あとで後悔しないために、犬の火葬方法や注意点を知っておいて

大切な愛犬が亡くなってしまったときのことなんて考えたくない、という飼い主さんは多いでしょう。しかし、悪質な火葬業者を選んでしまったことで、愛犬ときちんとお別れができずに苦しんだ飼い主さんがいることを考えると、どんなに悲しくても愛犬とのお別れの方法は早めに決めておいた方がいいです。ここでは犬の火葬について、選び方や注意点など押さえておきたいポイントを紹介します。

 愛犬が元気なうちに準備をしておこう

愛犬が元気なうちにお葬式のことを考えるなんて、縁起が悪いと感じる方もいるでしょう。しかし、ペット火葬を行う業者の中には、かなり悪質な業者も混じっているのが実情です。ペット葬については法規制がまだ十分に整っていないため、民間のペット霊園やペット火葬業者は役所の許可や登録がなくても運営でき、その結果、悪質な業者が野放しになっているのです。見積もりになかった高額な料金を請求されたり、約束した方法で火葬が行われず、遺体を山などに放棄されたり、返してもらえるはずの遺骨が戻ってこないなどのトラブルも多数報告されています。

愛犬が亡くなった直後はショックにより冷静な判断が難しいうえに、早く弔ってあげたいという気持ちから業者選びを急いでしまいがちです。できれば愛犬が元気なうちから、きちんと信頼のできる業者を選んでおきましょう。

 火葬の方法を把握しておこう

一口に火葬と言ってもいくつかの種類があり、立ち会いや遺骨の扱い方などの条件に違いがあります。どのような方法があるのか、一つ一つ解説していきます。

人間と同じように弔う立ち会い個別火葬

人間の場合とおおむね同じ流れで愛犬とお別れすることができるのが、ペット霊園などペット専用の火葬炉を持つ施設での立ち会い個別火葬です。火葬後は、その施設の持つ霊園などへの納骨、お骨を返してもらう返骨の両方が選べるのが一般的です。

家族みんなで火葬を見守ることができますし、火葬後のお骨拾いも飼い主自身が行い、納骨まですべての場に立ち会えるため、最後のお別れをじっくりしたい方、火葬を含むすべてを最後まできちんと見届けたいという方は個別火葬を選ぶとよいでしょう。またこうした施設は待合室など環境が整っている場合が多く、天候の影響を受けにくいのもいいところです。

自宅付近でできる車での訪問火葬

火葬車と呼ばれるペット専用の火葬炉を持った車に訪問してもらい、自宅付近で火葬を行う方法もあります。霊園などに行く必要がないので、年配の方や健康の問題などで外出が難しい方、ペットを火葬できる施設が近隣にない方、愛犬の亡骸の移動が困難な場合におすすめの方法です。自宅付近で火葬してもらうことも可能ですし、愛犬との思い出の場所があれば、そちらで火葬してもらうこともできます。

ただし、火葬車を停めて火葬を行う場所は、飼い主さんが見つけなくてはなりません。住宅密集地などでは近隣の人目が気になりますし、苦情が寄せられる可能性もあります。また、駐車場などに車を止めて火葬を行うため、悪天候の場合は影響を受ける可能性があることも考慮しておいた方がいいでしょう。

車で火葬をした後は、上記のようにみんなでお骨を拾ってペット霊園などに納骨したり、変骨してもらうこともできますし、お骨拾いを業者に任せる一任個別火葬にも対応していることが一般的です。

見送りまでの一任個別火葬

一任個別火葬とは、火葬やお骨拾いを業者に任せる方法です。飼い主が付き添えるのは出棺の見送りまでですが、火葬は個別に行ってもらえるため、返骨や個別納骨への対応が可能なことが多いです。

愛犬をきちんと弔ってあげたいけれど、愛犬の火葬を見るのが辛すぎるという方や、小さなお子さんや健康上の問題から長時間の待機や立ち会いが難しい方が選びやすい方法です。また、人間と同じように弔う立ち会い個別火葬はどうしても金額が高くなってしまうため、そこまでの金額を出せないという方にもおすすめの方法です。ただし、飼い主さんが見ていないところで火葬が行われるため、しっかり信頼できる業者を選ばなければ、愛犬が本当に大切に弔ってもらえているのかどうか、不安が残ってしまうことはあります。

他のペットと一緒に見送る合同火葬

合同火葬では数匹のペットがまとめて火葬されます。他のペットと一緒のため、お骨拾いや返骨は基本的にできません。納骨も依頼した業者に任せることになり、合同の供養塔など大きなお墓にまとめて埋葬されるのが一般的です。料金は今までご紹介した方法の中で最も安いですが、家族が付き添えるのは出棺やお別れまでで、火葬への立ち会いはできないことが多いです。

行政にお願いすると基本的には合同火葬になります。愛犬が寂しくないよう他のペットと一緒に弔ってあげたいという気持ちを持つ人などにも選ばれている方法ですが、愛犬とゆっくりお別れをしたい方には不向きです。

