【獣医師監修】シニア犬に多い関節炎。症状や治療法、お散歩時の注意点など

関節の病気にはいろいろな種類があります。中には若いうちに発症する関節疾患もありますが、シニア犬に多いのは「変形性関節症」と「免疫介在性関節炎(リウマチ)」です。ここでは、年齢とともに軟骨がすり減って痛みが出る、変形性関節症について解説します。

年を取ると関節に痛みが出るのはなぜ?

シニア犬に多い関節症は、動くときに痛みが出ることから愛犬のQOL(生活の質)を大きく低下させてしまいます。早期に治療を開始できれば、症状を緩和することができるので、飼い主さんが愛犬の変化にできるだけ早く気付いてあげることが大切です。

加齢による関節軟骨のすり減り

骨と骨のつなぎ目である関節では、体を動かしたときに骨同士が直接ぶつからないよう、骨の端を関節軟骨が覆っています。しかし年を取ると、関節軟骨を作っているコラーゲンやコンドロイチン、プロテオグリカンなどの生成量が減ってしまい、軟骨がどんどんすり減ってしまいます。その結果、骨同士がぶつかりやすくなって、痛みが出るようになるのです。

太りすぎによる関節への負担

シニア期に差し掛かると、多くの犬が太りやすくなります。若い頃と比べて運動量が落ちる上、代謝が衰えて消費カロリーも落ちるため、特別食べ過ぎているわけでなくても太りやすくなるのです。体重が増えるとその分関節に負担がかかり、関節症を悪化させてしまいます。

他の病気が原因なことも

生まれつき関節に異常があると、年を取ってから関節に痛みが出やすくなります。例えば大型犬に多い股関節形成異常や、小型犬に多い膝蓋骨脱臼などの病気があると、関節にかかる負担が大きくなるため、高齢になったとき変形性関節症を発症しやすくなります。また、リウマチによって関節に痛みが出る場合もあります。

事故や怪我

高いところからの落下、壁や物などへの衝突、交通事故などによって、骨折や捻挫などによるダメージは関節症の原因になります。また、怪我をした足を庇うため、反対の足に負担が掛かり過ぎてしまって関節症を引き起こすこともあります。

愛犬の痛みのサイン、見逃さないで!

犬は声に出して「痛い」と訴えることができません。愛犬の辛さにいち早く気付いてあげられるのは、毎日一緒に暮らしている飼い主さんだけ。愛犬の様子がいつもと少し違うと感じたら、それは愛犬から発せられる痛みのサインかも知れません。

関節の痛みは早期発見が大切

関節症は一度発症すると完治は難しいと言われていますが、早めに気付いて適切な対処をすることで症状の進行を遅らせ、痛みを緩和することができます。しかし治療をしないで放置すると、犬は徐々に動くのを嫌がるようになってしまいます。その結果、トイレまで間に合わなくて粗相が増えたり、食事の体勢を維持できなくて食欲が落ちてしまったり、どんどん筋力が落ちて寝たきりになってしまうこともあります。関節の痛みは生活の質を大きく下げてしまうだけでなく、愛犬の老化を早めることにも繋がるので、できるだけ早く治療をしてあげましょう。

初期症状を見逃さないために

ここでは、関節症を発症したときの初期症状をご紹介していますが、愛犬の変化が年齢によるものなのか、それとも痛みのサインなのか、飼い主さんが日常生活の中で見分けることは難しいです。そのため、愛犬の様子が少しでもいつもと違うと感じたら、迷わず動物病院へ連れて行くことが大切です。

〜関節症の初期症状〜

  • 足をかばう、足を地面や床につけないようにして歩く
  • 立ち上がったり座ったりする動作が遅い
  • 粗相が増える
  • 寝ている時間が長い
  • おもちゃなどで遊びたがらない
  • 散歩を嫌がる
  • 階段やソファーなどに上らなくなった
  • 関節を舐めたり、噛んだりする
  • 関節が腫れている、熱を持っている

痛みから攻撃的になることも…

関節の痛みが強いと、愛犬の性格に変化が現れることがあります。特に本能が強く残っている子の場合、弱っていることを知られたくなくて、痛みがあることを隠そうとします。そのため、飼い主さんが痛みのある部分に触ろうとすると、唸ったり牙を剥いたりすることがあるのです。愛犬が年を取って怒りっぽくなったり、威嚇行動をするようになったときは、痛みが原因かもしれません。むやみに叱ったりせず、まずはかかりつけの獣医師に相談してみましょう。

関節の痛みを抑えるにはどんな治療をするの?

