愛犬の腎臓病と上手に付き合う。療法食以外に与えられるおやつはある?

愛犬が慢性腎臓病になると食べ物に制限が出て、今まで食べていた好物が食べられなくなってしまうこともあります。とはいえ、愛犬を元気づけるためにも、おやつの時間を作ってあげたいと考える飼い主さんも多いはず。そこで今回は、腎臓への負担が少ないおやつについて、おうちケアに注力されている獣医師の林先生に詳しいお話を伺います。

(トップ画像:Instagram/ @yumiino

腎臓病の犬は食事管理がとても大切なのですよね?

お座りする老犬

(画像:Instagram/ @ajmachu

慢性腎臓病はシニア犬に多い病気の一つです。一度なってしまうと治すことが難しく、日々の食事管理で進行を遅らせることが非常に大切になります。

慢性腎臓病とは

腎臓は、血液中の老廃物をろ過して尿を作ったり、血圧をコントロールしたり、非常に重要な役割を持つ器官です。再生することがなく、長年働き続けることで少しずつ機能が低下していく臓器であるため、ある一定の段階まで腎機能が低下してしまうと慢性腎臓病となります。慢性腎臓病は進行するまで目立った症状が現れにくいですが、できるだけ早期のうちに発見して、残っている腎機能を保護することがとても大切です。慢性腎臓病についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

関連記事

シニア犬によく見られる慢性腎臓病は、長期にわたって腎臓の機能が低下する病気です。完治させることはできませんが、食事の見直しや定期的な通院で症状の進行を遅らせることはできます。ここでは犬の慢性腎臓病について、症状や治療法、食事の注意点などを解[…]

腎臓病は食欲が低下することも

残った腎機能を保護するためには、療法食による食事のコントロールが非常に重要です。しかし、腎臓病になると食欲が低下してしまうことも多く、動物病院で処方された療法食をなかなか食べてくれないことがあります。そのような時は、別のメーカーの療法食を試してみたり、香りの良いウェットタイプの療法食を取り入れてみたりして、愛犬が気に入ってくれる療法食を探してみましょう。また、食事環境の見直しや楽しい雰囲気作りも大切です。慢性腎臓病の子のためのフード選びや食べムラ対策については、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください◎

関連記事

愛犬が慢性腎臓病になって食事制限が必要になると、療法食を処方されます。しかし、腎臓病のための療法食は塩分などの制限によって味が薄く、犬自身も病気で食欲が落ちているため、療法食を食べてくれないことも少なくありません。愛犬が食べてくれるフード探[…]

腎臓病の犬におやつを与えてもいいですか?

ケーキと老犬

(画像:Instagram/ @cottonm

腎臓への負担だけを考えると、療法食と水だけで生活するのが理想ではあります。しかし、愛犬のQOL(生活の質)やしつけなどの観点から、完全に療法食のみというのはなかなか難しいですよね。おやつを与えたいときは腎臓病に配慮した、負担の少ないおやつを選ぶといいでしょう。ただし、その子の状態にもよるので、まずはかかりつけの獣医さんに相談してくださいね。

腎臓病の愛犬のためのおやつ選び

腎臓病の子のおやつを選ぶときは、腎臓に負担がかかりやすい「リン」「タンパク質」「ナトリウム」の少ないものを選びましょう。腎臓病に配慮されたおやつの場合、パッケージに「腎ケア」や「低リン・低タンパク・低ナトリウム」など記載されていることもあるので、目印にするとよいです。また、噛む力が弱くなっている子の場合は、おやつのかたさもあわせてチェックしてあげてくださいね。

腎臓病の犬におやつを与えるときの注意点

腎臓にやさしいおやつだからといって、大量にあげるのはNGです。いくら低リン、低タンパク、低ナトリウムに調節されているおやつでも、大量に与えてしまうと腎臓の負担になりますし、栄養バランスも崩れてしまいます。

1日にあげるおやつの量は、1日の摂取カロリーの10%以内におさまるように調節してください。

愛犬の腎臓に負担の少ないおやつはありますか?

