犬のいるお家に、さらにもう一匹犬を迎えたいと考えているのであれば、保護団体から犬を迎えるという選択肢はとてもオススメです。トライアル期間中に犬同士の相性を確かめることができるからです。ただし、一概に保護団体と言ってもその活動スタイルは様々なので、どんな団体を選べばいいのかポイントを押さえておきましょう。
(画像:Instagram / @rii.m915 )
犬猫を殺処分から救っている保護団体
殺処分の減少を支えている存在
2008年、犬猫の殺処分数は27.6万頭でした。それがこの10年で、約7分の1の3.8万頭へと大幅に減少しました。この背景には、2つの理由があります。
1つは2012年に動物愛護法の改正がされたこと。これにより、ペットショップが売れ残った犬猫を保健所に持ち込んでも、行政側が引き取りを拒否できるようになりました。そしてもう1つは、民間の保護団体の貢献が非常に大きいと言われています。
保護団体はどんな活動をしているの?
団体によって細かい活動内容は異なりますが、保護団体の基本的な活動は、主に「犬猫のレスキュー」「保護した犬猫への適切なケアと訓練」「信頼できる里親への譲渡」です。
動物愛護センターやブリーダーなどから犬猫をレスキューしたあと、適切な医療ケアや避妊去勢手術を受けさせ、社会で暮らしていけるように人慣れやトイレなどのトレーニングを行います。その上で「最期まで犬猫のお世話ができる新しい飼い主」を探すためのマッチングをしていきます。保護団体の多くが非営利団体であるため、これらの活動のほとんどは一般の人の寄付やボランティアによって支えられています。
譲渡までの流れは団体により異なります
保護団体から犬を譲り受けるには、インターネットの里親募集サイトで気に入った犬を探すか、譲渡会に参加して実物の犬たちと触れ合いながら探すのが一般的ですが、そこから先の流れは各団体によって異なります。
保護犬を譲ってもらえるかどうか
保護団体としては、せっかく保護した犬が再び不幸な目に遭うのは避けたいところです。そのため、「こんな人には譲渡できません」というルールを設けていることがあります。
例えば、付き合っていた頃に犬を迎えたものの、別れたことによって飼育放棄するカップルが少なからずいることから、結婚前のカップルには譲渡不可としている団体もありますし、お家にいる時間が短い一人暮らしの方には譲渡不可としている団体もあります。また、犬たちが飼育放棄される背景に、「生まれてきた子どもがアレルギーだった」というケースが多いことから、これから子供が生まれる予定のあるお家には譲れないと決めている団体もあります。これらのルールは団体によってかなりばらつきがあるので、まずは自分の条件で譲ってもらえるかどうか確認しておくとよいでしょう。
トライアルの有無
条件面で折り合いがつけば即譲渡となる団体もありますが、運営がしっかりしている保護団体では、実際に自分の家で保護犬と一緒に暮らしてみるトライアル期間が設けられています。保護団体を選ぶときには、必ずこのトライアル期間があるところから選びましょう。トライアル期間の長さは団体によってバラバラですが、2週間程度のところが多いです。
トライアル期間中に一緒に過ごしてみて、問題なく暮らせそうなら正式譲渡となりますし、一緒に暮らすのが難しそうな場合には譲渡をお断りすることもできます。一緒に暮らすことが難しいとなった場合は、無理せず団体に返してあげてください。「返すなんてかわいそう」という理由から無理してお迎えしようとする飼い主さんもいますが、そうなると犬の負担も大きくなります。しっかりした保護団体は犬たちが安心して暮らせる環境を整えているので、そこで自分にぴったり合う飼い主さんを待っている方が犬にとっても幸せなのです。
運営に手が回っていない団体もあるので注意
基本的に保護団体は一般の人からの寄付やボランティアで成り立っています。そのため、資金不足や人手不足に陥ることも多く、せっかく保護した犬たちをきちんとした環境で保護することができなくなっている団体もあります。また、知識がないまま「かわいそうな犬を助けたい!」という気持ちだけで活動を始めた人が、明らかに許容範囲を超えた数の動物を保護してしまい、多頭崩壊してしまうケースもあります。
不適切な環境で保護されている犬は、いろいろな病気にかかっていたりトレーニングが十分されていなかったりして、お家に迎えたあとにトラブルになる場合もあるので注意が必要です。
多頭飼育をしたい方におすすめな保護団体とは
(画像:Instagram / @wankorokoro_ )
団体によって細かなルールや譲渡の流れは異なりますが、しっかりした保護団体を見つけるためには以下のポイントを押さえておくと安心です。
トライアル期間がある
トライアル期間はいいことづくめなシステムです。特に先住犬のいるお家では犬同士の相性を確認できるので、多頭飼育を始める上では最も安心できる選択肢と言えるでしょう。保護団体からしても、譲渡希望者が本当に犬を大切にしてくれるかどうか見極めることができるので、丁寧な活動をしている保護団体はトライアル期間を設けているところがほとんどです。動物たちに取って住みやすい環境かどうかを確認するために、トライアルに当たって自宅訪問をする団体もあります。
ただし、こういったトライアル期間を設けるためには人手も資金も必要です。人手や資金が足りていない団体は犬猫をレスキューすることに必死で、譲渡する相手をきちんと確かめる余力なんてありません。そのため、保護犬を迎えるときは必ずトライアル期間がある保護団体を選びましょう。
犬たちの健康管理をしている
保護団体を選ぶ上でもう1つ大切なポイントがあります。それは、保護した犬たちの健康状態をきちんと管理できているかどうか、ということです。丁寧な活動をしている保護団体は犬たちをレスキューした後、まず健康状態をチェックします。感染症などの病気がないか、ノミやダニはいないかなどを獣医師に調べてもらって、病気が見つかった場合は適切な治療を行います。
保護した犬全てを健康な状態を保つためには相当なパワーが必要ですが、犬たちが幸せに暮らすためにも、飼い主さんに安心してお迎えしてもらうためにも、健康チェックは必要不可欠なのです。保護犬の中には心臓病や腎臓病など、完治しない病気を抱えている子もいますが、丁寧な活動をしている保護団体はそういった事情も事前にちゃんと開示してくれます。
また、ワクチンや避妊・去勢手術など健康管理にかかる費用は、正式譲渡が決定した時点で飼い主側が負担する場合と団体側が負担してくれる場合があります。こういった費用に関しても、丁寧な活動をしている団体なら事前にきちんと説明してくれます。
動物の性格をしっかり把握している
(画像:Instagram / @izumi320 )
犬たちが健康な状態で保護されていて、かつトライアル期間を設けている団体なら、安心して犬を引き取ることができるでしょう。さらに、犬たちの性格まで把握できている保護団体は真摯に保護犬たちに向き合っている団体と言えます。
保護犬にもいろいろな性格の子がいます。甘えん坊でお留守番が苦手な子もいれば、あまりベタベタ触られるのが好きではない子もいます。人懐っこい子もいれば、初めての人や慣れない環境を怖がる子もいます。犬たちに深い愛情があって、適切な環境で保護していなければ、こうした犬たちの性格をきちんと把握することは難しいでしょう。飼い主さんとしても、ある程度犬の性格がわかっていた方がトライアルをしやすいと思います。
最後に
この記事では保護団体の選び方をご紹介しましたが、『もう一匹迎えたい飼い主さんへ』では実際に保護犬を迎えた方の体験談なども載せています。多頭飼育を始めるときに保護犬が向いている理由などもそちらで紹介しているので、ぜひ合わせて読んでみてください。
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