老犬が吠えるようになるのはなぜ?正しい対処法を行動治療の獣医師に聞きました!

犬はもともと吠える生き物ですが、年齢とともに吠える回数が増えることがあります。シニア犬特有の事情から吠えている可能性もあるので、むやみに叱るのはNG。ここではシニア犬の吠えが悪化する原因と正しい対処法について解説します。

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老犬が吠える理由

犬が年をとって急に吠えるようになったり、突然吠える回数が増えたときは、まずその原因を考えてみましょう。単にわがままから吠えている可能性もありますが、病気が原因なこともあります。

飼い主さんにしてほしいことがある

犬は、若い頃には自制できていたことでも、年を取るとだんだん我慢できなくなってワガママを言うようになることがあります。ごはんがほしい、遊んでほしい、かまってほしいなどの要求を抑えられず、吠える頻度が高くなるのは珍しいことではありません。

また、加齢によって自分で体を自由に動かせなくなり、「トイレに行きたい」「お水が飲みたい」と飼い主さんに伝えようとして吠えていることもあります。このケースでは愛犬が何を求めているのかできるだけ把握して、要求を満たしてあげることがが大切です。

耳が遠くなった

犬は人の4倍も聴力が優れていると言われますが、年を取ると聴力が衰え、周りの音だけではなく自分の鳴き声も聞こえにくくなります。その結果、今まで以上に吠え声が大きくなることがあります。

また、視覚や聴覚の低下によって飼い主さんが近寄ってきていることに気づけず、急に後ろから触れられたことに驚いて吠えたり、ときには噛んでしまうこともあります。

不安が大きくなっている

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年を取って視覚や聴覚が衰えた結果、若い頃苦手だった雷やインターホン、来客などに動じなくなる犬もいます。反対に、そういった変化に不安を感じる犬もいて、今まではなんともなかった些細なことに対して、激しく吠えるようになってしまう場合もあります。

不安な気持ちが強くなりすぎると、飼い主さんから離れることを極端に恐れる「分離不安」に陥ることもあるので注意しましょう。飼い主さんの姿が見えないと狂ったように吠えたり、お留守番の間に部屋を散らかしたりするときは分離不安の可能性があります。分離不安については『老犬になってからお留守番が苦手に…。もしかしたら分離不安かも』の記事で詳しく解説しているので、気になる方は読んでみてください。

認知症

犬の平均寿命は飛躍的に伸びましたが、それに伴い認知症を患う犬も増えてきました。さっきごはんを食べたばかりなのにごはんをねだって吠える、家具の間に挟まって動けなくなって吠える、昼夜逆転の生活になって夜中に一本調子で吠え続けるのは認知症の代表的な症状です。詳しくは『犬にもある認知症(痴呆)!症状や対策について獣医さんに聞きました』の記事で解説しているので参考にしてください。

病気などによる痛み

体のどこかに痛みがあって吠えることもあります。特に、飼い主さんが触ろうとしたら唸って威嚇する、体の一部をしきりに舐めている場合には、病気や怪我などで痛みが出ているのかもしれません。愛犬の様子に違和感を感じたら、早急に動物病院で診察を受けるようにしましょう。

老犬が吠えるようになったらどう対処すべき?

原因がわからないときは動物病院へ

運動量が落ちているシニア犬の場合、飼い主さんが異変に気付けないことは多いです。あるときから急に吠えるようになった、吠える回数が増えたときは、まずかかりつけの動物病院に相談してみましょう。飼い主さんが見逃している病気や怪我のサインを獣医さんが見つけてくれるかもしれません。そのときは愛犬が吠えているときの様子を動画におさめて持っていくと診察の助けになります。

要求吠えは無視していい?

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子犬の頃、要求吠え防止のトレーニングとして、愛犬の要求に応えず無視していた飼い主さんは多いでしょう。確かに、要求吠えを止めさせるには、いくら吠えても要求が叶わないことを犬に覚えてもらう必要があります。しかし、シニア犬の要求吠えの中には、不安から飼い主さんを呼んでいることもありますし、「お水を飲ませて欲しい」「トイレに連れて行って欲しい」という要望を伝えている場合もあります。そのような時は、愛犬の心を満たしてあげることの方が大切です。

ただし、ごはんやおやつが欲しくて吠えているときは、毅然とした態度をとるようにしましょう。ねだられるままにごはんやおやつを与えていると、あっという間に肥満になってしまいます。肥満になると心臓や足腰への負担が大きくなるだけでなく、さまざまな病気の発症リスクが高くなります。

不安が大きくなっているときはどうする?

不安が原因で吠えている時は、安心させてあげることが何よりも大切です。犬の場合、視覚や聴覚が衰えても、嗅覚は残っていることが多いです。飼い主さんの匂いを嗅ぐと安心する場合もあるので、飼い主さんが着ている服や使っているブランケットなどをそばに置いてあげるとよいでしょう。夜中、不安になって飼い主さんを呼ぶことが多いなら、寝室にサークルやベッドを用意して同じ部屋で寝るのも一つの方法です。

また、コミュニケーションを増やすと落ち着くことも多いので、できるだけ優しく体を撫でてあげたり、日々の生活にマッサージを取り入れたりして、愛犬と触れ合う機会を増やしてみてください。老犬が喜ぶマッサージの仕方については『シニア犬のためのマッサージ。おすすめのツボやタイミング、注意点はある?』で詳しく解説しています。

叱ると逆効果なことも

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シニア犬が吠える原因は様々で、叱っても全く効果がないどころか、逆効果になることもあります。認知症や体の痛みから吠えるようになったケースでは、叱っても改善が見込めるわけではありませんし、きちんと病気の治療を受けさせることの方が大切です。不安な気持ちから吠えているケースでは、下手に叱るとさらに不安を煽ってしまい、吠えが悪化する可能性があります。

もし、自分の手に追えないと感じたら、無理せずかりつけの獣医さんや行動治療の獣医師などの専門家に相談してみましょう。愛犬が吠え続けるとご近所さんの目も気になるでしょうし、飼い主さん側が大きなストレスを感じることは普通のことです。老犬ホームのデイケアサービス(※『愛犬を手厚く介護してくれる老犬ホーム。施設選びのポイントは?』参照)なども利用しながら、上手に付き合っていきましょう。

最後に

シニア期に入り、愛犬が今まで以上に吠えるようになったら、まずはなぜ吠えているのか考えてみてください。原因がよくわからない時や、吠える以外にも気になる症状がある場合は、できるだけ早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。