老犬の流動食を作るコツ◎市販の流動食もご紹介します!

シニア期になって噛む力や飲み込む力が弱くなると、流動食が必要になることがあります。流動食は食べさせるのにコツが必要だったり、作るのに時間がかかったりして、慣れるまでは大変なことも多いです。そこで今回はシニア犬の介護に詳しい獣医師の丸田先生に、流動食の作り方や取り入れ方のポイントを伺いました。

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老犬は流動食が必要になることも

老犬 流動食

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シニア犬は噛む力や飲み込む力が弱くなって、かたいフードが苦手になることがあります。ドライフードをお湯でふやかしたり、食べ物を小さくカットしてあげたり、色々な工夫をされている方も多いでしょう。しかしそれでも食べづらそうにしているときは、流動食への切り替えを検討したほうがいいかもしれません。流動食に切り替えるときは、必ずかかりつけの獣医師に相談してからにしてください。与え方を間違えると、食べ物が気管に入って「誤嚥性肺炎」を引き起こすことがあります。免疫力が低下しているシニア犬は重症化しやすく、命に関わるケースに発展することも少なくありません。

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老犬のための流動食の作り方、時短でできるやり方は?

老犬 流動食

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流動食は愛犬が食べ慣れているドライフードをお湯でふやかして作ります。ふやかすと食べやすくなるだけでなく、消化吸収もよくなりますし、水分も一緒にとれるので脱水を防ぐこともできます。ここではできるだけ短時間で流動食を作る方法をご紹介します。

まずフードを砕く

流動食は作り置きができないので、食事のたびに準備しなければなりません。一日に何度も用意する必要があるので、できるだけ効率よく作りたいですよね。手早く作るポイントは、先にドライフードを細かく砕いておくこと。かたいドライフードをふやかすのには時間がかかりますが、細かく砕いたドライフードなら短時間でふやかすことができます◎。フードを砕く際はフードプロセッサーを使うのもいいですし、ペット用のフードクラッシャーを活用するのもいいでしょう。シリンジに入れて与える場合は、滑らかさがないと詰まってしまうので、粉末状になるまで砕いてください。

ぬるま湯でふやかす

細かくしたドライフードをお湯でふやかすと流動食の完成です。酵素の多くは70℃以上の熱さになると壊れてしまうと言われています。ふやかすときは60℃くらいのお湯を使いましょう。愛犬がやけどしないよう、人肌くらいに冷めてから与えてください。

市販の流動食も上手に活用して

老犬 流動食

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ここまでは流動食を手作りする方法をご紹介しましたが、市販の流動食も数多く販売されています。缶詰やパウチなど、一食分ずつ使えるものもあるので、時間がない時はそうした商品を取り入れるのもおすすめです。

市販の流動食を取り入れるときの注意点

市販の流動食は手作りの流動食と比べて保管できる期間が長いので、いくつか購入してストックしておくのもよいでしょう。ここではお湯に溶かすだけで完成する流動食や、開封してすぐに与えられる流動食をいくつかご紹介します。中には特定の病気の子に与えるための療法食も含まれているので、初めてお試しするときは与えても大丈夫かなものかどうか、必ずかかりつけの獣医師に確認するようにしてください。

老犬の流動食として使えるおすすめフード

ここでは、主食として使える「総合栄養食」の流動食と、しっかりした栄養補給が必要な子のために作られた「療法食」をご紹介します。中には嗜好性の高い商品もあるので、ぜひ愛犬のお気に入りを探してあげてください。

●ナチュラルハーベスト ミルクエイド

子犬からシニア犬まで使える粉ミルクタイプの総合栄養食。免疫力を維持できるよう、牛初乳・ラクトフェリンが配合されています。ぬるま湯で溶かせば、ミルクのような流動食が簡単に作れます。必要な量を測って使うレギュラータイプと、使い切りに便利なスティックタイプがあります。

  • 総合栄養食
  • タイプ:粉末
  • カロリー:503kcal/100g

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●森乳サンワールド ワンちゃんの介護食(粉末)

シニア犬の健康を考えて作られた粉末タイプの総合栄養食。免疫力を保つラクトフェリンや、お腹の健康をサポートするビフィズス生菌・ミルクオリゴ糖・食物繊維を配合しています。お湯を混ぜて与えますが、水分量を調整することでお団子状にすることもできますし、流動食として利用することもできます。

  • 総合栄養食
  • タイプ:粉末(350g)
  • カロリー:363kcal/100g

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●デビフ カロリーエースプラス

子犬の離乳期からシニア犬の介護食に使える、高カロリー・高タンパクの総合栄養食。皮毛や皮膚の健康を保つリノール酸を配合しています。シリンジで与えることができる液体タイプと、スプーンですくいやすい固さのムースタイプの二種類があるので、愛犬の状態にあわせて選ぶとよいでしょう。

  • 総合栄養食
  • タイプ:液体(85g)/ムース(65g)
  • カロリー:90kcal/100g(液体・ムース)

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●ペットライン メディコート ライフアシスト ペーストタイプ ミルク仕立て

シニア犬のために作られたペーストタイプ・ミルク仕立ての総合栄養食。スプーンで与えやすいように細かくすりつぶしてあるので舌触りがよく、食欲をそそる香りになっています。飲み込む力が衰えた子のための「ジェルタイプ(カロリー:約80kcal / 100g)もあるので、愛犬が食べやすいタイプを選んであげてください。

  • 総合栄養食
  • タイプ:ペースト
  • カロリー:約59kcal/袋(100g当たり)

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●ロイヤルカナン クリティカルリキッド

(画像引用元:ロイヤルカナン )

