年齢とともに愛犬の口臭がきつくなるのは、ある程度仕方のないことです。しかし、あまりに口臭がひどい場合、歯や口内環境に問題があったり、深刻な内臓疾患が隠れていることもあります。愛犬の体調不良を見逃さないためにも、口臭の原因と対策について正しく理解しておきましょう。
犬の口臭の原因は?
高齢犬の口臭がきつくなる原因は様々で、様子を見ていても大丈夫なケースもあれば、早急な治療が必要となるケースもあります。ここでは、犬の口臭の原因についてそれぞれ解説します。
年齢による口腔内の乾燥
犬の唾液には、口の中の食べかすや歯垢を洗い流したり、口内で細菌が増殖するのを抑える働きがあります。しかし、年齢とともに唾液の分泌量が減ると、口の中が乾燥しやすくなります。その結果、口内で細菌が繁殖して口臭の原因となるのです。
腸内環境の乱れによる口臭
犬の腸には大きく分けて3種類の菌が存在しています。
- 健康に良いとされる善玉菌
- 増えすぎると体に悪影響を与える悪玉菌
- 普段はおとなしくしているのに、体調が悪化すると悪さをする日和見菌
これらの菌がバランス良く存在していることで、腸内は健康な状態に保たれています。しかし、犬は年を取ると善玉菌が減ってしまうと言われており、そうなると下痢や便秘をしやすくなったり、口臭がきつくなったりするようになります。
歯周病などの口腔内疾患
歯周病などの疾患にかかっているときも、口臭がきつくなります。犬は歯周病にかかりやすい生き物で、3歳以上の犬のうち約80%に歯周病の心配があると言われています。歯周病を予防するためには日々の歯磨きが大切ですが、歯磨きを嫌う犬も多く、しっかりケアできていない飼い主さんも多いのではないでしょうか。
歯周病が悪化すると歯が抜け落ちたり、歯根に膿が溜まって頬に穴が開くこともありますし、歯周病菌が血液にのって全身を巡るようになると、重篤な心臓病や腎臓病を引き起こすこともあります。歯周病については『愛犬がシニアになったら気をつけたい歯周病!症状や治療法は?』に詳しくまとめているので、合わせて読んでみてください。
内臓疾患による口臭
愛犬の口臭がひどくなったときは、内臓に重大な疾患を抱えている場合もあるので注意が必要です。例えば、体内の毒素を浄化する肝臓の機能が低下すると、体内で解毒ができなくなって口臭がきつくなります。また、老廃物を体外へ排出する役割を果たす腎臓の機能が低下したときも、血液中に老廃物が溢れ、口臭がするようになります。これらは放置すると命に関わるケースもあるため、早急な処置が必要です。
それから、何日もウンチが出ていない状態が続くと、口から便の臭いがすることがあります。ただの便秘であれば緊急性はそこまで高くないのですが、腸が詰まってしまう腸閉塞という病気であれば、やはり早急な治療が必要となります。
愛犬の口が臭いと感じたら、まずは動物病院へ!
高齢になると様々な病気にかかりやすくなります。重大な内臓疾患が隠れている可能性もあるので、愛犬の口臭が気になるようになったときは「年のせいかな?」で済ませず、早めに動物病院を受診しましょう。
中には、年をとった愛犬の体に負担をかけたくないという理由から、口臭を抑えるためにトリミングサロンなどでできる無麻酔の歯石除去を検討されている飼い主さんもいると思います。しかし、無麻酔の歯石除去で取り切れるのは歯の表面の歯石だけですし、病気が原因で口臭がひどくなっている場合には、根本的な治療になりません。無麻酔の歯石除去にもリスクはあるので、無麻酔の歯石除去を検討されている場合でも、先にかかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
ガムやサプリは効果がある?自宅でもできる口臭対策は?
愛犬の口臭を予防するためには、自宅でのこまめなケアがとても大切です。ガムやサプリメントなどである程度の口臭対策はできますが、やはり一番大切なのは毎日の歯磨きの習慣を身につけてあげることです。
毎日の歯磨きで歯石を予防
(画像:Instagram / @hanahana.shii)
口の中に食べかすが残っていると、それを栄養にして細菌がどんどん増殖し、やがて粘り気を帯びて歯の表面にくっつくようになります。これを歯垢と言います。歯垢は歯磨きで除去することができますが、歯垢をそのまま放置してしまうと唾液中のミネラルとくっついて、固い歯石へと変化します。歯石になってしまうと、もう歯磨きで取ることはできません。歯垢は2〜3日で歯石へと変化してしまうため、きちんと毎日歯磨きする習慣を身につけましょう。歯磨きをすることで口臭だけでなく、歯周病も防ぐことができます。
歯磨きガムは効果があるの?
堅いものを噛むことで唾液の分泌が促進されるため、唾液の分泌が低下して口臭の原因となっている場合には、歯磨きガムは効果的と言えるでしょう。また、唾液には殺菌作用があるので、口内の細菌を減らす効果も期待できます。
ただ、いくら唾液の分泌が増えても、歯と歯の間や奥歯などは食べかすが残りやすく、歯磨きガムだけで口内を清潔な状態に保つことは難しいです。また、まれに歯磨きガムが歯にくっついてしまうことがあり、そうなると細菌の温床となってしまう可能性もあるため、やはり日々の歯磨きがとても大切でなのす。
食生活の見直しで腸内環境を整えよう
年を取ると腸内環境のバランスが崩れて、口臭や便秘、下痢の原因となります。腸の健康を守ってくれる善玉菌を含むフードやサプリメントも販売されているので、それらをうまく取り入れて腸内環境を整えてあげましょう。
ただし、持病があると食事を制限する必要がある場合もあります。新しいフードへ切り替えたいとき、サプリメントを取り入れたいときは、予めかかりつけの獣医師に相談するようにしてください。
ヨーグルトは口臭予防に効果アリ◎
お口や腸のフローラに善玉菌を増やすためには「乳酸菌が効果あり」といわれています。乳酸菌が含まれるヨーグルトを食事にプラスしてあげるとお口や腸のフローラが整えられて、口臭予防につながります。犬に与えるときは無糖のヨーグルトを選ぶようにしましょう。
最後に
愛犬の口臭が気になった時は「年だからかな?」で終わらせず、きちんと動物病院へ連れていきましょう。また、口臭予防には日々のオーラルケアが非常に大切です。無理のない範囲で、毎日の歯磨きを習慣化できるといいですね。