シニア犬のトリミング、どうしてる?シニア犬に優しい施設やサービスとは

シニア犬になると、体力が衰えたり体調を崩すことが増え、一般的なトリミングサロンでの施術が難しくなることもあります。そんな時は愛犬の変化にあわせて、より負担の少ないトリミングの方法を探してあげましょう。ここでは、シニア犬のための出張トリミングサービスを展開されている関さんに、シニア犬に優しいトリミング方法について詳しく伺います。

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シニア犬になるとトリミングを断られることも増えますよね?

振り向く老犬

(画像:Instagram/ @nanahana.shii

一般的なトリミングサロンは、元気な子にカットやシャンプーなどのサービスを提供する場所です。シニア犬になって体力が衰えたり、病気にかかったりすると、特殊な環境や配慮が必要になるためトリミングを断られるケースが多いのです。

体力・筋力の衰え

シニア犬は体力が衰え、若い頃よりも疲れやすくなります。そんなシニア犬にとって、長時間立ちっぱなしのトリミングは大きな負担がかかります。元気に出かけていったはずの愛犬がトリミングで疲れ切ってしまい、帰宅後はずっと寝ていてなかなか起きてこなかった、なんて経験をされた方も多いのではないでしょうか?

日々の生活の中で、愛犬の体力が衰えてきたと感じたら、トリマーさんにもきちんと連携するようにしましょう。そして、それまでお世話になっていたサロンでの対応が難しくなってきたときには、早急に他のトリミング方法を検討する必要があります。

ストレスを感じやすい

高齢になって目が見えにくくなったり、今までできていたことができなくなってくると、犬は不安を感じやすくなります。そのため、安心できるお家や飼い主さんのそばから離れることに、ストレスを感じるようになります。一般的なトリミングサロンは、長時間飼い主さんと離れることになるため、肉体的にも精神的にもストレスを感じやすい環境と言えるでしょう。他の犬が苦手な子にとっては、さらに大きなストレスになりますよね。

ちなみに、犬は環境の変化が苦手な生き物です。シニア犬に優しいサロンへ切り替える場合を除き、高齢になってからサロンをコロコロ変えるのはやめましょう。

体調不良・持病悪化につながりやすい

シニア犬はストレスから体調を崩すことも少なくありません。トリミングがきっかけで下痢や嘔吐をしたり、ごはんを食べなくなったりして、そこから本格的に具合が悪くなることもあります。また、ストレスから持病が悪化してしまうことも珍しくありません。

一般的なトリミングサロンでは、犬の容態が変化したときに適切に対処することが難しいケースが多いです。愛犬に病気が見つかったときは、かかりつけの獣医師にも相談しながら、早めにトリミング方法の切り替えを検討しましょう。

シニア犬にもトリミングは必要ですよね?

肉球ケアの老犬

(画像:Instagram/ @puutaro.k

清潔な状態を保つためのトリミング

シニア犬は免疫力が低下して皮膚炎などを発症しやすくなります。被毛が伸びたままになっていると汚れがつきやすくなるので、清潔な状態を維持するためにも定期的なトリミングは必要です。

愛犬が高齢になったら、お手入れしにくい凝ったデザインは避け、汚れやすいお口周りや目の周り、肛門周り、肛門から陰部に続くラインをできるだけ短くカットしてあげるとよいでしょう。自宅でのケアが楽になります。

また、シニア犬になると足腰が弱くなって踏ん張る力が弱くなります。足裏の毛が伸びたままだと余計に滑りやすくなるので、こまめにカットしてあげましょう。

健康重視のカットを

可愛い見た目を保つために、デザイン重視のカットをオーダーされている飼い主さんもいる思います。ただ、愛犬が高齢になってきたら、体に負担が少ないトリミングを大切にしてあげてください。たとえば、ハサミで仕上げた方が被毛のふわふわ感を出すことができますが、バリカンを使った方が時間を短縮することができます。今はバリカンも進化していて、刈り上げるだけではなく、かなりふんわり仕上げられるようになりました。トリマーさんとも相談しながら、負担の少ない方法を取り入れてあげましょう。

清潔な状態を保つためのこまめなケア

清潔な状態を維持するためには、日々のこまめなケアも大切です。目の周りや口周り、お尻周りは、汚れたらすぐに濡れたタオルで拭くと、清潔な状態を保ちやすいです。こまめなブラッシングは皮毛のもつれを防ぐだけでなく、血行促進の効果も期待できます。

垂れ耳の犬は構造上、通気性が悪く蒸れたり汚れが溜まったりしやすいです。炎症を起こしたり嫌な臭いを出さないためにも、不要な耳毛をカットしたりこまめに耳掃除をして清潔な状態を保てるようにしましょう。パグやフレンチブルなどの短頭種は、顔の皺を丁寧にお手入れすることで皮膚炎や嫌な臭いを防ぐことができます。

毎日こまめにケアしてあげることで、愛犬とスキンシップを取ることができますし、しこりや皮膚の炎症など、ちょっとした変化にも気づきやすくなりますよ◎

シニア犬のトリミングはどうしたらいいですか?

休憩する老犬

(画像:Instagram/ @kamakura.yuko

愛犬が高齢になって疲れやすくなったり、病気がちになったりすると、今までお世話になっていたサロンに通うのが難しくなることもあります。このような時はどうしたらよいのでしょうか?

