[…]
関節ケア② 足裏の毛はこまめにカット
シニア犬になると頻繁にトリミングに連れて行くことが難しくなりますよね。しかし、足裏の毛が肉球にかかってしまうと余計に滑りやすくなるので、足裏の毛はこまめにカットする必要があります。自宅でハサミやバリカンを使ってカットしてあげてもいいですし、自分でカットするのが難しい場合はかかりつけの動物病院などにお願いするのもおすすめです◎
関節ケア③ 適切な体重管理
いくつになっても愛犬が食欲旺盛なのは嬉しいことですよね。けれど、適正体重をオーバーしてしまうと、関節への負担が大きくなるので注意しましょう。関節だけでなく心臓や呼吸器にかかる負担も大きくなります。また、肥満の子は糖尿病や膵炎などの発症リスクも高まるので、愛犬の健康を守るためにも適正体重を維持してあげてください。特にシニア期に差し掛かったばかりの子は、食欲はそのままに代謝や運動量が低下するので太りやすい時期と言えます。こまめに体重をチェックしてあげましょう。
健康面での心配ごとが増えるシニア犬の飼い主さんにとって、食欲旺盛な愛犬の姿は嬉しいものです。「よく食べるのは元気な証拠!」と、たくさんごはんをあげたくなる気持ちはわかりますが、太りすぎてしまっては本末転倒。肥満には様々なリスクが潜んでいます[…]
関節ケア④ 関節ケアができる栄養を強化
健康な関節を維持するのに必要な栄養素を、食事やサプリメントで補うのもおすすめです。中でも、関節の軟骨を維持するために必要な「グルコサミン」と「コンドロイチン」は、年齢とともに体内で合成する量が減ってしまうため、愛犬が高齢になったら積極的に摂取するとよいでしょう。
また、関節に炎症がある場合は、オメガ3脂肪酸のうちEPA/DHAを取り入れるのもおすすめです。EPA/DHAは体に必要な必須脂肪酸で、炎症を抑える効果があります。関節のほかにも皮膚や内臓などの炎症を抑えて保護したり、脳の健康を維持する働きがあります。体の中で合成できないので、食べ物から摂取しなくてはなりません。
関節ケアの栄養素はどのくらい摂取したらいいですか?
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グルコサミン・コンドロイチンについて
体に必要な栄養素はフードから摂取するのが基本です。フードだけでは足りない栄養素をおやつやサプリメントで補助してあげるとよいでしょう。シニア犬のために作られた総合栄養食には、グルコサミンやコンドロイチンが配合されているものもあるので、まずは与えているフードの情報を確認してみてください。フードに配合されている場合はサプリメントで補う必要はありません。
EPA/DHA(オメガ3脂肪酸)について
EPA/DHAなどのオメガ3脂肪酸は空気に触れると酸化しやすく、ドライフードから摂取することは困難です。そのため、ドライフードを与えている場合は、サプリメントで補ってあげるとよいでしょう。オメガ3脂肪酸は熱に弱いので、ふやかしたドライフードや手作り食にトッピングする際は、冷めてからトッピングしてください。
ちなみに、シニア犬にいいと言われる亜麻仁油には、オメガ3脂肪酸の一種である「αリノレン酸」が豊富に含まれていますが、関節ケアの効果はあまり期待できません。関節の働きをサポートするためには亜麻仁油ではなく、EPA/DHAのサプリメントを与えた方がよいでしょう。αリノレン酸もEPA/DHAも与えたい場合には、「今日は亜麻仁油、明日はEPA/DHAのサプリメント」という風に、一日おきに摂取するのがおすすめです。
シニア犬の関節ケアにおすすめなサプリメントを教えてください
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サプリメントはどう選ぶ?
