シニア犬にオススメな『腸活』。腸内環境を整えて健康な体へ!

シニア犬になると腸内環境が変化して、便秘がちになったり下痢や軟便をしやすくなります。腸内環境を整えてあげるために、私たちにできることはあるのでしょうか?ここでは、自宅でできる「おうちケア」に注力されている獣医師の林先生に、シニア犬の腸活について詳しくお話を伺います。

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シニア犬はお腹が弱くなりやすいですよね?

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シニア犬は、お腹を下しやすくなったり、便秘がちになったりすることがあります。特に目立った病気がないのにお腹の調子が優れないときは、腸内環境が乱れているのかもしれません。腸内環境が乱れると消化吸収機能が衰えて、今まで問題なく食べられていたフードやおやつが体に合わなくなって下痢をする、しっかり食べているのにだんだん痩せてしまうなど、さまざまなトラブルが現れるようになります。

もちろん、病気が原因なこともあるので、下痢や軟便が続くときは必ずかかりつけの動物病院に相談してください。その上で、年齢的な問題だろうと診断されたときには、おうちでしっかりケアしてあげましょう。

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腸内環境の乱れというのはどういうことですか?

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腸内環境について

犬の腸には無数の細菌が生息していて、これらの細菌は大きく三つのタイプに分けられます。ひとつは乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌。腸内の健康を維持し、体の老化を防いでくれます。もうひとつは、腸にたどり着いた未消化のタンパク質を腐敗させ、毒素を生成する悪玉菌。悪玉菌が活発になると免疫力が低下し、体の老化を早めてしまいます。そして三つめが大腸菌などの日和見菌。健康なときは善玉菌の働きをサポートしてくれる存在ですが、体が弱ると悪玉菌と同じように悪さをするようになります。

三つの細菌のバランスが大切

悪玉菌がいなくなればいいかというと、そういうわけではありません。悪玉菌は外部の菌から腸を守るという重要な働きを担ってくれており、体にとっては必要な存在なのです。大切なのは腸内環境のバランスを良い状態に保つこと。腸内細菌が適切なバランスを保っていれば健康な状態を維持することができますが、加齢によって善玉菌が減ると、腸内環境が乱れて悪玉菌や日和見菌が悪さをするようになるのです。

腸内環境が乱れるとどうなるのでしょうか?

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消化吸収機能が低下する

口から取り込んだ食べ物は胃で消化され、その後腸に送られます。食べ物に含まれていた栄養や水分は主に腸から吸収されます。そのため、高齢になって腸内環境が乱れると、腸の働きが低下して栄養をうまく吸収できなくなります。病気にかかっていないはずのシニア犬が、しっかり食べているのに痩せていくのはこのためです。

免疫力が低下する

ウイルスや細菌などの異物から犬の体を守る働きをしているのは免疫ですが、実は全身に存在する免疫のうち、70%が腸で作られていると言われています。なぜこれほど多くの免疫が腸に集中しているのかというと、それは腸が重要なバリアの役割を果たしている臓器だからです。

口の中から取り込んだ食べ物や水は腸で吸収されますが、腸に運ばれてくるものは体に必要な水分や栄養だけではありません。病原体や有害物質なども一緒に運び込まれてきます。腸はそうした有害物質物から体を守る最前線となっているために、これほど多くの免疫が集まっているのです。そのため、腸内環境が悪化すると腸のバリア機能が低下し、色々な病気にかかりやすくなってしまいます。

腸内環境を整えるには食べ物が重要ですよね?

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善玉菌をサポートする食べ物を取り入れる

シニア犬になると善玉菌が減って腸内環境が乱れやすくなります。そのため、善玉菌を増やしたり、善玉菌の働きをサポートするような食べ物を積極的に取り入れるとよいでしょう。善玉菌を含むヨーグルトや納豆などの食材や、善玉菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖を多く含む食材を日々の食事に取り入れてみてください。

<善玉菌を多く含む食材>

  • ヨーグルト(無糖)
  • チーズ
  • 納豆
  • 味噌など

<善玉菌のエサになる食材>

  • アスパラガス
  • ゴボウ
  • トウモロコシ
  • 大豆
  • りんご
  • バナナなど

毎日続けることが大切

取り入れた善玉菌全てが腸で活躍できるわけではありません。口から摂取した善玉菌のほとんどは、残念なことに胃酸や胆汁によって死滅してしまいます。死滅した善玉菌は腸内に生息している善玉菌のエサになるので、摂取することで腸内の善玉菌の働きをサポートすることはできますが、すぐに腸内の善玉菌が増やせるわけではありません。

また、善玉菌には無数の種類があり、個体によってどの種類の善玉菌を持っているか異なります。体と合わない善玉菌を取り入れると免疫機能によって排除されたり、一定期間が経過すると便として排泄されてしまいます。そのため、善玉菌を含む食材やそのエサとなる食材は、なるべく毎日摂り続けることが大切なのです。

サプリメントもおすすめ◎

シニア犬になると心臓病や腎臓病、肝臓病などを発症することが増えてきます。そうした持病のせいで、ヨーグルトや納豆などを積極的に食べられない子もいるでしょう。そんなときはサプリメントを活用するのがおすすめです。