キャンディーの帽子と老犬

(画像:Instagram/ @momochan_go

ここでは、腎臓への負担が少ないおやつをご紹介します。愛犬の好みやアレルギー等の体質、病気の進行具合などで取り入れていいものも変わってくるので、まずはかかりつけの獣医さんによく相談を◎

腎臓病にやさしいおやつ9選

■アニウェル すっきりボーロ

獣医師の監修により開発された国産おやつで、腎臓の健康に配慮されています。リン、タンバク質、ナトリウムの含有量が低く抑えられているだけでなく、腎臓の健康維持に配慮したビタミン類やクランベリーエキスなどを含む12種類の栄養素も配合されています。

■ドクターヴォイス 腎臓にやさしいトリーツ

低リン・低タンパク・低ナトリウムに調整されたこちらのトリーツは、ビタミンD3やEPA、DHA、アスタキサンチンなどの腎臓の健康サポート成分も配合しています。獣医学博士と獣医師により設計された、病後ケアが必要な子に与えられる体にやさしい国産おやつです。

■ヒルズ プリスクリプション・ダイエット™(特別療法食) <犬用> トリーツ

ヒルズの療法食を食べている犬に与えることができるよう成分が調整された、特別療法食のおやつです。心臓や腎臓への負担を配慮して低ナトリウムに調整されており、体重管理のためにカロリーも低く設計されています。与えるときは獣医師の指示に従いましょう。

■ぺティッツ ソフトトリーツ ミネラルコントロール

腎臓病や心臓病、尿石症の療法食を食べている犬に与えられるソフトタイプのおやつです。主要アレルゲン35品目不使用、グルテンフリーで、アレルギーにも配慮されています。科学防腐剤や防カビ剤を使っていない国産おやつなので、体調が変化しやすいシニア犬にも安心して与えられますね。

■ぺティッツ わんパンゴールド ミネラルコントロール

こちらのわんパンゴールドは、普段のおやつとして与えることもできますし、5年長期保存できるので非常食として防災バックなどに備蓄しておくことも可能です。腎臓病、心臓病、尿石症の療法食を食べている子にも与えることができ、低アレルゲンで、ミネラルコントロールもされています。いざというときに腎臓病の愛犬にも与えられる食べ物があると安心ですね。

■帝塚山ハウンド オリジナルクッキー 腎ケアプラス

腎臓にやさしいなた豆とクルクミンを配合した腎ケアビスケット。砂糖や防腐剤、着色料などは一切使っていない国産の手作りおやつで、愛犬と一緒に飼い主さんもおいしく食べられます。少しかたさのあるビスケットなので、小さく割って与えたり細かくしてごはんにふりかけたりすると良いでしょう。

■帝塚山ハウンド 小豆かぼちゃの腎ケアビスケ

腎臓にやさしいなた豆とクルクミンを配合。小豆とカボチャが入った国産で無添加、手作りの腎ケアソフトビスケットです。サクサクと砕けるように工夫されているので、噛む力の衰えた子でも食べやすいです。簡単に手で割ることもできるので、割ってから与えてもいいですね。

■帝塚山ハウンド おからの腎ケアサクサクキューブ

おからの腎ケアサクサクキューブ

(画像提供元:帝塚山ハウンドカム

低リンで塩分0、タンパク質も4.5%ほどに抑えてある一口サイズのキューブ型おやつです。原材料はおから、小麦粉、こめ油、きび糖、なた豆、クルクミンと国産の素材でシンプルに作られており、無添加なので安心。人間が食べてもおいしいと感じる味とほんのりと自然な甘い香りで愛犬の食いつきも期待できます。