サプリメントを選ぶときは、まずは必要な成分がしっかり配合されていることを確認してください。そして添加物ができるだけ少ないものを選びましょう。とはいえ、添加物を完全に避けるのは難しいかもしれませんね。そんなときはなるべく自然由来の添加物を使ったものを選ぶのがポイントです。添加物は必ず原材料に明記されているので、サプリメントに使われている添加物が自然由来のものなのか、化学的に合成されたものなのか、インターネットで調べれば簡単に確認できます。
体調を崩しやすいシニア犬に優しいサプリメントを与えたいと考えるのなら、添加物が少ないもの、なるべく自然由来の添加物を使っているものを選ぶようにしましょう。
グルコサミン・コンドロイチン配合のサプリメント6選
■骨げんき
軟骨の形成に欠かせないコンドロイチンと、関節部のクッションとしての役割を果たすコラーゲンを配合したパウダータイプのサプリメントです。コンドロイチン硫酸が80%以上含まれており、しかも完全無添加なので安心して与えられます。グルコサミンのサプリメントと組み合わせて与えるのもおすすめです。
■ピュアグルコサミン
グルコサミンだけで作られた高純度の粉末タイプのサプリメントです。保存料や着色料などの添加物は一切使われていません。また、開封後1か月程度で使いきれる容量のパッケージになっているので、品質を維持しやすいです。コンドロイチンのサプリメントと一緒に与えるとより効果的です。
■純度100%のグルコサミン
名前の通り、純度が100%のグルコサミンサプリメントです。一般的なグルコサミンサプリメントはエビやカニなどの甲殻類由来のものが多いですが、このサプリメントはトウモロコシ由来のグルコサミンを使用しているので、甲殻類アレルギーの子にも使用できます。香料などの添加物は使っていないので、シニア犬にも安心して与えられるでしょう。コンドロイチンのサプリメントと一緒に与えるのもおすすめです。
■ハッピースキッププラス
普通のグルコサミンよりも吸収力が高い「N-アセチルグルコサミン」が使われているので、少量でしっかり必要量を摂取できます。グルコサミン以外にも、健康な肝臓を保ってくれる「SAMe」や、胃腸の働きを整える「フラクトオリゴ糖」などが配合されています。合成保存料や人工香料、着色料を使用していないので、シニア犬に優しいサプリメントと言えます。
■毎日散歩
関節ケアに重要な6種類の成分がぎゅっと詰まったサプリメントです。グルコサミンやコンドロイチンはもちろん、軟骨の成分であるコラーゲンやプロテオグリカン、筋肉疲労の解消をサポートするイミダゾールペプチド、骨や関節の合成に欠かせないビタミンDも配合されています。保存料や化学調味料などの添加物は使用せず、ビール酵母のチキン味で毎日おいしく食べられます。
■rashiku-rashiku
(画像引用元:rashiku-rashiku )
関節ケアに欠かせないグルコサミンとコンドロイチンに加えて、シニア犬に不足しがちなカルシウムも配合した粉末タイプのサプリメント。消化吸収に優れ、過剰摂取のリスクが少ない乳酸カルシウムを使用しているので安心して与えられます。
ただし、既におやつや他のサプリメントでカルシウムを強化している場合は、他のサプリメントを選びましょう。カルシウムは過剰摂取すると体調不良を引き起こします。愛犬にカルシウムを与えてもいいか悩んだときは、必ず事前にかかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。
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関節に炎症がある時におすすめ!EPA/DHA配合のサプリメント5選
■アンチノール
(画像引用元:Vetz Petz )
ニュージーランド産のモエギイガイから抽出された脂肪酸を使用した、100%自然由来のサプリメントです。多くの動物病院で採用実績があり、高齢の子や薬を服用している子も安心して与えることができます。
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■ナチュラルハーベストクリルオイル
南極の海で育ったオキアミから抽出されたクリルオイルをカプセルにしています。クリルオイルには、EPA/DHA、抗酸化作用のあるアスタキサンチンなどが含まれています。完全無添加で魚の油特有の臭いがなく、食べやすい形になっています。
■高濃度DHA&EPAケア
天然のヨシキリザメとタラから抽出したEPA/DHAサプリメントです。特別な製法で作っているため酸化しにくく、純度の高い製品に仕上がっています。カプセルでそのまま与えても、カプセルを割って中身を食事に混ぜて与えてもよいでしょう。
■ワイルドアラスカンサーモンオイル
EPA/DHAが豊富なサーモンオイルを使用しています。抗酸化作用が高いアスタキサンチンも含まれ、シニア犬の健康をサポートしてくれます。魚油の香りをそのままカプセルに閉じ込めているので、食欲をそそります。
■モノリスクリルオイル
天然のクリルオイルを使用したサプリメントです。クリルオイルは、魚油と比較して体内におけるDHAの吸収率が高く、効率よく摂取できるのが特徴です。さらにクリルオイル中のアスタキサンチンが、EPA/DHAの酸化を防いでいつまでもフレッシュな品質を保持します。モノリスのクリルオイルはもともと人間用に作られたEPA/DHAサプリメントですが、犬にも問題なく与えることができます。
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【おまけ】コラーゲンも取っておくと◎
関節ケアに必要な成分といえばグルコサミンとコンドロイチンですが、それらと一緒にコラーゲンも取っておくとより効果的です。コラーゲンは犬の体内で作り出すことができますが、シニア犬になるとコラーゲンを作るために必要なアミノ酸の生成量が減少してしまうので、サプリメントやおやつで強化してあげるとよいでしょう。関節ケアの他、健康な皮膚を維持する効果も期待できます。
コラーゲンを摂取するなら、「まぐこらトリーツ」がおすすめ。1粒あたり100mgの天然まぐろ皮由来コラーゲンペプチドを配合しており、食べやすくキューブ状に仕上げた機能性の高いおやつになっています。
(画像引用元:ダイトー水産株式会社)
最後に
愛犬に元気にシニアライフを過ごしてもらうためには、早めの関節ケアが大切です。環境整備とあわせて、関節ケアに必要な栄養素をサプリメントなどで上手に補い、健康な関節を守ってあげましょう。