動物病院にお願いする

以前と比べるとトリミングサロンを併設する動物病院が増えてきました。動物病院だと愛犬の容態が急変しても、すぐに獣医師による緊急処置ができるので、いざという時も安心です。また、一般的なサロンで断られやすい投薬中の子や闘病中の子も受け入れてもらえます。かかりつけの動物病院にトリミングサービスがあるなら、そちらを利用するとよいでしょう。いつもお世話になっている動物病院なら、愛犬の健康状態をきちんと把握してくれているでしょうし、慣れ親しんだ動物病院の方が、新しいサロンに連れて行くよりも愛犬の負担にならないこともあります。

出張サービスを利用する

トリマーさんが自宅に訪問してトリミングをしてくれる出張トリミングサービスの中には、シニア犬のトリミングをしてくれるところもあります。住み慣れたお家から移動する必要がなく、飼い主さんが傍で見守ってくれるので、犬もストレスを感じることなく施術を受けられるでしょう。

シニア犬のカットに慣れたトリマーさんなら、愛犬への負担を考慮してなるべく短時間で仕上げてくれますし、飼い主さんが見落とした皮膚の異変やしこりなどに気づいてくれるケースもあります。

ただし、出張サービスは対応エリアが限定されているというデメリットがあります。まずはお住まいの地域にこうしたサービスがあるのかどうか調べてみましょう。

セルフトリミングを始める

既存のサービスに頼らずに、飼い主さんが自宅でトリミングするというのも選択肢の1つです。セルフトリミングとなると道具を一通り揃えなくてはなりませんし、自分できちんとカットできるのか分からず、二の足を踏んでしまう方も多いでしょう。しかし、飼い主さんが自分でトリミングできるようになると、愛犬が寝ているうちに少しずつカットしたり、愛犬が元気そうな時にささっと整えたりすることができるようになるので、愛犬にかかる負担を大きく減らすことができます。最近はトリミングのやり方を教えてくれる教室や、レッスン付きのコースがある出張トリミングサービスもあるので、不安な方はそういうところで教わるのもいいと思います◎

シニア犬に優しいサロンを見つける

中にはシニア犬に優しいトリミングサロンもあります。動物病院が大嫌いな子や、出張サービスがないエリアにお住まいの方は、そういったトリミングサロンを探してみましょう。一般的なサロンと違って、シニア犬が無理なく施術を受けられるよう、様々な工夫がされています。口コミやインターネットの情報に加えて、SNSで探すのもおすすめです。

シニア犬に優しいサロンにはどんな特徴があるのでしょう?

抱っこされる老犬

(画像:Instagram/ @ichigo0925

体調に合わせた施術

体力のないシニア犬をトリミングする時は、施術時間の短縮が何よりも大切です。そのため、シニア犬に優しいサロンでは、二人がかりで施術を担当したり、リンスインシャンプーやバリカンなどの時短アイテムを使用するなどして、できるだけ短い時間で仕上げてくれることが一般的です。

また、「今日は具合が悪そうだからシャンプーだけ。」「今日は元気そうだからマッサージも含めたフルコースで。」など、当日の愛犬の様子を見ながら、柔軟に対応してくれるのもシニア犬に優しいサロンの特徴と言えるでしょう。

ストレスの少ない施術

シニア犬に優しいサロンでは、その子の性格や状況を考慮して、できるだけストレスのない施術をしてくれます。例えば、トリミング台の上でフラフラして落下の危険性がある時は、無理にトリミング台の上に立たせず、トリミング台からおろして床の上でカットすることもありますし、抱っこが苦手でない子であれば、一人が抱っこをして、もう一人が施術を担当することもあります。

また、視力や聴力が衰えている子はストレスを感じやすいため、施術に入る前に「ここ、さわるね。」と声をかけたり、ちょんちょんと優しくタッチして、いきなり触ってびっくりさせないような工夫をしてくれるでしょう。

それから、シニア犬になると飼い主さんから離れるのを嫌がる子が多いので、サロン内に飼い主さんが待機できるスペースを設けているところもあります。

持病を考慮した施術

持病がある子は、事前にどのような病気があるのか、きちんとトリマーさんに伝えておきましょう。咳が出やすい子の場合はシャンプー中に湯気が立たないように調整してくれたり、関節に痛みがある子の場合は痛みが出ないポイントを確認してくれたりと、できるだけ負担の少ない方法で施術をしてくれるはずです。前もってかかりつけの動物病院で注意点を聞いておくと、トリマーさんに情報を伝えやすくなります◎

シニア犬のトリミングで注意すべきポイントを教えてください

(画像:Instagram/ @haraishi_39v  )

どんなに負担の少ない方法で施術をしていても、トリミング中に急激に体調を崩してしまうことはあります。いざという時のことは予めしっかり考えておきましょう。何かあった時にすぐに対処できるよう、きちんと準備しておくことも大切です。

  • トリミング中はすぐに連絡が取れるようにしておくこと
  • トリミング中は愛犬の近くで待機すること
  • 施術中~施術後に異変が見られたら、すぐに動物病院に連れて行くこと

こうした対応が難しい場合は、動物病院併設のトリミングサロンを利用した方が安心かもしれません。

最後に

愛犬が高齢になって、トリミングやシャンプーで疲れやすくなったと感じたら、トリミングサロンを見直してみましょう。お世話になっているトリマーさんや獣医さん、信頼できる先輩飼い主さんにも相談しながら、愛犬にとって負担の少ないトリミング方法を見つけてあげてください。