保護犬にはどんな子がいて、どのような流れで譲渡されるものなのか、イメージがわかない方も多いでしょう。そこで、実際に保護犬を迎えた飼い主さんにインタビューさせて頂き、保護犬との暮らし、保護犬を迎えるまでの流れ、保護犬との暮らしなどを伺いました!
今回お話を伺った方
くりくりした大きな瞳とキレイな毛色が印象的なこの子の名前は「ちゃちゃマロ」ちゃん。とってもキュートなチワワの女の子ですが、実はちゃちゃマロちゃんも元保護犬なんです。
ママさんは一人暮らしをしているときにちゃちゃマロちゃんに出会いました。ちゃちゃマロちゃんと出会った時の様子、お迎えするまでの流れ、お迎えしてからの暮らしについて伺います。
ちゃちゃマロちゃんとの出会い
ちゃちゃマロちゃんとの出会いについて教えてください
当時、一人暮らしをしていた私は、特に犬を迎えたいという強い希望はありませんでした。ただ昔から犬が好きで、犬のいる暮らしに憧れはありました。それで、今の自分でも迎えられる子はいないかなって、なんとなく調べてみたんです。赤ちゃん犬を育てるのはすごく大変そうだし、パピーちゃんはお留守番できないと思っていたので、今の状態で迎えるとしたら成犬がいいだろうなと考えました。それで保護団体のホームページを検索してみたのがきっかけです。
どんな風に探したのでしょう?
ネットを検索してみると色々な保護団体が出てきて、それぞれホームページを覗くと譲渡可能な犬の情報がたくさん載っていました。どの子も可愛かったのですが、当時の私はマンション暮らしだったので小型犬を中心に見ていました。
中には犬たちの写真だけじゃなく、性格も詳しく紹介してくれている団体もあって、「この子は甘えんぼな性格なのか。お留守番が長いとかわいそうだな。」とか、「独立心があるこの子なら、一人暮らしの私でも一緒に暮らせるかもしれないな。」なんて考えていたら、だんだん想像が具体的になっていきました。そして実際に保護団体に問い合わせをするほど、犬を迎えたい気持ちが強くなっていたのです。
保護団体に問い合わせをしてみていかがでしたか?
保護犬の場合、気に入った子がいたからと言ってすぐにお迎えできるわけではありません。中にはすぐに譲渡してくれる団体もありますが、きちんとした団体はまず譲渡希望者と面会をして、犬を譲渡しても問題ない相手かどうか確認します。
そのため、団体によっては譲渡希望者が一人暮らしをしている場合、お断りしているところもあります。一人暮らしの人はどうしても犬をお留守番させる時間が長くなりますし、その人に何かあった時に犬のお世話ができなくなってしまう可能性があるからです。その点、当時の私は一人暮らしだったので、いくつかの団体に問い合わせをしたものの返信があったのは一つだけでした。それがちゃちゃマロのいた保護団体です。
お家に迎えるまでの流れ
ちゃちゃマロちゃんはどんな子でしたか?
私と出会ったときのちゃちゃマロは、推定5〜6歳でした。保護犬になった経緯はよくわかりませんが、おそらくブリーダーに放棄されたのだろうということでした。
クレートが大好きでお留守番もきちんとできる、とプロフィールに書いてあったので、この子なら日中仕事に出ている私とでも一緒に暮らせるかなって思ったんです。実際にちゃちゃマロの性格はプロフィールに載っていた通りでした。もちろん甘えてくることはありますが、ずっと一緒にくっついていたいようなタイプの子ではないので、私も無理せず暮らせています。
ちゃちゃマロちゃんをお迎えするまでの流れを教えてください
ちゃちゃマロのいた保護団体はとてもしっかりしたところでした。最初に保護団体の方と面談をして、本当にちゃちゃマロを迎えられるのか色々ヒアリングされました。その後、実際にちゃちゃマロと暮らしてみる2週間のトライアル期間を経て、お互いに問題なしということで正式譲渡となりました。
面会ではどのようなことを聞かれたのでしょう?
例えば、お留守番時間はどのくらいなのか、将来結婚する相手が犬嫌いだったらどうするのか、という質問をされました。色々なことを聞かれましたが、中でも保護団体の方が気にしていたのは「あなたに何かあったとき、誰がこの子の面倒を見るの?」ということでした。私が病気になって入院してしまったとき、将来結婚して生まれてきた子供がアレルギーだったとき、私の代わりに犬の面倒を見れる人がいるのかということは特に何度も聞かれましたね。
私がとても慕っている親友のお母さんが犬のことに詳しい方で、色々相談に乗ってくれていました。最後はその人が直接保護団体の方と話をしてくれて、「何かあったら私が責任を持って引き取ります!」と言ってくれたんです。それで保護団体の方も納得して、無事トライアル期間へ進むことができました。親友のお母さんには感謝しかありません。
トライアルに進めてよかったですね!