投薬や注射による痛みの軽減

関節症の治療は完治を目指すものではなく、基本的には痛みをコントロールすることを目的としています。痛みを和らげるために鎮痛薬や消炎剤を投与し、関節軟骨成分の生成を助ける成分を注射します。症状を改善させるために、麻酔を使わないレーザー治療を行っている動物病院もありますので、気にある方はかかりつけの獣医師に相談してみるとよいでしょう。

お散歩などの適度な運動も大切

過度な運動は禁物ですが、日々のお散歩は筋力アップに繋がるだけではなく、体重も管理できるのでおすすめです。愛犬のペースに合わせてゆっくり歩き、適度に休憩を挟んであげると無理なく体を動かすことができます。ただし、痛みが強い時は無理をせず、体調が良くなってから再開するようにしましょう。シニア犬のお散歩については『老犬になってもお散歩は必要?老犬とお散歩に行くときの注意点』の記事も参考にしてください。

食事を見直して体重管理

シニア期に入ったら愛犬の食事を見直し、シニア用のフードに切り替えましょう。今までと同じように成犬用のフードを与え続けていると、摂取カロリーが高すぎて肥満の原因となります。シニア犬用フードの中には関節の健康を保ってくれるグルコサミンやコンドロイチン、コラーゲン、ビタミンC、D、E、オメガ3脂肪酸などの成分が入っているものもあります。愛犬時の状態に合わせて、最適なフードを選んであげましょう。シニア犬のフード選びについては『シニア犬フードの選び方は?老犬に必要な栄養素を獣医師が解説!』の記事に詳しくまとめています。

関節に負担をかけない環境づくり

滑りやすいフローリングの床は犬の関節に大きな負担となります。カーペットを敷くなどして滑らないよう対策をしてあげましょう。また、ソファーやベッドなどから飛び降りることも関節に負担をかけてしまいます。愛犬がよく登る場所にはスロープやステップを設置してあげるとよいでしょう。

関節ケアに効果的なサプリメントもおすすめ!

毎日の食事だけでは、関節ケアによいと言われているグルコサミンやコンドロイチンを十分に摂取できないこともあります。そんなときは犬用サプリメントを取り入れるのもおすすめです。ここでは、関節症の予防や改善にお勧めのサプリメントをご紹介します。

ダスクイン

純度99%のグルコサミンと純度100%のコンドロイチンが配合されており、獣医師が関節症対策でお勧めすることの多いサプリメントです。動物病院専用のサプリメントなので、購入の際には獣医師に相談するとよいでしょう。

毎日散歩

犬用のサプリメントを専門に取り扱っているウィズペティ社が開発したサプリメントです。コンドロイチン、コラーゲン、プロテオグリカンと言った関節軟骨の生成に必要な成分の他、高い抗酸化作用によって筋肉をサポートするイミダゾールペプチドなどが含まれています。

あんよくん

日本原産の最高級グルコサミンが配合されており、厚生労働省が認可する国内工場で製造されているので安心感があります。獣医師専門誌で紹介されたことで、多くの獣医師が推奨しているサプリメントとなっています。

最後に

関節症はシニア犬と暮らしている飼い主さんが気を付けたい病気の一つです。愛犬がシニア期に突入したら動作をよく観察し、少しでも違和感を感じたらすぐ動物病院へ連れて行くようにしましょう。関節に負担の少ない環境を整え、食事を調整して肥満にならないように注意することも、関節症の予防に繋がります。