病気の後や手術の後など、しっかりした栄養補給が必要になる時期に与えるリキッドタイプ(液状)の療法食です。少量でも必要なエネルギーを摂取できるようカロリーが調整されています。他にも、腎臓病の子のための流動食や低脂肪タイプの流動食など、さまざまなリキッドタイプの療法食があるので、必ずかかりつけの獣医師に相談の上、取り入れるようにしてください。

  • 療法食
  • タイプ:液体(1本につき200ml)
  • カロリー:104kcal/100g

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●ロイヤルカナン 退院サポート缶

こちらも栄養補給が必要になる回復期に与えるための療法食です。各栄養素が強化され、高カロリー・高タンパクに調整されています。とても柔らかいムースタイプなので、スプーンやシリンジ、チューブなどで与えることができます。

こちらも療法食になりますので、必ずかかりつけの獣医師の指導のもと取り入れるようにしましょう。

  • 療法食
  • 質感:ムース(195g)
  • カロリー:124 Kcal /100g

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●ヒルズ a/d缶

回復期や高栄養が必要な愛犬のために作られた療法食です。開封時はウェット状ですが、かき混ぜると液状になるので、スプーンやシリンジ、チューブなどで与えることができます。高タンパク・高カロリーに調整された療法食なので、こちらもかかりつけの獣医師に相談してから与えてください。

  • 療法食
  • 質感:ウエット
  • カロリー:183 Kcal /156g(1 缶)

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老犬の流動食の食べさせ方は?

老犬 流動食 食事台

(画像:Instagram/  @chocosora77 )

流動食を与える時は、愛犬が食べやすい環境を整えてあげることが大切です。愛犬の状態に応じて、食事環境もこまめに見直してあげてください。ここでは流動食の基本の食べさせ方から、飼い主さんたちがお食事サポートの際に実践されているさまざまなアイデアをご紹介します。

基本の食べさせ方

自分でごはんが食べられる子の場合は、食べやすい環境を作ってサポートしてあげましょう。筋力が衰えると食事の姿勢を維持することが難しくなるので、食事台などの上に器を置いて高さを出してあげると食べやすくなります。食べにくそうな時、すぐにむせてしまう時はぜひ試してみてください。足元の踏ん張りが効かないようなら、防水マットや滑り止めを敷いてあげましょう。自分で食べることが難しい子の場合は、スプーンやシリンジを使ってごはんを口の中に入れてあげます。このとき、寝かせたままの状態で口の中に食べ物を入れると誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高くなるので、絶対にしてはいけません。愛犬の頭のてっぺんが一番上に来るように姿勢を作ってあげるのがポイントです。寝たきりの子はクッションなどを使って頭の位置を体より高くしてあげると、正しい姿勢を取りやすくなりますよ◎

食べさせ方のコツや注意点についてはこちらの記事に詳しくまとめているので、ぜひあわせてご覧ください。

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下から覗いた老犬

みんなのお食事サポートのアイデア

ここでは、シニア犬と暮らす飼い主さんたちのお食事サポートのアイデアをご紹介します。ちょっとした工夫をしてあげるだけで、お互い楽になって食事の時間がもっと楽しくなるかもしれません。こちらのアイデアも参考にしながら、愛犬にあった方法を探してみてくださいね。

■食べる姿勢をサポートしてくれるチェア

脚力が弱ってくると、食事の体勢を維持することがだんだん難しくなってきます。そんなときはダイニングチェアに座らせてあげると食べやすくなります◎皆さん色々なアイテムをチェアにされているので、ぜひ参考にしてください。

 

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■ベッドごと机の上に♪

自分でごはんが食べられない子のサポートをする際は、愛犬と目線の高さを揃えるだけでグッとやりやすくなります。体が小さい子の場合は、愛犬をベッドごと机の上に乗せてあげるとお口にごはんを運ぶタイミングが掴みやすいでしょう。ベッドのふちを使って体を支えてあげれば姿勢も安定しますよ♪

 

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■歩行器やリラクッションで正しい姿勢に

寝たきりの子の場合、歩行器やリラクッションなどに乗せてあげると食事の姿勢を保ちやすくなります。飼い主さんのサポートもしやすくなりますし、定期的に愛犬を立ち姿勢にしてあげることで、血行促進や床ずれ予防の効果も期待できるでしょう。

 

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こんなアイテムもあると便利!

その他、愛犬のお食事サポートをする時に役立つ便利なグッズをご紹介します。ごはんの時間を楽しく過ごすためには、飼い主さんのゆったりした気持ちが何よりも大切です。色々なアイテムを上手に取り入れて、できるだけ飼い主さんの負担を減らせるといいですね◎

■温度がわかるシリコンスプーン

(画像引用元:アカチャンホンポ

こちらは40℃くらいの熱いものに触れると色が変わるベビー用のシリコンスプーンです。流動食を作る際、愛犬がやけどしないよう人肌程度にさます必要がありますが、このスプーンがあれば安心して温かいごはんをあげることができますね。ベビー用品にはシニア犬との暮らしに使えるアイテムがたくさんあるので、ぜひ色々探してみてください。

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■お皿もシリコン製だと安心

シニア犬になって視力が落ちると、陶器のお皿が苦手になることがあります。器との距離感が掴めず頭をぶつけてしまったり、音に敏感になって器が「キン!」と鳴るのを怖がったりして、食欲不振に陥ることもあります。そんなときはシリコン製のお皿がおすすめ。器を変えただけで食欲が戻った子もいるようです◎

 

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最後に

老犬 流動食

(画像:Instagram/ @aim_mai )

流動食が必要になると、飼い主さんの負担が大きくなってしまうかもしれません。時には市販の流動食を取り入れたり、他の飼い主さんのアイデアを参考にしたりしながら、上手に息抜きをして楽しい食事の時間を作っていきましょう。いつまでも愛犬が食べる楽しみを続けていけるように、お手伝いしてあげたいですね。