初めてのサプリメントを試す際は、かかりつけの獣医師に相談してから取り入れると安心。特に持病がある子や食事制限が必要な子の場合は、必ずかかりつけの獣医さんに確認してから始めてください。ここでは余分な成分が少ない、乳酸菌を多く含むサプリメントをご紹介します。

■プロバイオCaプラス

日本最多である150種類の善玉菌群とコラーゲン、卵殻カルシウムを配合した粉末タイプのサプリメント。腸内環境を整えるだけでなく、ピロリ菌などの有害物質とも戦い、愛犬の健康をサポートします。

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■H&JIN

1包に2000億個の乳酸菌が詰まっている粉末タイプのサプリメント。オランダ微生物学会で、世界最高峰の乳酸菌として認定された乳酸菌を使用しています。無理なく食べられるよう、味はほとんどありません。フードにかけたり水に溶かして与えてください。

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■ソフィアフローラケア

人間の腸内環境を整えるサプリメントを開発している会社で作られた、動物のためのサプリメント。人間用のサプリメントから酸味をなくし、動物の食べやすさを追求した商品です。フードにかけて与えてください。

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■コスモスラクト

100年の乳酸菌研究から生まれた人間のための「乳酸菌生成エキス」を、動物のために開発したコスモスラクト。善玉菌に働きかけ、腸内の健康をサポートします。加熱処理をしても成分が壊れることはありません。フードや飲み水にふりかけて与えてください。

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その他、腸内環境を整えるためにできることはありますか?

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腸内環境は日々変化しています。病気にかかっているときを除いて、大きく変化することはないと言われていますが、個体によってはちょっとしたことですぐにバランスを崩してしまうこともあります。

ストレスをためない

腸内環境はストレスの影響を受けやすいと言われています。例えば自宅に来客があったとき、愛犬をペットホテルなどに預けた後などに下痢をしてしまうのはストレスが原因であると考えられます。シニア犬は若い頃と比べてストレスを感じやすく、またストレスのせいで体調を崩すことも多くなります。できるだけストレスを感じさせないよう、環境を整えてあげましょう。

適度な運動を取り入れる

高齢になって血行が悪くなると、胃腸の働きが低下し、腸内環境のバランスも崩れやすくなります。適度な運動を取り入れることで血行が改善され、胃腸の働きもよくなるでしょう。さらに、適度な運動にはストレス解消の効果も期待できるため、シニア犬になっても日々のお散歩はぜひ続けてあげてください。ただし、高齢になると体にも色々な変化が現れるので、無理なくお散歩を続けられるよう工夫してあげる必要があります。

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水分をしっかりとる

犬は比較的便秘しにくい動物ですが、高齢になると便秘がちになることがあります。便が腸にとどまったままだと、それをエサにして悪玉菌が増え、腸内環境の乱れに繋がるので注意しなくてはなりません。

シニア犬は喉の渇きに鈍感になったり、体を動かすことが億劫になったり、様々な理由から水を飲む量が少なくなります。飲水量が減ると便がかたくなって便秘がちになるので、しっかり水分補給できるようケアしてあげてください。お水を飲んでもらうための工夫や、1日あたりに必要な飲水量についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

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お腹の冷えを予防する

腸内環境を適切な状態に保つためには、お腹を冷えから守ってあげることも大切です。お腹が冷えると胃腸の働きが低下して、腸内環境が乱れやすくなります。シニア犬は、熱を蓄える脂肪の量が減り、熱を運ぶ血液の流れも滞りがち。若い頃よりも体が冷えやすくなっているので色々なアイテムを上手に活用して、お腹が冷えないよう工夫してあげましょう。

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腸内環境を調べるにはどうしたらいいですか?

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一概に糞便検査といっても色々な種類の検査があり、犬の腸内環境を調べるためには、そのための糞便検査が必要になります。一般的な動物病院で行っている糞便検査は、細菌感染や寄生虫の有無を調べるためのものなので、検査をお願いする前に腸内環境を詳しく調べることができるかどうか、かかりつけの獣医師に聞いてみるとよいでしょう。犬の腸内環境を調べるためのサービスもあるので、そちらを利用してみてもいいと思います。

■Wankinso

犬猫の遺伝子検査を行なっている株式会社VEQTAが、2019年に新しく始めた腸内環境検査「Wankinso」。インターネットで検査キットを申し込み、自宅で採取した便を返送すると、腸内細菌や腸内環境を検査してくれます。

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■アニコムの腸内フローラ測定キット

ペット保険のアニコムが提供している、腸内フローラ検査キット。こちらもインターネットから申し込みができ、送られてきた検査キットを使って採便し、郵送すると検査してもらえるサービスです。アニコムの保険に加入していると、一年に一度だけ、無料で測定することができるので、加入している方はぜひ試してみてください。

(公式サイトはこちら

最後に

シニア犬は腸内環境の乱れによって、お腹を壊すことが増えてきます。病気が原因でなくても、お腹がキュルキュルしていると元気も食欲もなくなってしまうので、日々のおうちケアで腸内の健康を保ってあげましょう。