シニア犬は積極的に取り入れたいオメガ3脂肪酸◎その効果とは?

愛犬が高齢になったら特に、栄養バランスには気をつけてあげたいですよね。必要な栄養全てをフードから摂取することができたらいいのですが、中には日々の食事でまかなうことが難しい栄養素もあります。例えば、炎症抑制や認知症予防などの効果がある「オメガ3脂肪酸」は、ドライフードで摂取することが難しい栄養素の一つ。ここでは、そんなオメガ3脂肪酸の効果と効率的な取り入れ方について、動物の栄養学に詳しい獣医師の林先生に伺います。

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オメガ3脂肪酸はなぜシニア犬におすすめなのでしょうか?

こっちを見る老犬

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オメガ3脂肪酸の役割

脂質は、タンパク質・糖質に並んで健康な体を支える三大栄養素の一つです。脂質を構成している「脂肪酸」には色々な種類がありますが、中でも体内で合成できず、日々の食事から摂取しなければならないものを「必須脂肪酸」と言います。
今回取り上げるオメガ3脂肪酸は、「αリノレン酸」「EPA」「DHA」という3つの必須脂肪酸の総称で、健康な皮膚や脳を保つために欠かせない栄養素です。関節や内臓の炎症を抑えたり、アレルギーを抑えたりするほか、血流をよくする働きもあります。

普段の食事から取り入れるのが難しい

認知症予防や炎症抑制などの効果があるオメガ3脂肪酸は、シニア犬が積極的に摂取したい栄養素と言えるでしょう。しかし、オメガ3脂肪酸は熱に弱く、空気に触れると酸化しやすいため、ドライフードなどで摂取することが難しいです。
そのため、オメガ3脂肪酸を豊富に含む亜麻仁油やサプリメントから取り入れるのがおすすめ。フードと一緒に与えても構いませんが、熱に弱いので必ずフードが冷めてからトッピングするようにしてください。

オメガ3脂肪酸ならどれを摂取してもいいのでしょうか?

眠そうな老犬

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オメガ3脂肪酸の効果は、「αリノレン酸」と「EPA」「DHA」でやや異なります。ここでは、どのように使い分けるといいのかをご紹介します。尚、持病やアレルギーなどがある場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談してから取り入れるようにしてください。

αリノレン酸とEPA/DHAの違い

αリノレン酸は体内に取り込まれるとEPA/DHAに変換されると言われていますが、その変換率は犬の場合2〜3%と言われており、決して高くありません。そのため、目的にあわせてどの脂肪酸を取り入れるとよいか考えるといいでしょう。
αリノレン酸は、血管やリンパ管にへばりついた酸化脂質を洗い流してきれいにしてくれます。一方、EPA/DHAは炎症を鎮めたり、脳を活性化させたりする働きがあります。

αリノレン酸はこんな子におすすめ

αリノレン酸によって血管やリンパ管がきれいになると、血液の巡りが良くなって体の隅々に栄養が行き渡るようになります。そのため、皮膚が弱っている子や胃腸の働きが衰えている子におすすめ。他にも血栓を予防したり血圧を下げたりする効果があるので、こうした症状が現れやすい子は取り入れてみるとよいでしょう。ただし、抗凝固薬などを飲んでいる場合は、事前にかかりつけの獣医さんに相談してから与えるようにしてください。
αリノレン酸は亜麻仁油やえごま油に多く含まれます。取り入れるときは、人間用の食用油として販売されている亜麻仁油やえごま油を、いつもの食事に少量トッピングします(体重5kgで小さじ1/2、11~15kgで小さじ1程度)。
ただし、亜麻仁油もえごま油も非常に酸化しやすいため、できるだけ密閉してメーカーが指定している方法で正しく保存するようにしてください。保存方法が記載されていないものについては冷蔵庫で保管し、1か月程度で使い切ります。酸化した油は体調不良の原因となるので絶対に与えてはいけません。酸化すると匂いや色が変化したり、泡や粘り気が出てきたりします。
また、体にいいからといって与えすぎるのも禁物です。カロリーが高いので摂取量にも注意しましょう。

EPA/DHAはこんな子におすすめ

EPA/DHAは脳に働きかけることができる数少ない栄養素の一つです。動物病院でも認知症の予防や、症状の進行を遅らせる目的で、EPA/DHAのサプリメントを処方することがあります。また、EPA/DHAは体内の炎症を抑える働きをしてくれるため、関節に痛みがある子や内臓で炎症が起きている子は積極的に取り入れるとよいでしょう。ただし、膵炎などで脂質を制限しなれければならない場合は、かかりつけの獣医師に相談してから使用するようにしてください。尚、EPA/DHAには健康な網膜を維持する効果もあります。
EPA/DHAは青魚や魚油(クリルオイル、サーモンオイル)に多く含まれますが、熱に非常に弱いのでサプリメントから摂取するのがおすすめです。尚、αリノレン酸もEPA/DHAもどちらも摂取したい場合は、過剰摂取にならないよう、1日おきに交互で取り入れるようにしてください。

オメガ3脂肪酸はどうやって取り入れたらいいですか?