犬と一緒に暮らした経験がなかった当時の私からすると、本当に色々なことを聞かれる面談だな、と思っていました。でも、実際にちゃちゃマロを迎えた今振り返ってみると、飼い主として当たり前に考えないといけないことを、事前に確認されただけだと感じています。あの時の面談で色々なケースを想定して考えておくことができたため、ちゃちゃマロと暮らし始めてから特に大きな問題はありませんでした。
トライアルはうまくいきましたか?
トライアルの前に保護団体の方がやってきて、我が家の様子を確認していきました。犬をお迎えできるような環境かどうかチェックされるのです。それで問題なかったので、ちゃちゃマロとのお試し期間がスタートしました。
ちゃちゃマロは私のお家に来るまで、一時預かりのボランティアさんのお家で暮らしていて、そこで暮らす先住犬とも仲良くできていたそうです。でも我が家に来たときは新しい環境が怖くてブルブル震えていました。それはもうストレスで弱ってしまうんじゃないかと心配になるくらい、ひどく震えていました。でも、「絶対この子を安心させてあげるんだ!」っていう根拠のない自信はあって・・・(笑)トライアル期間が終わった後も私の気持ちは変わらず、正式に譲渡してもらうことになりました。あんなに震えていたちゃちゃマロが、初めて自分から私の膝の上に来てくれたときは本当に嬉しかったです。
正式譲渡になるとどのような手続きが必要なのでしょう?
保護犬を譲渡してもらうときは、それまでかかった治療費をお支払いする必要があります。ちゃちゃマロは保護されていた期間中、避妊手術やフィラリア予防、歯の治療をしてもらっていました。本当にしっかりした団体で、どこの動物病院でどんな治療をしたのか、その領収書も保管されていたので、安心して治療費をお支払いすることができました。それで正式譲渡となりました。
ちゃちゃマロちゃんとの暮らしについて
お家にはすぐ慣れてくれましたか?
新しい環境が苦手な子だったので少し時間はかかりましたが、しばらくすると慣れてくれました。今では私がお家に帰ると、おかえりの挨拶をしに飛び込んできてくれるんです♡でも目は見てくれないところがちゃちゃマロらしいですね(笑)
ちゃちゃマロという名前はママさんが付けられたのですか?
そうです。もともと私は男の子を迎えたいと思っていて、名前は「茶々丸」にしようと決めていました。でも、男の子とはご縁がなくって…。ちゃちゃマロは女の子で、保護犬時代はマロンちゃんという名前でした。それでちゃちゃマロになりました。
名前はすぐに覚えてくれましたか?
ちゃちゃマロが我が家に慣れ、お互いに信頼関係ができた頃から、名前を呼ぶと応えてくれるようになりました。「ちゃちゃ」や「ちゃーこちゃん」なんてあだ名もばっちり覚えてくれて、呼びかけるとちゃんと尻尾を振ってお返事してくれます。保護犬は新しい名前を覚えてくれない、というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実際は全くそんなことはなくて、成犬になってからも色々なことを吸収してます。ちゃちゃマロが「オテ」を覚えたのは我が家に来た後ですし、最近は投げたボールを取ってくる遊びを楽しみながら習得中です♡
一緒に暮らしていて困ったことはありますか?
私は自由気ままで猫ちゃんのようなちゃちゃマロのことが大好きです。ただ、私の主人は出会った当時、「犬は人懐っこいもの」という考えの人だったので、同棲生活が始まった時にちゃちゃマロとうまくいきませんでした。ちゃちゃマロもそんな主人の考えを見抜いていたのかもしれませんね。かなり険悪な間柄でした。
それは大変でしたね!どうやって解消したのですか?
私にはちゃちゃマロとはなればなれになるという選択肢はなかったので、悲しかったけど同棲を解消しようと思いました。するとその雰囲気を察知したかのように、突然ちゃちゃマロが主人に懐いてくれたんです!今ではふたりすっかり仲良くなって、平和な家庭を築けています。きっとあのとき、私のことを考えてちゃちゃマロが折れてくれたのでしょうね。いつもマイペースなくせに、私のことを気にかけてくれているちゃちゃマロのことがさらに愛おしくなった瞬間でした。
保護犬を迎えたいと考えている方にアドバイスはありますか?
しっかりした保護団体から犬を迎えようとすると、ペットショップやブリーダーで犬を迎えるよりも、面談やトライアルなどのような手続きが多くなります。けれど、トライアル期間できちんと相性を確認しておくことで、お迎えした後お互いに無理なく過ごすことができるはずです。ひとくくりに保護犬といっても、本当に色々な性格の子がいるので、ぜひ自分にぴったりな子を見つけてください。