事前に考えておいた方がいいこと

愛犬をどのように弔ってあげたいのか、希望する形も人によりそれぞれです。自分がイメージしているお別れの形に適した業者を選ぶためには、どのようなことを考えておいた方がいいのでしょうか?ここでは火葬の方法以外にも、考えておくべきポイントをまとめました。

信頼できる業者はどこなのか

トラブルを避けるため、まず行いたいのが信頼できる業者の選択です。愛犬とのお別れを経験した飼い主さんが身近にいるなら、おすすめの業者を聞いてみるとよいでしょう。また動物病院にはこうした情報も集まりやすいので、かかりつけの動物病院で尋ねてみてもいいと思います。

インターネットで情報を収集する場合は、住所や連絡先が正しく記載されているか、これまでの実績は十分か、インターネット上での口コミの数や内容に問題はないかなどを確認しましょう。悪徳業者に引っかからないためにも、プランにどんな内容が含まれているのか確認し、できれば他の業者とも相見積もりをとっておくとトラブルを避けられます。

葬儀を行う場所を選ぶ

葬儀をどこで行うのか、ということも決めておく必要があります。葬儀場で葬儀を行い、そのまま火葬してもらうか、まずは自宅で葬儀をしてもらってから火葬をしてもらうのか、検討しておきましょう。葬儀が行える場所は業者によって異なるので、希望する場所に対応した業者を選ぶ必要があります。

また、火葬車を呼んで火葬をする場合は、葬儀も対応可能な業者なのか、葬儀は別途どこかに頼む必要があるかも検討する必要があります。

埋葬の方法を考える

ペットの埋葬方法も一つではありません。個別の墓地や納骨堂などがよい、合同埋葬をしたいなど、どのような形で埋葬したいかを検討し、火葬業者選びの条件に含めましょう。また、自宅の庭に埋葬したい、家族と同じお墓に入れたいなど、火葬業者に埋葬は依頼せずにお骨を手元に戻したいというときは、返骨に対応している火葬業者を選ぶ必要があります。

一般的な火葬の流れ

続いて立ち会い個別火葬の一般的な流れを紹介します。どのようなことが行われるかを大まかに把握しておくと、業者を選ぶとき参考にできます。

 読経が行われる

ペットの葬儀では厳密に宗教を定めずに行うケースもありますが、読経が行われることが多いようです。ただし読経をはじめ宗教に関することは、基本的には飼い主の希望をできる限り聞いてくれる業者が大半です。「このように送りたい」という希望を伝え、きちんと相談にのってくれる業者を選びましょう。

 最後のお別れ

火葬を行う前に、お別れの時間が設けられます。生前の姿の愛犬と一緒に過ごせる最後の時間となります。心残りのないよう、優しい言葉をかけてあげる、思い出を話すなどして過ごします。

 納骨

火葬が終わると、返骨を選んでいる場合を除き、納骨が行われます。人間と同じようなペット用のお墓や納骨堂、合同の供養塔など納骨の環境はさまざまですが、ホームぺージなどで紹介されていたものと実際に大きな違いがあった、納骨予定の場所が実在していなかったなどのトラブルもゼロではありません。可能であれば、納骨される場所を一度事前に見学しておくと安心です。

火葬のために準備するもの

愛犬の好きだったものや思い出の品を一緒に入れてあげたい…と思うのは自然な気持ちです。しかし、棺に入れられるものに限りがあるので、お願いする業者によっては断られてしまうものもあります。

写真

愛犬との思い出の写真や愛犬への想いを綴った手紙を棺に入れたいと考える方は多く、基本的に写真や手紙は棺に入れてもらうことができます。ただ、生きている人やペットの写真を棺に入れるのは縁起が悪いと気にする人もいるため、家族の中にそういう考えの人がいる場合には、断られることもあります。

大好きなごはんやおやつ

愛犬が大好きだったごはんやおやつは、棺に入れることができます。ただ、容器は入れられない場合が多いので、お気に入りの食べ物を少量紙に包むなどして、添えてあげるとよいでしょう。

 お花

人間と同じように、愛犬の棺をお花で飾ってあげたいと思う飼い主さんは多いでしょう。一般的には生花を棺に納めることは可能です。葬儀に用いたお花を棺に納めることもありますし、愛犬の好きだったお花や思い出のお花を入れたい場合は、飼い主さんの方で用意します。ただし、あまりに量が多い場合や色が濃い花の場合、お骨に色が移ってしまう可能性があります。

おもちゃやリードは持ち帰り

おもちゃの火葬はできない場合がほとんどです。プラスチックやゴムが燃えて火葬中に黒い煙や臭いが出たり、塊で燃え残ったりすることを避けるためです。また、金属やプラスチックが使われるリード、首輪も一緒に火葬はできません。納骨の時に一緒に飾ることができる場合もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

最後に

愛犬が元気なうちにお葬式のことを考えるのはなかなか難しいことですが、火葬業者の中には悪質な業者がいること、火葬の方法も様々であることを知っておくだけでも、トラブル回避に役立ちます。大切な愛犬とのお別れに悔いが残ることのないよう、葬儀や埋葬について一度きちんと考え、事前の検討や情報収集をしておくことをおすすめします。