▶︎ご購入はこちら

■ビオナチュレ

こちらは猫用として販売されているおやつですが、低リン・低ナトリウムで、腎臓病の犬にも安心して与えられるピューレ状のおやつです。投薬時のサポート用と、食欲低下時のカロリータイプの2タイプがあり、味もスプラットと鮭の2種類から選ぶことができます。薬を混ぜやすい形状なので、腎臓病の子に投薬する際にも役立ちます。

低リン・低タンパク・低ナトリウムなおやつ5選

■ドッグシーチュウりんご

新鮮なりんごをフリーズドライ製法で加工したおやつで、素材の風味そのまま、甘味料・保存料・着色料などの添加物も一切使われていません。ヒューマングレードで作られているので安心して与えることができます。また、りんごにはビタミンA,C、抗酸化物質、食物繊維などが含まれているので、シニア犬には嬉しい効果が期待できますね◎

■ハミングドッグさくさくボーロ

小麦粉不使用の無添加国産おやつ。味の種類がバナナ以外にもさつまいもやかぼちゃ、トマト、アップルなど豊富にそろっているので、愛犬の好みに合わせて選ぶことができます。さくさくと軽いくちどけなので、歯や噛む力が弱っているシニア犬にも比較的安心して与えられます。

■いもあきれす

旬の国産さつまいもを乾燥させて作られた無添加無着色のおやつ。大きめで厚く噛み応えがあり、噛むことが好きな中型~大型のシニア犬には嬉しい触感です。もし硬すぎると感じるような場合は、水で濡らした布やラップでくるみ、電子レンジで温めれば柔らかくすることもできます。

■発酵のめぐみ プレーン

腎臓病になると体が脱水しやすくなるので、水分補給できるおやつもおすすめです。こちらのプレーンタイプは腎臓にも負担が少ないよう配慮された国産の甘酒です。ノンシュガー・ノンアルコールの甘酒は栄養補給になるだけでなく、腸内の健康にも嬉しい成分が含まれています。保存料、香料、着色料、砂糖も一切使用していない自然な甘さが楽しめます。

■犬と猫のためのヨーグルト(飲料)

一般的なヨーグルトは腎臓病の子には向きませんが、こちらは含まれる成分がほぼ水分なので、タンパク質やリンの含有量が少なく、腎臓にも優しいおやつと言えるでしょう。冷凍保存なので賞味期限が1年間と長いのも魅力です。常温で溶かして与えてください。

腎臓にやさしい野菜や果物、穀物をおやつにしてもOK

リンの含有量を少しでも減らすために、野菜などは茹でこぼしをするのがおすすめです。加熱調理に向かないものは、水にさらしておきましょう。穀物類は消化しやすいように、お粥にしてあげるといいですよ◎

  • さつまいも
  • かぼちゃ
  • ブロッコリー
  • キャベツ
  • レタス
  • トマト
  • りんご
  • 白米

おやつを療法食のトッピングにしてもいいですか?

シェフになった老犬

(画像:Instagram/ @jubilee2011

療法食をせっかく買ったのに愛犬の食いつきがイマイチだったときや、すぐに飽きて食べなくなってしまうような時には、食いつきが良くなるように少量のおやつを細かく砕いて、フードにトッピングしてあげるのもおすすめです。食事管理は続けていくことが大切なので、長く上手に腎臓病と付き合っていくためにも、おやつをうまく活用して気分転換させてあげるとよいでしょう。食べ物に制限があっても、工夫次第で楽しいごはんタイムにすることもできます◎

 

この投稿をInstagramで見る

 

Qooppy(@qooppy_dog)がシェアした投稿

最後に

座っている老犬

(画像:Instagram/ @maromaromaropyon

愛犬が慢性腎臓病と診断されたら、食事のコントロールが非常に重要です。とはいえ、愛犬の日々の楽しみを守ってあげるためにも、腎臓に負担のかからない範囲でおやつも上手に取り入れていきたいですよね。かかりつけの獣医さんとしっかり相談しながら、その子に最適なおやつを選んであげましょう。