くつろぐ老犬

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オメガ3脂肪酸のうち、αリノレン酸は亜麻仁油やえごま油から、EPA・DHAはサプリメントから摂取するのがおすすめです。ここでは、添加物などの余分な成分が少なく、愛犬に安心して与えられる商品をご紹介します。慣れないうちは軟便になることがあるので、便の状態も確認しながら与えてみてください。

αリノレン酸を含む亜麻仁油のおすすめ4選

もしご自身で亜麻仁油やえごま油を探す場合は、容器と作り方をチェックしましょう。酸素だけでなく光の影響も受けやすいので、遮光性の高いビンに詰められたものがおすすめです。また、低温圧搾(コールドプレス製法)で作られたものを選ぶとよいでしょう。

■オメガニュートリション 有機食用亜麻仁油

カナダでオーガニック栽培された亜麻の種子を、「オメガフロー」という独自の製法で低温圧搾した高品質な亜麻仁油です。科学物質や添加物を一切使用していないため、愛犬にも安心して与えられるでしょう。体にも地球にもやさしい高密度ポリエチレン製の遮光ボトルを使用しており、光と酸素を遮断して油を劣化から守っています。

■ニューサイエンス 有機亜麻仁油 フラックスオイル ニュージーランド産

ニュージーランドで有機無農薬栽培によって育てられた亜麻の種子を、低温圧搾抽出した亜麻仁油。有機JAS認定も受けています。遮光の容器には入っていますが、こちらも熱と酸化には注意して早めに使い切るようにしましょう。

■一番搾り 有機あまに油

こちらは中国吉林省庁の指定農場で有機栽培された亜麻仁種子を使用しています。コールドプレス製法で処理された一番搾りの亜麻仁油のみを、国内の有機JAS工場で丁寧に詰めています。化学溶剤や添加物、保存料などは一切不使用なので安心して与えられますね。

■レインフォレストハーブ 有機亜麻仁油

ニュージーランドのオーガニック農園で栽培され、厳しい基準に合格した亜麻の種のみを使用している亜麻仁油です。低温で圧搾機械にかけた後、その重みで自然に流れ出した一番搾りの油のみが使われています。こちらも無添加、科学溶剤不使用で高品質なオイルです。遮光のガラス瓶に入っています。

EPA・DHA配合のサプリメントおすすめ7選

サプリメントを選ぶときは、添加物が少なく、必要な成分がしっかり配合されているものを選びましょう。ここでは無添加のEPA/DHAサプリメントをご紹介します。カプセルは一度水に潜らせると喉に引っかかりにくくなりますが、喉に詰まる心配のある子はカプセルを割ってから与えてください。

■アンチノール

アンチノール

(画像引用元: Vetz Petz

ニュージーランド産のモエギイガイから抽出された脂肪酸を使用した、100%自然由来のサプリメントです。多くの動物病院で採用実績があり、高齢の子や薬を服用している子も安心して与えることができます。

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■ナチュラルハーベスト クリルオイル

南極の海で育ったオキアミから抽出されたクリルオイルをカプセルにしています。クリルオイルには、EPA/DHA、抗酸化作用のあるアスタキサンチンなどが含まれています。完全無添加で魚の油特有の臭いがなく、食べやすい形になっています。

■高濃度DHA&EPAケア

天然のヨシキリザメとタラから抽出したEPA/DHAサプリメントです。特別な製法で作っているため酸化しにくく、純度の高い製品に仕上がっています。カプセルでそのまま与えても、カプセルを割って中身を食事に混ぜて与えてもよいでしょう。

■ワイルドアラスカンサーモンオイル

EPA/DHAが豊富なサーモンオイルを使用しています。抗酸化作用が高いアスタキサンチンも含まれ、シニア犬の健康をサポートしてくれます。魚油の香りをそのままカプセルに閉じ込めているので、食欲をそそります。

■モノリス クリルオイル

(画像引用元:モノリス楽天市場店

クリルオイルは、魚油と比較して体内におけるDHAの吸収率が高く、効率よく摂取できるのが特徴です。さらにクリルオイル中のアスタキサンチンが、EPA/DHAの酸化を防いでいつまでもフレッシュな品質を保持します。モノリスのクリルオイルはヒューマングレードで作られており、愛犬と一緒に飼い主さんも、家族みんなで飲むことができます。

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■ドッグスタンス フードにかけるDHA&EPA

ドッグスタンス DHA&EPA

(画像引用元:ドッグスタンス

こちらはお刺身用に使われている安全なマグロから抽出されたオイルです。一般的にオメガ3脂肪酸は酸化しやすいと言われていますが、こちらは特許製法で抽出しているため、酸化しにくいのが特徴です。酸化に強いので常温保存が可能です。

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■帝塚山ハウンドカム 活性オメガ3オイル

帝塚山ハウンドカム オメガ3オイル

(画像引用元:帝塚山ハウンドカム

こちらは新鮮な国産天然マグロのみを使用したオイル。無添加低温抽出法によってビタミンD、Eを多く含むため、通常のオメガ3オイルよりは酸化しにくくなっているのが特徴です。冷蔵庫などで保存していると白くなったり冷えて固まったりすることがありますが、品質には問題ありません。

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最後に

嬉しそうな老犬

(画像:Instagram/ @maromaromaropyon )

さまざまな効果が期待できるオメガ3脂肪酸は、シニア犬におすすめの栄養素の一つです。体の中で合成することができない上、日々の食事から摂取することが難しいので、サプリメントなどを上手に活用しながら取り入れられるといいですね。初めて取り入れるときはかかりつけの獣医さんに相談しておくと安心です◎